事業所(ショップ)訪問

記事
ビジネス・マーケティング
店舗を構え、お店を開けてご来店されるお客様を待つだけ…
普通に考えたらそうなのでしょうけど。
リージョナルプロモーション(売場起点の狭域型購買促進)の「3P戦略」の一つ、来店促進策(Pull戦略)として、外食ではこういうこともできましたよ、という自らの経験談を元にした内容としています。

業務指示

当時、居酒屋の店長をしていた時、上司より所謂「指示」としてある一定数は事業所(ショップ)訪問は行うよう言われていました。

ま、まさかの・・・外へ出ての『営業活動』です。
訪問をして、自店の良さを伝えて来店を促す(宴会を獲得する)だけでしたので、ある程度敷居は低かったのですが。

そのトレースについては「5W1H」の具体性に乏しい部分があり、
実際行っているのか、いないのか、
またその内容等についても『神のみぞ知る』ところでした。

当時まだ20代後半と若かった自分は、それこそ愚直に取り組もうとするわけでしたが、諸先輩方へアドバイスを伺っても煙に巻かれる状況ばかりでした。

そこで、そのPDCAサイクルを自分らしく作ることにしました。

その前にサイクルを作る前提として、お客様の柱にしたい増やしたいターゲットは、『サラリーマン層』でしたので、ベースはそこを目掛けたものとしました。
(当時はSTP分析などもまるで知らない状況でした。現在もあまり理解していないかもしれませんが・・・)

Plan(計画)

大切にしたのは、

①目的をぶらさないこと
【自店の認知度アップ、来店頻度向上、ご来注文数増】

②達成可能な数値目標件数に設定すること
はじめは、50件/月程度で設定していましたが、後に80~100件/月程度へ増やしました。

③どうなったら『成功』なのか、あらかじめザックリ定めておくこと
同封の割引券回収状況(ご来店日時、人数、売上、割引額、割引率をトレース)し、新規顧客であれば、1件あれば御の字の勢い。ただし、既存顧客であれば、伺った件数の50%以上を狙いました。

④あくまで優先すべきは『円滑な店舗運営』なので、状況に合わせて変化させること
訪問状況で何をしなければならないか変化したりすることも往々にして出てくるので。

例えば、付近の大きめな公園で催事があった際に狙って伺ったら、当日20名を超える宴会獲得ができ、食材集め、人集め、仕込みに奔走することとなったり。
例えば、伺った先で、「店長、今日行くから、秋刀魚の刺身準備しといて」と言われて、急遽食材の買い出しに奔走したり。



その上で「5W1H」へ落とし込んでいきます。

(How many)月に何件廻るか(数値目標)
これは、上司から促されていたので、難なく定められます。
1度の訪問で、長くて大体5~10分程度。
移動時間を鑑みると、大体10件/1時間程度でしたかね・・・

(When)いつ廻るのか(シフトの確認とスケジュール調整)
店舗営業中は、それにしこたま集中すべきなのは自明の理です。
仕込みの時間帯、もしくは少し早起きして行動する流れとしました。
当時の店舗は17時オープンでしたので、
13~16時あたりで行動していた記憶があります。
よく狙ったのは、毎週月曜、火曜
週の頭に週末の予定を考える方が多いのではないだろうか?と仮定して、安直に集客に繋がりやすいのでは、と考えたからでした。
また、後々外を廻り始めてわかってきたことなのですが、不動産会社や、カーディーラー、美容室や理容室などは、『平日休み』を設けている部分がありました。その方々にとっては、『平日休みの前日』は週末のようなものではないか?と仮定し、そこも安直に集客に繋がりやすいのでは、と考えたからでした。

従業員のシフト表作成も行ってましたが、このことを加味した内容とし、極力動ける体制を作ろうとしました。(気持ちシフトを増やす=役割を与える=稼ぐ機会を増やすことを意識)(ムリの削除)

『店長』(自分)⇒時間さえあれば集客のために動く
『従業員』⇒お店を守る
そんな感じの役割分担でした。

(Who)誰が廻るのか
当時は社員が自分一人だけで、他の従業員は皆アルバイトさんでしたので、無論、自分しかいませんでした。
近所のショップへご挨拶へ伺う程度なら、ユニフォームでも良いのかもしれませんが、スーツ着用で伺うようにしてました。
ターゲット層がサラリーマンだったことは大きな理由ではありますが、
『親しき中にも礼儀あり』みたいな感じでしょうかね。
『お店にいらしてほしい、というお願いをする』立場をわきまえて。

