絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

18 件中 1 - 18 件表示
カバー画像

発達障害女子の思春期どう乗り越えたらよいのでしょうか?

廉清生織のブログの部屋へようこそ思春期は体と心がバランスを崩しやすいときですね今回は発達障害の女の子に的を絞って今回はお話していきます特に知的に問題が無い子や境界域と言われるグレーゾーンの女の子は・・周りに合わせよう・みんなと一緒がいいという思いが・・男の子より強く・小学校の中学年までは比較的典型的な発達の子の中でも大きく目立ちません。しかし思春期に入る頃ちょうど生理が始まるあたりの時期になると・・体の成長だけでなく言語の発達にグッと成長が見られる傾向にあります。 この年頃になると友達選びもこれまでと違い・・家の近所の子や親同士が仲がいいなど大人の決めた条件ではなく自分と対等に付き合える子を自分の基準で選ぶようになります。 そうすると言動が幼くコミュニケーションの取り方に特性がある発達障害の子の場合は周囲から浮きがちになり・友達もそのことに気がつき始めます発達障害の女の子が「わがまま」「自己中心的」と思われがちなワケは?発達障害の女の子は周囲との比較や客観的な自己判断が難しく「恥じらい」の感情の発達もゆっくりなことがあるために・・友人関係をうまく築けない場合が多々あります自分が会話の中心でないと気が済まない本人の幼さからくるものですが・・相手からの注目や関わる機会を得るために起こす「注目獲得行動」の表れで自分が会話の中心でないと不安になり・・会話に割り込んで嫌われることがあるようです一方的に話して相手に口を挟ませない多弁で衝動性が強い場合・・・思いついたことをすぐに一方的に話し始めて相手に口を挟ませないということもあります。また話したいことを思いついても・・ほんの2,3分の間
0
カバー画像

『やさしさ迷惑30/100』

第30話笑ってる人ほど、雑に扱われる前話:雨の日のコンビニ前で、優作は美月の「大丈夫です」をそのまま受け取らなかった。聞き出すのではなく、ただ隣にいること。大丈夫という言葉の前で一度立ち止まることを、優作は少しだけ覚えた。昼休み。休憩スペースには、いつもより人が多かった。雨上がりのせいか、外に出る人が少ない。電子レンジの前には列ができていて、誰かの弁当の匂いと、コンビニのコーヒーの匂いが混ざっていた。桐谷は、テーブルの端に座っていた。片手にカップ麺。もう片方の手でスマホを見ている。「桐谷さん、それお昼ですか」佐伯が聞いた。桐谷は顔を上げずに答える。「そう。三分でできる高級ランチ」「高級ですか」「心の持ちようだよ、佐伯くん」真壁が弁当を置きながら笑った。「桐谷、またそんなの食ってんのか。体壊すぞ」「大丈夫っす。俺、雑に扱われる担当なんで」桐谷は軽く笑った。その場も少し笑った。いつもの桐谷だった。優作も、少し笑いかけた。でも、途中で止まった。大丈夫。雑に扱われる担当。その言葉が、昨日までとは少し違って聞こえた。「じゃあ桐谷、これついでに見といて」真壁が資料を一枚置いた。「え、俺っすか」「お前、こういうの早いだろ」「まあ、便利に使ってくださいよ」桐谷は笑って受け取った。佐伯が少し申し訳なさそうに言う。「すみません。僕が見た方がいいやつですよね」「いいっていいって」桐谷は手を振った。「俺、こういう“誰がやるか微妙なやつ”に吸い寄せられる体質だから」真壁が笑う。「それ、才能だな」「でしょ。履歴書に書けますよ」桐谷はカップ麺の蓋を押さえながら言った。「特技、微妙な仕事を拾うこと」佐伯が笑う
0
カバー画像

