「ノー」と伝えるとき、相手を傷つけないように、納得してもらえるように、完璧な理由を準備しなければ……。そう思って、頭の中で何度もシミュレーションを繰り返して、結局何も言えずに苦しくなってしまうこと、ありますよね。
心理カウンセラーとして、そうやって一人で頑張りすぎてしまう方の優しさを、いつもすぐそばで感じています。でも、そんなふうに自分を追い詰めてしまうのは、もう終わりにしてもいいんですよ。
実は、相手が納得するような「完璧な理由」なんて、この世には存在しないのかもしれません。相手が納得するかどうかは、相手のその時の気分や状況、価値観に大きく左右されるからです。こちらがどれだけ言葉を尽くしても、相手が「ノー」という答えを受け入れられない状態なら、どんなに立派な理由も言い訳として跳ね返されてしまうことだってあります。
そんな不確かなものにエネルギーを使い果たして、パニックになってしまうなんて、本当にもったいないことだと思いませんか。
僕が皆さんに伝えたいのは、「理由を完璧にする必要はない」ということです。ただ、自分の気持ちを丁寧に扱うことだけで十分なんです。
「今は難しいんです」「ごめんなさい、今回はお引き受けできません」
たったこれだけでも、立派な意思表示です。もし相手から「どうして?」と聞かれたら、その時に少しだけ付け加える程度でいいんです。すべてを説明しようとせず、自分の心の境界線を守るために、短い言葉を選んでみてください。
パニックになりそうなときは、まずは深呼吸をして、自分の内側に意識を戻しましょう。「今、自分は何を大切にしたいのか」を確認するだけでいいんです。相手の期待に応えることよりも、自分の心地よさを守ることを最優先にしても、あなたは決してわがままではありません。
「ノー」と言うことは、相手を拒絶することではなく、自分自身を大切にするための儀式です。完璧な理由を探して迷路に迷い込む前に、ただシンプルに「ごめんなさい、今はできません」と伝えてみる。まずはそんな小さな挑戦から始めてみませんか。
あなたは、十分に頑張っています。もう、自分を責めるような完璧さを追い求める必要はありません。今日からは、少しだけ力を抜いて、自分の心に優しい選択をしていきましょうね。