給与計算をする上で社会保険料はとても大切な要素といえます。
従業員の健康保険証を発行するためには社会保険に加入する必要がありますし、厚生年金は将来受給する老齢年金額にも影響があります。
また、年末調整では社会保険料を控除するため、所得税額にも影響を及ぼします。
このように大事な社会保険料ですが、給与計算をする際には注意が必要です。
ややこしいルールが存在するんです!
今回はそんな社会保険料を給与計算する側の立場で解説していきます!
◆社会保険料とは?
そもそも社会保険料とは、健康保険や介護保険、厚生年金などの公的保険制度を維持するために、労働者やその雇用主が負担する保険料のことを指します。
(今回は雇用保険料は除きます)
これらの保険に加入することで、病気やケガ、失業、老後などに備えることができ、労働者が安定した生活を送るための重要なセーフティネットとなっています。
◆社会保険の加入対象者
◇役員、正社員
フルタイムで働く役員・正社員は、強制的に社会保険に加入することになります。
労働者と雇用主の双方が保険料を支払い、その負担割合は地域や業界によって異なる場合がありますが、一般的にはほぼ半々で負担します。
◇パートタイム・アルバイト
パートやアルバイトでも、一定の条件を満たせば社会保険に加入する義務があります。
具体的には、週の労働時間が正社員の4分の3以上である場合や、契約期間が2カ月以上の場合などが挙げられます。
特に、健康保険や厚生年金保険に加入する場合、労働時間や労働日数に注意する必要があります。
また、加入義務の要件は2024年10月より改正されますので、10月以降に社員を採用する場合は注意が必要です!
この改正内容についてはまた今度の機会に書きたいと思います!
◆給与天引きする前に!
先述した加入要件を満たしたからといっても、勝手に保険料を天引きしてはいけません!
社会保険料を給与天引きするためには「被保険者資格取得届」を年金事務所に提出する必要があります。
原則として、労働者が入社した日から5日以内に行われなければなりません。
資格取得届を提出してから1週間ぐらいすると、
年金事務所から
「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」
というものが事業所に届きます。
これをもって正式加入となりますので、内容を確認した上で給与天引きしましょう!
◆社会保険料の徴収タイミング
社会保険料は、毎月の給与支給時に天引きします。
給与明細には「健康保険料」や「厚生年金保険料」などの項目名を記載しますが、そこには労働者が負担する社会保険料の部分のみを反映させます。
間違って会社負担分の保険料まで天引きしないよう注意しましょう!
また、社会保険料を天引きして良いのは前月分の保険料に限れています。
例えば、4月に入社した社員であれば、天引きを開始するのは5月支給の給与から、となります。
これは労働者の負担を下げるための措置ですので、やむを得ない事情がない限りは入社した翌月に保険料を天引きしましょう!
◆算定基礎届の反映タイミング
事業主の皆様はとっくの昔に算定基礎届を提出したかと思います。
算定基礎届は別名「定時決定」といい、毎年行われる保険料の見直し制度です。
まだ提出していない!
という方は急いでください!
いま提出しても本来天引きする月での給与への反映は厳しいですが、1ヶ月程度の遅れで済みます!
算定基礎届の概要については以下の記事を参照してください!
話を戻しますが、算定基礎届での保険料見直しの結果は、9月分の保険料から反映することになります。
それでは、9月に支給する給与から反映?
違います!
先述した通り、保険料を天引きして良いのは「前月分」となりますので、10月支給の給与から適用です!
結構間違えやすい点なのでご留意を!
◆退職月の社会保険料天引き方法
これまで話してきたこととは別の、例外的な天引き方法があります。
社員が退職する月の天引きです!
社会保険料は原則「前月分を徴収する」という話をしましたが、退職する月はどうすべきでしょうか?
給与が翌月払いであれば問題ないですね。
例えば、3月末退職で翌月払いなら3月労働分は翌月の4月給与で天引きできますので、通常通りの方法となります。
では、末日締当月末払の場合は?
当月中に給与を支払うことになりますので、3月末退職であれば4月給与が支給されません。
となると、3月分の保険料はいつ天引きすれば良いのか?
このような場合、例外的に前月分と翌月分の2ヶ月分を天引きしても良いことになっています。
退職月である3月給与で2月分と3月分の2ヶ月分を天引きする、といった具合です。
当月払いの企業様は要注意です!
◆総括
社会保険料は、給与計算において非常に重要な要素であり、従業員の健康保険や厚生年金といった公的保険制度の維持に貢献します。
これらの保険は、労働者の病気や老後の生活を支えるセーフティネットとして機能し、年末調整でも控除の対象となるため、所得税にも影響を与えます。
社会保険料の計算には複雑なルールが存在し、加入要件を満たした従業員に対しては適切なタイミングで「資格取得届」を提出しなければなりません。
退職月には前月分と当月分の2ヶ月分を徴収するケースがあるなど、退職時の扱いには細心の注意が必要です。
給与計算をする際はこれらをしっかりと把握しておくことが求められます!
(前回のブログです)
〜ブログの著者への仕事の依頼はこちら〜