『やさしさ迷惑29/100』

第29話大丈夫です、が一番大丈夫じゃない前話:優作は、駅前のカフェで美月の小さな迷いを見た。「相沢さんでも、迷うんですね」という一言が、美月を少し傷つけた。優作は、自分が美月を“強い人”という役割に閉じ込めていたことに気づく。そして昼、美月から届いた「大丈夫です」という言葉が、いつもとは違って見え始めていた。雨が降っていた。夕方から降り始めた雨は、退勤時間には少し強くなっていた。会社のエントランスを出たところで、優作は足を止めた。傘を開こうとした時、少し先のコンビニの前に美月が見えた。美月は、軒下に立っていた。片手にスマホ。もう片方の手に、小さな紙袋。傘は持っていない。でも表情は、いつも通りだった。困っているようには見えない。焦っているようにも見えない。ただ、雨の音の中で、静かにスマホを見ていた。優作は一瞬、声をかけるか迷った。昨日なら、たぶん迷わなかった。相沢さんなら大丈夫。そう思って、そのまま通り過ぎていたかもしれない。でも今日は、その言葉が少し怖かった。大丈夫そうに見える人が、本当に大丈夫とは限らない。優作は、ゆっくり近づいた。「相沢さん」美月が顔を上げる。「中村さん」「傘、ないんですか」「はい」「大丈夫ですか」美月は、いつもの速さで答えた。「大丈夫です」その言葉は、きれいだった。余計な揺れがなかった。だからこそ、優作には少し引っかかった。「駅まで入りますか」優作は、自分の傘を少し持ち上げた。美月は首を横に振る。「いえ、大丈夫です。少し待てば弱まると思うので」「けっこう降ってますけど」「大丈夫です」二回目だった。優作は、すぐに返事をしなかった。美月はスマホをしまおうとした
0
カバー画像

『やさしさ迷惑28/100』

第28話強い人ってことにされるのは、少ししんどい前話:田辺案件が一区切りつき、優作たちは会社近くの居酒屋で、仕事を離れた会話の難しさを知った。黒川はクリームコロッケを頼み、佐伯は最後の唐揚げを取り、美月は「人は、役割だけでは分からないですね」と言った。会議室を出ても、コミュニケーションは続いていた。翌朝。優作は、駅前のカフェの前で足を止めた。昨日、美月から届いた言葉がまだ残っていた。人は、役割だけでは分からないですね。たしかにそうだった。黒川は、ただ冷たい人ではなかった。真壁は、雑に見えて細かく見ていた。桐谷は、軽口の奥に怖さを隠していた。佐伯は、譲る癖の奥に自分の声を置き忘れていた。そして美月は。優作は、そこで少し考えた。美月は、やっぱり美月だった。鋭い。冷静。相手のズレを見逃さない。必要なことを、必要なタイミングで言える人。そう思った時点で、優作はまだ何も分かっていなかった。カフェのガラス越しに、美月が見えた。レジの前に立っている。優作は一瞬、声をかけようとしてやめた。出社前に偶然会うのは、少し気まずい。昨日の居酒屋の余韻もある。美月はメニューを見ていた。店員が言う。「ホットですか?アイスですか?」美月は、ほんの一瞬だけ止まった。本当に、ほんの一瞬。でも優作には見えた。美月の視線が、メニューと財布とスマホの間で少しだけ迷った。次の人が後ろに並ぶ。店員がもう一度、少しだけ声をやわらげる。「ホットでよろしいですか?」「……はい。ホットで」美月はそう答えた。いつもの声だった。でも、少しだけ遅かった。商品を受け取る時、スマホを落としそうになり、すぐに持ち直す。紙袋を断ろうとして、言
0
カバー画像

