コラム79 お金

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 お金を稼ぐ。それは資本主義社会において大切なことです。また、日本などの文明社会では生きていく上でも必須な場合がほとんどです。「お金」とは単なる道具である。お金を払うと仕事をしてくれる人がいるからお金に価値がある。以前読んだ本の中で金融業界のスペシャリストである田内学氏がこのように解説していたのが印象的でした。 
 日本人はお金やお金を稼ぐことが何か悪いこととか意地汚いことと、考えているような風潮があります。これはニュースや情報サイトなどで頻繁に政治家とお金の問題や、悪いことをしてお金を稼いでいた人が摘発される様子などが登場する一方、しっかりと仕事をして報酬を受け取ることを賞賛するような報道が少ないためであると思います。例えば一番わかりやすいのが、税金を多く払っている人をはっきりと褒め称えることをしない代わりに、脱税の話は頻繁に目にしたり、耳にしたりするといった具合です。悪いことをしてお金を増やすことは、お金が悪いのではなく当然お金を悪用しようとしている人が悪いのですが、なんとなくお金は卑しいものだとか、必要最低限だけあればいいなどと多くの日本人が考えているような気がします。
日本の社会では、個人が周囲と違った行動をとることに対して強い社会的圧力がかかります。この同調圧力も、社会全体の調和を重視する日本独自の文化的特徴です。このため、成功者や高額所得者が特別扱いされることに対して、周囲の嫉妬や反発が生まれることを避けるためにも、これらの公表を控える傾向が有るのかも知れません。また、日本では税金はあくまで義務であり、納税額の多さは「稼いでいるのだから当たり前のこと」として捉えらがちです。これに対して、西洋では高額納税者が社会的に尊敬される場合がありますが、日本では「他者に迷惑をかけず、自己の役割を果たすこと」が強調されるため、納税による個人の評価が薄いとも考えられます。さらに、日本では、経済的成功が必ずしも社会的地位の上昇に直結しないという点も見逃せません。高額所得者であっても、その人の人間性や社会貢献度が重要視されるため、単にお金を稼ぐことだけでは社会的な尊敬を得ることは難しいのです。このため、多くの所得税を納めることが社会的な賞賛を得る要因とならないことが理解できます。むしろ、日本人は謙虚さを重んじ、他者と共に歩む姿勢を大切にするため、個人的な富の誇示がネガティブに捉えられる可能性が高いのかもしれません。
 日本人所得税ランキングで検索してみると明治20年に初めて所得税の申告が行われた時の三菱の第3代社長、岩崎久弥氏が目に止まりました。初めて知りました。当時の額で70万円以上とのことです。それはさておき納税額のランキングは2005年に日本では個人情報の観点から廃止され、米国のForbesという長者番付や日本の配当額ランキングは分かりますが、納税額は全く分かりませんでした。でもちゃんと仕事をして、しっかりとそして多額の納税している人を、国民をあげて褒め称えてもいい気がします。だって多額の納税者が日本の公共事業や社会保険制度などの大きな割合を支えているといっても過言ではないでしょうから。さらに、日本人がお金を稼ぐとことためらう理由として、日本は所得税が他の先進国と比べて割高で有るということです。多額納税者つまり富裕層や超優秀層は所得税が安い海外へ出てしまっています。それはもちろん日本の所得税が高すぎる政治への不満からかもしれませんが、所得税をどれだけ納めても誰からも褒めてもらえず、何も優遇されない日本社会の性質も大いに関与しているのではないでしょうか。西洋諸国、特にアメリカでは、成功者が納税額を誇示することがしばしば見受けられます。これは、個人主義や自己表現が尊重される文化の一環であり、成功者が社会に対して果たした貢献として評価されます。一方で、日本のように共同体や和を重んじる社会では、個人の成功が突出することがむしろ警戒される場合があります。このような文化の違いが、納税に対する意識の差さらにはお金をたくさん稼ぐことへの意識の差として現れているのです。
しかし、私はお金とは、仕事をして社会にとって有意義なことを行った報酬であり、社会からの「ありがとう」を形にしたものだと考えています。つまり、社会からの感謝が大きいほど多くのお金をもらうことができるのです。さらに、多くのお金をもらうことは、税金を多く払うことにもなるため、仕事をして社会貢献し、得た大切な報酬から、納税をして2重の社会貢献を行なっているのだと思います。
 日本人のお金に対する考え方は、文化的、社会的要因によって形成されており、その中で所得税を多く納めても誰からも賞賛されない理由は、平等主義、謙虚さ、社会的圧力といった要素に起因しています。しかし、お金を道具として捉え、素直に社会から感謝の代償として多くのお金を受け取ることを求める、ないしは期待することは正しいことだと思います。大人の通知表の一つの教科として「お金を多く稼ぐ」を是とする文化が望ましいのではないでしょうか。

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