令和7年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行されます。これは、職場における熱中症対策を強化するもので、その規定の概要は次のとおりです。
1. 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、次の①又は②の者がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
① 熱中症の自覚症状がある作業者
② 熱中症のおそれがある作業者を見つけた者
2. 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、次の①~④など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
① 作業からの離脱
② 身体の冷却
③ 必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④ 事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
※熱中症を生ずるおそれのある作業……WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものをいう。
また帝国データバンク(東京都港区)は5月21日、企業における熱中症対策の実施状況に関する調査結果を公表しました。熱中症対策については、9割を超える企業がすでに何らかの対応を行っている、あるいは検討しています。しかし、6月から義務化される労働安全衛生規則の内容を「詳しく知っている」とする企業は15.6%にとどまり、制度の理解が十分に行き届いていない実態も明らかとなりました。
■義務化への認知は業種間で差 室内対策の重要性も浮き彫りに
2025年6月1日に施行される労働安全衛生規則の改正により、一定の作業環境下で事業者に対して熱中症対策が義務付けられます。調査では、「詳しく知っている」が15.6%、「なんとなく知っている」が39.5%で、認知率は55.2%にとどまりました。「知らない」は26.3%にのぼっています。
業種別では、建設業は79.3%と高い認知率を示しましたが、小売業(38.9%)や不動産業(42.4%)は4割を下回っており、業種間で大きな差が見られました。
消防庁の統計によれば、2024年の熱中症による救急搬送のうち、38%が住居内、10.1%が工場や作業場などの仕事場で発生しており、屋内でも熱中症のリスクが存在します。空調が不十分な室内環境で働く従業員に対しても、的確な対策が求められます。
今回の調査は2025年5月9日から15日まで、インターネット上で実施され、1568社から有効回答を得ています。詳細な結果は、帝国データバンクの公式サイトで確認できます。
厚生労働省から、この改正の内容を分かりやすく説明したリーフレットとパンフレットが公表されました。また、この改正の趣旨や細部事項などを周知するための通達も発出されました(令和7年5月20日公表)。
詳しくは、厚生労働省のHPからご確認頂けます。
なお、今回発出された通達では、「改正により新設される労働安全衛生規則第612条の2は、労働安全衛生法第22条に基づくものであり、個々の事業者に対し、措置義務が課されるものであること」と説明されています。
この労働安全衛生法第22条には、罰則が設けられており、同条の規定に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされています(労働安全衛生法第119条第1号)。