『やさしさ迷惑27/100』

第27話会議室を出たら、話し方が分からない前話:田辺案件は一区切りついた。黒川の正しさに黙り、互いに疑い、消した違和感を戻し、役割と責任を言葉にした優作たちは、少しだけチームとして前に進んだ。美月は言った。「ちゃんとチームでいるのって、たぶん毎回やり直しです」と。「今日くらい、一杯だけ行きません?」真壁がそう言ったのは、田辺案件の一区切りがついた日の帰り際だった。オフィスには、まだ少しだけ仕事の熱が残っていた。資料は通った。次の段階にも進んだ。全員、それなりに疲れている。でも、変な達成感もあった。佐伯が一番先に反応した。「え、今日ですか」「今日でしょ。こういうのは」真壁は軽く笑った。「反省会じゃなくて、ただの飯」桐谷が椅子にもたれたまま言う。「ただの飯って言う人ほど、だいたい途中で反省会になりますよ」「しないしない。今日はしない」真壁はすぐに返す。美月は資料をしまいながら、少しだけ考えていた。優作は、それを見て言った。「無理なら大丈夫です」言ったあと、少しだけ後悔した。なんだろう。断りやすくしたつもりなのに、どこか逃げ道を先に作ったような言い方になった。美月は、優作を見る。「行かないとは言っていません」「あ、はい」「ただ、仕事の話しかしないなら帰ります」桐谷が笑う。「相沢さん、それ先に釘刺すんですね」「必要なので」その言い方に、少しだけ空気が緩んだ。黒川は、すでに鞄を持っていた。「私は失礼します」当然のように言った。真壁が声をかける。「黒川さんも、駅同じ方向ですよね。十五分だけどうですか」「結構です」即答だった。桐谷がぼそっと言った。「でしょうね」黒川が振り向く。「どういう意味
0
カバー画像

『やさしさ迷惑26/100』

第26話前に立つ人を、一人にしない前話:田辺から「御社内で誰がこの提案を最終的に推進するのか」と問われた優作たちは、役割と責任の置き場所を言葉にした。全体推進は優作。先方調整は真壁。決裁者確認は佐伯。比較軸設計は桐谷。リスク設計は美月。品質レビューは黒川。だが黒川は言った。「本当に試されるのは、誰かが詰まった時です」と。翌朝。会議室には、いつもより早く全員が集まっていた。ホワイトボードには、昨日決めた体制図が残っている。全体推進:中村先方調整:真壁決裁者・確認項目:佐伯比較軸設計:桐谷リスク設計:相沢数字・提案品質レビュー:黒川文字だけ見れば、きれいだった。役割もある。責任もある。名前もある。でも優作は分かっていた。体制図は、人を支えない。人が詰まった時に、誰かが答えを奪うのか。それとも、横に立つのか。そこで初めて、体制が本物かどうか分かる。黒川が時計を見る。「始めましょう」いつもの声だった。「今日はリハーサルです。ただし、本番と同じつもりでやってください」佐伯の指が、資料の端を強く握った。優作はそれを見た。声をかけたい。大丈夫だと言いたい。でも、言いすぎるとまた奪う。だから、短く言った。「佐伯、詰まったら一回止めていい」佐伯が顔を上げる。「止めて、いいんですか」「いい。止まったことを隠すより、止まった場所を出した方が戻しやすい」佐伯は小さく頷いた。黒川が静かに言う。「止まること自体は問題ではありません。問題は、止まったことを隠したまま進めることです」その言葉に、佐伯の表情がほんの少し変わった。黒川の言葉は、まだ硬い。でも今日は、ただ切るだけではなかった。リハーサルが始まった。
0
カバー画像

『やさしさ迷惑25/100』

第25話 「みんなで責任を持つ」が、一番あぶない前話:優作は、先方打ち合わせで自分の判断理由を問われた。一度は「チームで検討した結果」と逃げかけたが、言い直し、自分の言葉で説明した。判断は通ったが、田辺から次に問われたのは「御社内で誰がこの提案を最終的に推進するのか」だった。翌朝。優作は、田辺からのメールを何度も読み返していた。次回は、御社内で誰がこの提案を最終的に推進するのかも確認させてください。誰が前に立ち、誰が支え、誰が最後に説明するのか。田辺が聞いているのは、資料ではない。このチームの背骨だった。優作は、画面を見たまま動けなかった。その時、黒川が会議室のドアを開けた。「始めましょう」いつもの声だった。冷静で、無駄がない。会議室には、佐伯、真壁、桐谷、美月、黒川、そして優作がいた。黒川は田辺からのメールを画面に映す。「今日決めるのは、この一点です」画面の文字が、全員の前に出る。誰がこの提案を最終的に推進するのか。黒川は言った。「先方は、資料の中身だけではなく、御社側の推進体制を見ています」真壁が小さく頷く。「まあ、当然ですよね」桐谷は黙っている。佐伯は資料に目を落としている。美月は、全員の反応を見ていた。黒川は続けた。「曖昧な体制は、先方から見ると不安材料です。今日は、推進責任者を決めてください」推進責任者。その言葉が、会議室に落ちた。真壁が最初に口を開いた。「先方窓口は、俺が持ちます」それは自然だった。田辺とのやり取りは、ずっと真壁が担ってきた。でも黒川はすぐに聞いた。「窓口と推進責任者は同じですか」真壁の言葉が止まる。「……同じ、とは限らないですね」「では、真壁さんは
0
カバー画像