(Where)どの地域を廻るのか(場所の選定)
商圏は一般的には、店舗を中心としてドーナツ状にあると認識していましたので、それに倣い周辺へ『輪』を広げていく感じでした。

(Why)何故その地域を廻るのか(ターゲット層の確認と場所に合っているか)
店舗は繁華街の端っこへ位置していましたが、そこから徒歩5~10分圏内にはオフィス街が立ち並んでましたので、ターゲット層のサラリーマン目掛けた形です。

(What)何を持っていくのか
・メニューの御案内(時候の挨拶から自分で作成)
・宴会の御案内
・割引券(1名様から使用できるものを4名分)
※有効期限をつける。
※4名テーブルに4名様でご来店して欲しいという隠喩。(席効率)
・飴ちゃん(1個だけ)
※『何か入っているぞ!?』と思わせ、開封率を上げるため

飴ちゃんについては、当時、本かWebサイトでDMの開封率を上げる方法として記載されていた記事を読み、それを愚直に行っていました。

Do(実行)

訪問するにあたり、トークスクリプトは作成しませんでした。
セリフ棒読み的な対応は避けたかったし、
『仕事だから来てるんだよ』って思われたくなかったし、
『あなただから会いに来たんだよ』って思って欲しいがゆえでした。

その割に、歩きながら『どう切り出して話そうか?』何をどう伝えようか?』など自ずと考えてしまうものでしたね・・・

新規顧客
訪問すると、まず『店舗の名前すら知らない』という方が約半数程度。さらに名前を知っていても、『どこにあるのか知らない』という方が残り半数程度。そもそも突然の訪問で、案件に興味がない方などは、渡した先からゴミ箱へ捨てる方もいらしました。
手に汗どころか、お尻に汗かく緊張の中伺っても、けんもほろろなことが殆ど。
たまに、「じゃ、今後行ってみるよ」という嬉しい言葉を頂くも、ほとんどが『リップサービス』でした。
とにかく、新規顧客に関しては厳しかった記憶です。

これが続くと、モチベーションを維持することが難しくなりました。自ずと足取りも鉛のように重たくなる・・・


既存顧客
既存顧客って言っても・・・情報は・・・
そう、
しこたま店内で繰り広げ続けていた『店内名刺交換』をもとにしました。
住所も部署もお名前も電話番号も載ってますからね。
折角交換していただいた情報を、活かさない手はない。

普段は、いつもお店まで足を運んでくださるお客様。
たまにはこちらからご挨拶に伺っても良いのでは?と。

CRM(Customer Relationship Management)
にも通じる部分らしいのですが・・・
後々リテールマーケティング検定や
経営学検定を勉強する際に知りました・・・

伺うと大概好意的でした。
突然伺ったのにも関わらず、応接室へ通されてお茶までいただいたりも度々しました。

Check(評価)

目標件数は、比較的達成することが多かったです。
販促の効率を考えると、別なところへ注力した方が効果があったので、そちらへとシフトしがちでした。

新規顧客
・・・記憶では・・・1件/月程度でした。訪問販売の難しさを疑似体験したような感じでした。

新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するそれの5倍かかる、という『1:5の法則』があるようですが、そんな比ではありませんでしたね・・・体感で『1:20』くらい。いや、それ以上か・・・そのくらい獲得するのが難しい。
その代わり、そのご来店とわかるとまるで『犬』のようにはしゃぎましたね。
件数は少ないが、得られた喜びはとてつもなく大きかったです。

既存顧客
もう、圧倒的に多い印象でした。
ただし・・・ですが、他の販促ともリンクできたことで、奏功したことが多かった印象です。
(週1回、メールでニューズレターの送付。独自のポイントカードシステムから、来店回数、来店頻度、購買金額等を確認し、DM送付等で優良顧客への対応を意識する等。)
単体の販促としては、やはり弱いのでは・・・ということは否めません。
伺った内の50%は獲得できたのか・・・出来ていなかったように記憶しています。


Action(改善)

