幼稚園の卒業アルバムを黒く塗り潰した日④

記事
コラム
年長さん。
卒園の頃。

幼稚園の卒業アルバムが、
卒園式の前日、みんなに配られました。

でも、私にとっての卒業アルバムは、
どうでもいいものでした。

きっと、みんなは家に帰って、
「見て見て」と親に見せたのだと思います。

でも、私は違いました。

アルバムを持って帰った日、
両親に見つからないように、

自分の部屋の、
机の引き出しの一番下の奥に、
そっと隠しました。

アルバムを、見られたくなかったのです。

暗い表情の自分が、
たくさん写っている写真ばかり__

両親に見られて、
幼稚園で先生やみんなに、
虐められていることがバレそうで、

そしてきっと、
お前が悪い」と怒られる。

そう言われる気がして、
どうしても見せられませんでした。

両親は忙しく、
私のことも、卒業アルバムのことも、
何も聞いてきませんでした。

アルバムの中には、
私を無視して避けていた同級生たち。

そして、
一番見たくない担任の先生の顔。

それが、ずらりと並んでいて、
ページを開くたび、
胸がぎゅっと苦しくなりました。

アルバムは、
思い出の記録ではなく、
幼稚園時代の傷を、
一つずつ並べたものにしか見えませんでした。

気づくと私は、
黒いマジックを握りしめ、
みんなの顔も、先生の顔も、
次々に黒く塗りつぶしていました。

気づけば、
アルバム全体は、真っ黒

自分の顔まで、
黒く塗りつぶされていました。

なぜ、自分の顔まで
塗りつぶしてしまったのか__

それは、
自分の顔も、存在も、
気持ち悪い」と思っていたからです。

どんな心境だったのかは、
幼すぎて、
今となっては分かりません。

ただ、
幼稚園時代を
なかったことにしたかった。

見てしまえば、
あの時のことを思い出して、
また傷つく。

そう思っていたのかもしれません。

幼い私は、
黒いマジックで塗りつぶしながら、
必死に何かを守ろうとしていたのだと思います。

喋れない。

大人しい。

それだけで、
先生から「気持ち悪い」と
言われていたこと。

私は何度も自分を責め、
自分は大人しくて、気持ち悪い存在なんだ
と、思い込んでいました。

でも__
あの頃の私が、悪かったわけじゃない。

今なら、それがわかります。

あの頃の私は、
傷つかないように、
これ以上壊れないように、
必死に自分を守っていただけです。

黒く塗り潰したのは、
消したかったからじゃない。

生き延びるための、小さな防衛でした。

幼稚園時代を無かったことにしたかった。

思い出せば、また傷つくから。
ただ、毎日を必死に過ごしていました。

あの時、
必死に何かを守っていたからこそ、

今の私はこうして、
誰かの心の悩みを
聞くことができているのだと思っています。

もし、今、
自分が悪いのかもしれない」と
思い込んでいる人がいるなら、伝えたい。

あなたは、悪くない。

あなたもきっと、
ただ、必死に自分を守っているだけ。

私が、黒く塗りつぶしたのは、
諦めるためじゃなく
自分を守るために塗り潰したからです。

きっとあなたも、理由があってやっている行動があるはず。

mito

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す ココナラコンテンツマーケット ノウハウ記事・テンプレート・デザイン素材はこちら