『やさしさ迷惑14/100』

第14話笑ってる人ほど、ちゃんと聞かれていない前話:優作は、美月から「相手のためと言いながら、相手に聞かずに決めている」と厳しく指摘された。優しさのつもりが独断になる痛みを知り、ようやく“まず聞くこと”の重さに気づき始めていた。翌日の昼休み。中村優作は、コンビニの袋を持ったまま、休憩スペースの前で足を止めた。中から、聞き慣れた声がした。桐谷ケイ。いつものように少し軽い声で、誰かと話している。「いや、大丈夫っすよ。僕そういうの慣れてるんで」笑っている。いつもの桐谷だ。でも、その笑い方が、今日は少しだけ引っかかった。優作は中に入ろうとして、止まった。相手は真壁だった。「悪いな、桐谷。中村くん、最近田辺さんの件で手いっぱいだったからさ」「全然っす。僕、便利枠なんで」「いやいや、助かってるよ」「はいはい。助かる時だけ呼ばれるやつですね」桐谷は笑っていた。真壁も笑っていた。普通なら、軽いやり取りで終わる場面だった。でも優作は、なぜか胸の奥がざわついた。便利枠。その言葉が、冗談に聞こえなかった。昼休みが終わる頃、優作は桐谷の席に行った。「桐谷」「ん?」桐谷はいつもの顔で振り向く。「さっきの、真壁さんとの話」「さっき?」「便利枠って言ってたやつ」「ああ」桐谷は笑った。「ただの冗談だよ」いつもなら、優作もそこで流していた。そうか。ならいいか。でも、昨日の美月の声が頭に残っていた。聞いてください。優作は、少しだけ息を吸う。「本当に?」桐谷の顔が、一瞬だけ止まった。本当に短い一瞬だった。でも、止まった。「何が?」「本当に、ただの冗談?」桐谷は椅子にもたれた。「優作、最近ちょっと面倒くさくなったな」
0
カバー画像

『やさしさ迷惑13/100』

第13話「優しい人ほど、相手を見ていない」前話:優作は、美月への負担を減らすつもりで、田辺案件の追加情報を一度自分たちだけで整理しようとした。しかしそれは、美月から見れば“助ける”ではなく“外す”行為だった。謝罪は受け取られたが、美月は「明日、もう一度話しましょう」とだけ言った。翌朝。優作は、いつもより早く会社に着いた。早く来たところで、何かが解決するわけではない。それでも、じっと家にいるよりはましだった。昨日の美月の声が、何度も頭の中で戻ってくる。「それは助けるじゃなくて、私を外しただけです」何度思い返しても、胸の奥が冷たくなる。言い返した自分の声も残っていた。「そんな言い方しなくてもいいじゃないですか」あれは、完全に逃げだった。分かっている。でも、分かっているのと、受け止められるのは違う。優作はデスクに座り、PCを開いた。けれど、画面の文字がほとんど入ってこなかった。少しして、美月が出社してきた。「おはようございます」いつも通りの声。「……おはようございます」優作も返す。美月は自分の席にバッグを置き、PCを開いた。それだけだった。昨日までなら、少しだけ目が合ったかもしれない。今日は、合わなかった。その方が、よほどこたえた。午前十時。美月からチャットが来た。11時、会議室Bでお願いします。一行だけ。優作は画面を見つめる。承知しました。送信したあと、手のひらが少し湿っていることに気づいた。11時までの一時間が、やけに長かった。会議室B。美月はすでに座っていた。ノートPCは開いていない。資料もない。仕事の話ではある。でも、資料で片づける話ではない。優作は向かいに座った。「昨日は、
0
カバー画像

