「近代の論理~社会科学のエッセンス~⑰」 (6)「近代」なくして「現代」なし
②「理性」の限界から「実存」の深淵に直面
理性崇拝・理性信仰が「世界大戦」で「人類レベルの原罪」に直面した~人類は二度の世界大戦で、それまでの楽観的・進歩主義的考えに対して、人間には如何ともし難い「原罪」「業」があることを自覚させられます。戦後、デンマーク語で書かれたキェルケゴールの実存主義がドイツ語に翻訳され、「キェルケゴール・ルネッサンス」を生み出し、キリスト教神学においても「自由主義神学」から「新正統主義神学」へと大きな転換が生じます。奇しくも唯物無神論の極致であるマルクス主義も、第一次世界大戦中にレーニンのロシア革命を通して現実化しており、第一次世界大戦が大きな転機になったことがうかがえます。
キリスト教思想史の4つのポイント~思想史的には、イエス教からキリスト教を成立させたパウロ(パウロ教)、キリスト教神学を確立したアウグスティヌス(カトリシズム)、近代民主主義・近代資本主義の原点ともなったルター(プロテスタンティズム)、楽観的な進歩主義・自由主義を根本からひっくり返したキェルケゴール(実存主義)の4人を押さえておけば、キリスト教の変遷がよく分かります。
「私にとって真理であるような真理を発見し、私がそれのために生き、そして死にたいと思うようなイデーを発見することが必要なのだ。いわゆる客観的真理などを探し出してみたところで、それが私に何の役に立つだろう。・・・私に欠けていたのは、完全に人間らしい生活を送るということだった。単に認識の生活を送ることではなかったのだ。かくしてのみ、私は私の思想の展開を客観的と呼ばれるものの上に、否、断じて私自身のものでないものの上に基礎づ
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