孤独なブレトシュナイダー

記事
コラム
体操個人総合2連覇の夢を捨て
種目別の鉄棒にすべてをかける

内村航平

そこまで
東京オリンピックのメダルにこだわってきた

しかし
演技途中での落下

過酷な現実は
体操競技の厳しさと
ケガ以上の苦しみを
まざまざと見せつけられる結果となった

絶対王者のまさかの予選落ち

世界中のギャラリーに衝撃を与えた

それから2日後・・

日本の2連覇をかけた
男子団体総合決勝

スタンドに
内村の姿を見つけることはできなかった

自分の魂を引き継いだ後輩たちの活躍を
間近で見ることなく
誰にも気づかれることのないまま
独りオリンピックを去っていた

のちに語る

ここにはいられないなと。
予選落ちですからね、終わったんだと思っていたので。
もう、主役は彼らですからね。

もし、あの時に僕がスタンドにいたら、
メディアの方々の興味は少なからず、
こちらに来てしまうかなと。

それを避けたかった・・・

闘っている彼らに100%の注目が集まってほしかった。

あいつらはあいつらの
感動のシーンをつくっている最中なんだよな

頼れるべきキングが
そこにはもういない

内村の後輩に対する
精一杯のエールだった

僕以上にこんな結果で終わったアスリートは
いないんじゃないかと思う。

北島さんや伊調さんなど
2連覇、3連覇して次のオリンピックを目指した方も、
確かに目標に届かなかったりはしていますよね。

でも僕は、出場した上で予選落ち。

出たからこそ、逆にその結果がきついと言うか・・

でも、いまはあそこで失敗したことも
意味があると思えてきている。

努力すれば成功するということしかしなかった僕が、
努力しても成功しないこともあると経験した。

望んではいないけれども
でも、きっとそれは意味があること・・

失敗することって、スポーツに限らず誰にでもありますよね。

でも、決してそれを努力不足と捉えないで
現実としてそういう事もある

それを伝えるのは大事なんじゃないかな・・

努力は裏切ることもある・・

だけど、その事実にこのまま受け身で甘んじるつもりはない。

今日から体操世界選手権が
内村の地元の福岡で開催される

内村は再び日本代表として切符をつかんでいる
H難度の大技ブレトシュナイダーを携えて

体操への思いは変わらない。

どんなに細い糸であってもつなげていきたい思いがある。
結果以上に・・

観てもらうことで
何かを伝えてかなければならない

東京オリンピックでは結果を残せなかったが、
人生にはこういう事も必要なのではないか。

ここを乗り越えてこそ、次への道が拓ける


魅せるか
孤独なブレトシュナイダー

Written by Kaz Okayasu
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