『やさしさ迷惑8/100』

第8話「ダメだった、で終わらせるな」翌日の午後。オフィスは静かだった。静かというより、みんなそれぞれ目の前の仕事に沈んでいて、余計な声が少ない時間帯だった。中村優作は、自分の席で資料を見直していた。昨日の佐伯の件もあって、返信文の“曖昧ワード”が前より気になるようになっている。「確認します」「整理します」「改めてご連絡します」一見ちゃんとして見える言葉ほど、中身がないと怖い。最近、ようやくそれが身にしみてきた。その時だった。少し離れた席で、何かが落ちる音がした。優作が顔を上げると、佐伯がクリアファイルを床に落としていた。拾おうとして手間取って、さらに書類を散らかしている。「佐伯、大丈夫か」「……はい、大丈夫です」大丈夫じゃない声だった。優作は席を立つ。近くまで行くと、佐伯の画面に未送信のメールが開いたままになっていた。件名:お詫びと訂正優作は一瞬だけ止まる。「何かあった?」佐伯は、散らばった紙を集めながら言った。「さっき、先方に送った確認メールなんですけど……」「うん」「日付、間違えました」優作は眉を寄せる。「日付?」「打ち合わせ候補、来週の12日って送るつもりが、今週の12日で送ってて……」「……ああ」「先方、もうその日で社内押さえちゃって。でもこっちはその日、別件入ってて」佐伯の声はどんどん小さくなる。「今、先方ちょっと怒ってて。自分、確認したつもりだったんですけど……」そこで言葉が止まる。“確認したつもり”またその言葉だ。でも今の佐伯は、それを反省材料として言っているというより、ほとんど自分を殴るために使っていた。「で、今これ書いてるの?」優作が画面を指す。佐伯は小さくう
0
カバー画像

『やさしさ迷惑12/100』

第12話「それ、優しさじゃないです」前話:優作は、佐伯に任せた仕事でズレが起きた時、佐伯だけを前に出さず、“任せた側の責任”として立った。美月からは「仕事の話です、たぶん」とメッセージが届いた。翌朝。優作は、出社してすぐに美月のメッセージを思い出していた。明日、少しだけ時間ありますか仕事の話ですたぶんたぶん。仕事では危ない言葉だ。なのに、美月が使うと、なぜか少しだけ意味が変わる。いや、変わってほしいと思っているだけかもしれない。優作は自分の席に座りながら、そんなことを考えていた。その時、チャットが鳴った。送り主は真壁。昨日の田辺さんの件、追加で先方から一点来てる。相沢さんにまだ共有しないで、先に中村くんと整理したい。優作は画面を見つめた。相沢さんにまだ共有しないで。その一文に、少し引っかかった。数分後、真壁が優作の席に来た。「悪い、ちょっといい?」「はい」真壁は小声で言った。「田辺さんから、次回資料の中で“リスク部分をもう少し強めに出してほしい”って来てて」「それ、美月さんにも共有した方がよくないですか」「いや、相沢さん、今日かなり詰まってるだろ。今入れるとまた全部見直しになるから、一回こっちで整理してからでいいと思うんだよ」優作は美月の席を見た。確かに、美月は朝から別件に追われている。電話、チャット、資料確認。ずっと手が止まっていない。真壁は続ける。「中村くん、昨日から流れ分かってるしさ。相沢さんに負担かける前に、まず俺たちで叩き台作ろう」その言い方は、少しだけ優しく聞こえた。美月に負担をかけない。一度整理してから渡す。悪くない気がした。優作は迷った。本当は、すぐ共有した方が
0
カバー画像

