新しい人生の幕開け…4

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入籍はまだしていなかった。

子供たちを引き取るのが最優先だったから。

そうしているうちに半年の年月が経っていた…。

子供たちもスッカリ保育園や生活に馴れ、私も順調に仕事をしていた。
仕事は思ったより順調で、今までは貰ったことがない給料の額になっていたが、私は今までと同じ生活をしていた。
そして密かに「貯金」をしていた。

子供たちがこれから小学生になるときの「準備費用」として貯めていた。
なんでも彼には言えなかった…。
かといって信用していないわけではない。

どこか「迷惑」だと思っている自分がいた。

日々の生活は彼の給料と私の給料で生活していた。

それでも月に20万円くらいは貯金できていた。

ある日彼が仕事から帰ってきたときに思い切って聞いてみた。
「入籍、どうする?いつにする?」と…
彼は「あ~、忙しくて忘れてたな…」と…。
入籍って忘れるものなのか、とも思ったが言えなかった…。

彼は続けてこういった
「今度帰ってくるときに入籍するから婚姻届け、もらってきて」と…。

私はなんだか腑に落ちなかった…。

それは「しょうがない」という感じがしたからだ。

疲れているのかもしれないが、私は再婚になるけど彼は初婚。

なんだか私だけが「浮かれている」と思ってしまった。
元旦那も「プロポーズ」なんかなかったから、ちょっとは期待した。
それと共に「フラッシュバック」のような感覚に陥ったが、すぐにその記憶は自分の中で消した。

私は彼の言葉に「うん」としか返せなかった。

翌日、私は市役所に行き「入籍届」を取りに行った…。

本当はこれって二人で取りに来たかったな…。
その気持ちを抑え受け取った…。

仕事から帰り子供たちにご飯やお風呂、そして寝たのを見計らって「婚姻届け」に自分の名前を書いた。

彼がいつ帰ってきてもいいように…。

それから彼は2週間くらい帰ってこなかった。
もちろん連絡は取っていたものの「入籍」に関しては一切触れてこなかった。

そして彼が帰ってきたのは「平日」だった。

私は自分の仕事をなんとか終わらせ上司に話をして一度家に帰った。
彼はまだ家には着いていない様子だった。

少し待っていると彼は帰ってきた。
そして唐突に「俺の実家に行くぞ」といい、そそくさと準備をした。
私は「え?!今?なんで?」と聞くと「証人の欄に書いてもらわなきゃいけないだろ」と言われた。

あ、そうか…私に親がいないから…。

私は彼の両親から嫌われているのはわかっていたけど不安だった。

果たして書いてくれるのか…。

車を走らせること40分…。
彼の実家に着いた。

軽い挨拶をして家に入ったが相変わらずお義母さんは嫌な顔をしていた。
お義父さんはとても喜んでくれていたが…。

彼はその場で婚姻届けにサインをし、お義父さんに証人の記入を頼んでいたが、お義母さんは「私は書かないよ!」とキッパリ言われた。
彼は「お前になんか頼んでね~よ!」と怒っていたが私は居心地のいいものではなかった…。
けれど証人というのはもう一人必要だった。

どうしよう…。

私たちは、どうにもならないことを考えながら家に帰ることにした。

車の中で「証人は誰でもいいのか」などと話し合った。
市役所の人に聞くと「本来は両親だけどいない方もいらっしゃるので、どうにもならなければ第3者でも構いません」との回答だった。

それを彼に伝えると「友達でもいいってことか」と納得したような返事をした。
そして「お前の方に頼める友達いないのか」と言われた。

私は黙ってしまった…。

頼める友達なんか私に存在しない…。

ここまできてやっぱり私は「役に立たない」と思った。


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