『じゃ、どうするか?』

心の中では靄が立ち込めます。

新規顧客・・・伺う割にご来店まで繋がらない。
アポなし訪問がいけないのか・・・
トークスクリプトを作成していないためか・・・
何より伺った件数に対してのご来店、売上への帰依が少ない。

既存顧客・・・単体販促ではてんで弱い。
複数販促の合わせ技でご来店へとは繋がっている。。。

もやもやもやもや・・・

頭をもたげたのは、
『3-3-3』の法則
人は悲しいくらい忘れていく生き物のようで、
3日→3週間→3ヶ月を一つの目安として記憶が薄れていくようです。

『バスタブ理論』
いくらバスタブにお湯を入れて(新規顧客を増やして)も
お湯は底から漏れてしまう(離れてしまう顧客がいる)。
常連様、上顧客と呼ばれる方々は、常にいつまでもご来店されるわけではなく、環境の変化でご来店が遠のく可能性をいつも秘めている。

もやもやもやもや・・・
迷いながらも道筋を決めました。

『顧客を抱え込み続けよう』
「新規顧客を増やす」絶対数よりも「既存顧客を抱え込む」絶対数を増やす方が楽で効率が良いのではないだろうか?

『お店を忘れさせない施策を取り続けよう』
当時これ以外に重点的に行っていた販促は、
①店内名刺交換からのDM送付、週1回のE-mail送付
②新規ポイントカード会員獲得(獲得後、即日DM送付、週1回のE-mail送付)
③ポイントカード会員のデジル分析(ご来店日時、人数、売上、ご来店回数)から優良顧客へ導くこと

今回の事業所(ショップ訪問)は、とりわけとリンクしていました。
店長に会社まで来られちゃ・・・来るしかないでしょ。」と根負けされた方も度々見られました。

単体では弱いかもしれないけど、販促を掛け合わせることでご来店へと繋がるが高くなるのでは・・・?集客する為には、背に腹は代えられない。

から該当されるお客様を分析すると、複数の方が、来店ペースが上がっていたり、売上金額が増加していたり、という部分が垣間見れました。

Action Plan

まず、目的はそのままにしよう。
【自店の認知度アップ、来店頻度向上、ご来注文数増】

店舗では、店内名刺交換をさらに強化して、既存顧客の訪問できる先を増やそう。

事業所(ショップ)訪問は継続するけど、比重を変えよう。
新規顧客:既存顧客=2:8
くらいにしよう。

既存顧客中心に廻り、関係性を強固なものにしていこう。

時に自家用車を引っ張り出して、歩いては伺えない範囲のお客様のところへも顔を出そう。

新規顧客獲得へも動くけど、嗅覚(周辺の催事、イベントの確認など)を鋭くして、獲得効率を上げよう。

訪問する際、最初と最後は『既存顧客』とすることで、経験不足を補い、不安を取り除くことも兼ねよう、と。

その後

店内名刺交換から、既存のお客様が新しいお客様をご紹介いただいたり、
その行動の流れが東芝コンシューママーケティング株式会社の研修で題材として使用されたりしました。
集客へは、販促の掛け合わせで帰依しました。

ものごと、一つだけに絞って取り組んでももしかすると結果が乏しいものになるかもしれませんが、何かと掛け合わせることで、相乗効果までとはいかずとも、結果へは繋がったと自負しています。

また、CRMしかり、LTVしかり、当時は全く知識がない状況でしたが、良く既存顧客へ舵を切れたな、とも思います。

ちなみに、ご来店までのスパンの目安ですが、体感で1~2週間程度でした。
即効性はありませんでしたが、効果までの逆算ができてくるわけで、行動計画が立てやすかったです。
また、カレンダー、曜日廻り、予算や前年の動きを確認し、その月のウィークポイントを考察して行動することで、『給料日前だからどーっせ暇だし』とか諦めから入らない『営業』へ持っていくことができました。

なお、地域や訪問先などの特徴から、効果の出る時期は異なってくると思います。その地域に応じたスパンを見定めるのが得策と思います。

こちらの内容、販促の一つの引き出しとして持ってもらえれば幸いです。

もっと話を伺いたい、という方などいらっしゃいましたら、お気軽にメールをいただければ幸いです。




サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す