『やさしさ迷惑11/100』

第11話「任せたのは、誰ですか」前話:優作は、佐伯に田辺案件の一次対応を任せた。口を出したくなる自分を抑え、佐伯が自分の言葉で立つのを見届けた。美月には「任せる側も、練習です」と言われた。翌朝。優作が出社すると、佐伯の席の周りだけ空気が重かった。佐伯は画面を見たまま固まっている。真壁は腕を組み、珍しく笑っていない。美月も、少し離れた席からこちらを見ていた。「……何かありました?」優作が声をかけると、真壁が低い声で言った。「田辺さんの件、ちょっとまずい」優作の背中が固まる。「まずい、って」佐伯が小さく口を開く。「昨日、僕が確認した内容なんですけど……」声が震えていた。「次回までに整理する資料の粒度を、“概要レベルで大丈夫”って受け取ってしまって」「うん」「でも、今朝田辺さんからメールが来て……」佐伯は画面をこちらに向けた。昨日の確認では、役員説明に使える程度の粒度でお願いした認識でした。概要のみですと社内説明に不足する可能性があります。優作はメールを読んで、息を止めた。ズレている。大きなズレではない。でも、昨日せっかく戻しかけた信頼を、また少し揺らすには十分だった。真壁が言う。「佐伯くん、そこ確認したんだよね?」佐伯の肩が小さく跳ねる。「はい……確認したつもりでした」“確認したつもり”その言葉は、もう何度も聞いてきた。でも今日は、いつもより痛い。なぜなら今回は、佐伯に任せたのは優作だからだ。真壁はため息をついた。「だから言ったんだよ。田辺さんの件はまだ佐伯くんには早いって」優作の胸に、嫌な熱が走った。言った?いつ?真壁は続ける。「中村くんが見てたんだよね?」「はい」「じゃあ、なん
0
カバー画像

『やさしさ迷惑10/100』

第10話「任せる」は、手を離すことじゃない前話:優作は、真壁からの無理な依頼に対して、相手を責めず、自分も潰さずに「できること」と「できないこと」を伝えた。少しずつ、“優しさで飲み込む”以外の関わり方を覚え始めていた。翌朝。中村優作は、佐伯の様子がおかしいことに気づいた。いつも静かな後輩ではある。でも今日の静かさは、少し違う。画面を見ているのに、目が泳いでいる。キーボードに手を置いているのに、指が動いていない。「佐伯」「……はい」「何かあった?」佐伯は一度口を開いて、すぐ閉じた。「大丈夫です」大丈夫じゃない時の、一番分かりやすい言い方だった。優作は椅子を引いて立ち上がる。「ちょっと話すか」佐伯は小さくうなずいた。会議室に入ると、佐伯はしばらく黙っていた。「今日の午後、田辺さんの件で、追加確認があるじゃないですか」「ああ」「あれ、相沢さんから“佐伯くんが一次対応してみて”って言われました」優作は少し驚いた。田辺の案件。4話から6話にかけて、認識ズレでかなり苦い思いをした、あの案件だ。「あの件を、佐伯が?」「はい」佐伯は視線を落とす。「でも、怖いです。またズレたらどうしようって。中村さんなら流れ分かってるじゃないですか」その言葉で、優作は何を言われたいのか分かった。代わってほしい。そう言っているわけではない。でも、そういう顔だった。怖い。失敗したくない。だから、分かっている人に前に出てほしい。その気持ちは、少し前の優作にも痛いほど分かった。会議室のドアがノックされた。美月だった。「入ってもいいですか」「はい」美月は佐伯を見る。「佐伯くん。無理にやらせたいわけじゃありません」佐伯は硬
0
カバー画像

『やさしさ迷惑9/100』

第9話「それは、できません」と言えますか?朝から、真壁の声は少し大きかった。「いや、だから今日中に一回出したいんだよ」電話越しの相手に、真壁は笑いながら言っている。笑っているのに、少しだけ圧がある。中村優作は、自分の席で資料を見ながら、その声を聞いていた。嫌な予感がする時の真壁は、たいてい語尾が軽い。「ちょっとだけ」「ざっくりで」「一回だけ」その軽さの中に、だいたい重たいものが入っている。電話を終えた真壁が、優作の席にやってきた。「中村くん、悪い」きた。優作は心の中で小さく身構える。「何ですか」「今日の夕方までに、例の提案資料、軽く整えられる?」「例の、ってどの件ですか」「昨日話した新規開拓のやつ」優作は画面の予定表を見る。午前は社内会議。午後は佐伯の資料確認。夕方には別件の提出。軽く整える余白は、たぶんない。「今日中、ですか」「うん。そんなに重くなくていいから。見た目だけ」“見た目だけ”その言葉が、また少し危ない匂いを出す。優作は一度、口を開きかけた。分かりました。いつもの言葉が、喉まで来た。でも、そこで止まった。最近の自分は、これで何度も仕事を増やしてきた。曖昧に受けて、あとから膨らんで、勝手に苦しくなって、それでも相手には「大丈夫です」と言ってしまう。真壁は悪気なく待っている。「どう?」優作は少しだけ息を吸った。「すみません。今日中にはできません」言った瞬間、周りの音が少しだけ遠くなった気がした。真壁の眉が上がる。「え、無理?」「はい。今日の予定だと、夕方までに“見た目だけ”でも整える時間は取れないです」言いながら、優作の心臓はかなり速い。断った。今、断った。でも、言い方
0
カバー画像

『やさしさ迷惑7/100』

第7話「今の、それ反則です」翌週の月曜、朝。案件の山を一つ越えたはずなのに、オフィスの空気は相変わらず落ち着かない。電話は鳴るし、チャットは光るし、誰かの「ちょっといいですか」があちこちで飛んでいる。中村優作は、席に座るなり佐伯からのメッセージを開いた。中村さん、すみません。「一回整理してから返す」と言われたんですけど、あれ、どのくらい待っていい整理なんでしょうか優作は画面を見たまま、少しだけ笑う。「……また始まったな」「何がですか」斜め前から、美月の声が飛んでくる。「いや、曖昧ワード案件です」「どれですか」優作はチャットをそのまま転送した。数秒後、美月の返信が来る。“一回整理”の長さが人によって違いますねたしかにそうだ。“ちょっとだけ”も、“迷ったら聞いて”も、“たぶん大丈夫”も、だいたい人によって違う。優作は佐伯に返した。「整理してから」が今日中なのか、明日でもいいのか確認していいよ。それと、何を整理するつもりかも聞いて大丈夫送信したあとで、自分でも少しだけ不思議になる。前なら、ここまで細かく返していなかった。「中村さん」美月が呼ぶ。「はい」「今の、悪くなかったです」優作は手を止めた。「……あ、どうも」たぶん、こういう一言にまだ弱い。というか、かなり弱い。その様子を見ていた桐谷が、通りすがりにぼそっと言う。「今日も機嫌いいな」「うるさい」「分かりやす」「分かりやすくない」「いや、かなり」朝からうるさい。でも否定しきれないのが少し悔しい。昼前。真壁が、また別件で優作の席にやってきた。「中村くん、悪い。先方への返信、これでいけると思う?」そう言って見せられたメール文面には、こう
0
カバー画像

『やさしさ迷惑32/100』

第32話優しい人ほど、怒る場所を失っていく前話:真壁は、場を回す人だった。誰かが言いづらそうなら拾い、重くなったら軽くし、ズレたら戻す。その一方で、自分の話をする順番は後ろへ下がっていた。優作は、場を回す人にも「真壁さんはどうですか」と聞かれる場所が必要なのだと知った。夜のコインランドリーは、思ったより明るかった。白い蛍光灯。回り続ける洗濯機。乾燥機の中で、服が何度も持ち上がっては落ちる。低い機械音が、店内にずっと響いている。優作は、洗濯機の前のベンチに座っていた。膝の上には、読みかけの本。でも、ページはほとんど進んでいない。最近、人のことばかり見ている気がした。美月の、強い人にされるしんどさ。美月の、大丈夫ですの奥。桐谷の、冗談に包まれた痛み。真壁の、場を回す人の孤独。見ようとするたびに、見えていなかったものが増えていく。そして、増えるたびに少し怖くなる。では、自分はどうなのか。優作は、本を閉じた。洗濯機の丸い窓の中で、自分のシャツがぐるぐる回っていた。まるで、考えがずっと同じ場所を回っているみたいだった。自動ドアが開いた。若い男女が入ってきた。二十代前半くらいだろうか。彼氏らしき男性が、大きな袋を片手に持っている。彼女らしき女性は、その後ろを少し不機嫌そうに歩いていた。「だから、乾燥までやっといたって」男性が言う。「やっといたって言い方しないで」女性の声は低かった。「いや、助かるかなと思って」「助かってない」男性は袋の中から、小さくなったニットを取り出した。「でも、着れるじゃん」女性が固まった。優作も、思わずそちらを見た。「着れるかどうかじゃない」女性は、ニットを受け取って
0
カバー画像

『やさしさ迷惑31/100』

第31話場を回す人ほど、自分の話をする場所がない前話:桐谷は、自分を雑に扱う冗談で場を軽くしていた。でもその冗談は、周りに“雑に扱っていい人”として覚えられていく。優作は、笑っている人が本当に平気とは限らないことを知った。仕事帰り。駅前の立ち食いそば屋から、温かい湯気が上がっていた。優作は、通り過ぎようとして足を止めた。店の中に、真壁がいた。カウンターの端。ネクタイを少し緩めて、かき揚げそばを食べている。ひとりだった。真壁は、ひとりでも真壁らしかった。店員に軽く会釈をして、隣の客が水をこぼしそうになると、さっと紙ナプキンを渡す。それから何事もなかったように、そばをすする。優作は、少し迷ってから店に入った。「真壁さん」真壁が顔を上げる。「お、中村」真壁はすぐ笑った。「珍しいな。食ってく?」「いや、僕は」「悩んでる顔してる時は、温かいもん入れた方がいいぞ」優作は苦笑いした。「顔に出てますか」「出てる」「そんなにですか」「中村は、考えてる時だいたい眉間に会議室できてる」「会議室」「しかも長引くタイプの」優作は少し笑った。真壁は、いつも通りだった。人を緩める。空気を軽くする。相手が話しやすいように、最初の一言を置く。優作は券売機でかけそばを買い、真壁の隣に立った。「で」真壁は、そばをすすりながら言った。「何に引っかかってんの」優作は箸を持ったまま止まった。いつもの真壁だった。こちらが何かを抱えていそうだと、先に聞く。聞き方も重くない。逃げ道もある。でも、ちゃんと入口を作ってくれる。優作は、少しだけ考えた。30話の桐谷を思い出した。笑っている人ほど、雑に扱われることがある。じゃあ、真壁は
0
カバー画像

コミュニケーション研修『あるある通信⑧』~やさしさ迷惑8/100より~

『ダメだった、で終わらせるな』佐伯:「日付、間違えました……」優作:「うん。それはそう」佐伯:「自分、確認したつもりだったんですけど……」気づきミスした時、人はまず“自分がダメだった”で止まりやすい。でも、そこで止まると見えるのは自分の失敗だけで、相手の混乱をどう戻すかが見えなくなる。優作:「今お前、自分のミスをどうにかしようとしてるんじゃなくて、自分を罰しようとしてるだろ」佐伯:「……」優作:「今必要なのは、お前が落ち込むことじゃなくて、相手の混乱を減らすことだろ」あるある本当に終わるのは、ミスした時じゃない。“自分がダメだった”しか見えなくなった時。謝るのは必要。でも、その次に必要なのは✔ 何が起きたか✔ どう戻すか✔ 次にどう動くかここまで言葉にすること。美月:「“ミスしました”だけじゃなくて、“だからこうします”が入ったので」学び人は、正しいことを言われても、追い詰められている時は入らない。でも、失敗の見方が変わると、次の行動が見える。
0
18 件中 1 - 18