絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

22 件中 1 - 22 件表示
カバー画像

繰り返される同じ医療事故

最近悲しい医療事故が続けて報告された。一つは2017年の事故で、健康な乳房を誤って切除し、その後癌と診断されていたもう一方の乳房を切除したとの事。もう一つは2014年の事故で、腹部エコーの診断結果の確認を怠り、必要な治療を行うのが遅れ死亡に至ったとの事。いずれのケースも過去から多くの報告されている。医療従事者は、常に安全管理を心掛け再発に取り組んでいる。自院の事故だけでなく、インシデントの報告を受け、事故の再発防止に取り組んでいる。また、その取り組みは自院だけでなく、日本病院医療機能評価機構から発行される日本中から集めれれた医療事故報告書や新聞などの事故報告を参考に、その対策を自院なりに対策を検討する。こうしてこそ、より多くの経験が活かせるのである。今回の2件の報告は、過去から多くの報告が寄せられているケースであり、それぞれの病院がどう対策を取っていたか疑問に思われる。人が行う以上一定の頻度で事故が起こる事は避けられないと思う。しかし、真剣に対策が行われないと、繰り返される事は必至である。ケースの2件目の対策として、院内で注意喚起を行い、診断結果の報告書が出来た時にそれをアラートで医師に知らせるように電子カルテを改修したと記載されている。しかし、過去の事故報告の中で電子カルテの改修をしたという事が複数記載されている。医療安全については「これでいい」ではなく、他の病院等の対応策もしっかり学び、「こうしないと防げない」という考え方で取り組んで欲しい。(トップ画像はPexelsのEVG Cultureによる画像)
0
カバー画像

病院のDX?

世間では、DXが大きな話題になっている。DXは無くてはならないものである。私も仕事がら関わらざるを得ないので、多少は情報を取っている。 先日あるWEBサイトで医療機関におけるDXというタイトルがあったので、読んでみた。そこに書かれた内容は、利用者が来院して受付対応をする。そこで利用者の満足度を測定する。その利用者が次の場所に行き、そこで対応を済ませるとまたそこで満足度を測定する。そういった事を積み上げてサービスの改善に繋げ、利用者の増を図るというものである。 ここでのデジタル技術の利用は、満足度の記録と、そのデータベースの積み上げとデータ分析となるのである。正直これには少し寒気を感じた。全く不必要な事では無いが、こんな所に費用と時間を掛けるのであれば、他にいくらでも必要なところがある。 確かに笑顔も必要であるが、病院のサービスのメインでは無い。まずは、良質な医療サービスを提供するところである。ポイント、ポイントで満足度を測定して、医療のサービスより笑顔のサービスを上げろという事なのか。 例えば、私は多くの病院に関わって来ているが、死亡統計をしっかり取っているところや分析しているがそんなに多く無いのである。仮に取っていたとしても、病歴管理室でその統計があるがそこから先に出る事が無い。病院によっては、病院実績をWEBで公開しているところがあるが、本当に極限られた病院だけである。また、病院の経営会議に死亡患者数が示されるところも少ない。この死亡統計を充実化させ、分析することで患者の存命期間を延ばす事も出来るはずだし、死亡患者を減らせる事が出来るのである。 病院のDXと名を打って発表す
0
カバー画像

情報収集とその共有

「コロナ禍で抗がん薬の副作用が減少」これは、今日目にした2022年8月8日付けMedical Tribuneの記事です。記事の中の一文を紹介させていただきます。  金沢大学泌尿器科教授の溝上氏は「COVID-19流行中に、発熱性好中球減少症の発症頻度が流行前の15分の1に減少した。これは、流行中はそれ以前よりも明らかに患者や医療従事者の衛生管理、面会制限が徹底された結果、外部から患者への細菌やウイルスの持ち込みが減り、従来の抗がん薬治療による好中球が減少する期間での感染が減少したからではないか」と推察。さらに「今回得られた知見と徹底した衛生管理は、どの診療科においても今後、抗がん薬治療を施行する上で発熱性好中球減少症対策に活用できると考えている」と展望している。コロナ下でも医療関係者は冷静な目で臨床の現場で起こっている状況を分析しています。これを読んで、病院の中で働いていた者としては、複雑な気持ちになります。がんの術後はICU病棟で治療することが多くあります。そのICUは感染対策には非常に力を入れています。ICU病床は重篤な患者の治療をするための病室であるため、「集中治療部設置のための指針」に沿って作る必要があります。その中にはクリーンな環境を必要とするため、空気清浄度について次のとおり記載されている。「集中治療部にはISO(国際標準化機構)基準によるクラス7、NASA基準によるクラス10,000~100,000程度の清浄空気が供給されることを推奨する。」これ程の環境の下にあるICU病床ですが、コロナ下で感染対策が徹底されることで、「発熱性好中球減少症の発症頻度が15分の1にな
0
カバー画像

カルテ開示②積極的カルテ開示の必要性

カルテ開示というと医療訴訟をイメージされる方が多いと思います。実は私もそのイメージが一番強いのが正直なところです。これは現状の運用が結果的にそうなってしまっているので仕方無いと思っています。そんな一方で、平成15年に作成された「診療情報の提供等に関する指針」では、診療情報の提供を「患者等が疾病と診療内容を十分理解し、医療従事者と患者等が共同して疾病を克服するなど、医療従事者等と患者等とのより良い信頼関係を構築することを目的にするもの」と記載しています。これには、カルテ開示も診療情報の提供の一つと位置付けられています。カルテ開示は独立した概念では無く、診療情報の提供の一つの形として捉えられています。またその指針の中では、「診療情報とは、診療の過程で、患者の身体状況、病状、治療等について、医療従事者が知り得た情報」と定義されています。ここで一番大切な事は、「医療従事者と患者が共同して疾病の治療にあたり、信頼関係を構築する事」とされている点です。治療内容についての疑問に対し、法的な判断を行うような情報提供の有り方はむしろ本来の趣旨ではありません。医療機関も患者も、もっと積極的な意味で、カルテ開示を含めた診療情報の共有ということを意識する必要があります。<診療情報共有の具体的なメリット>1)患者は病気の事や診療内容をより具体的に理解することができるようになります普段診療を受ける中で、皆さんはどの程度診療内容について理解されているでしょうか。いつも通院されている方の診察は医師から簡単な質問や説明を受け、投薬内容の確認で終わります。このやりとりは、当然口頭で行われ医師はカルテに記載しますが
0
カバー画像

診療の有り方 ①

最近眼科へ行くようになった。目の疲れが酷く、肩が凝り首筋もかなり張っていて、片方の目に少し痛みを感じるという症状であった。 受診したのは眼科医師は6名ほどいる病院である。医師の診療の前に検査をいくつか済ませた後、診察を受けた。医師はその眼科の部長であったが、特に問題はないという事で、薬も無く様子を見るようにと言われたので、先の症状を言い食い下がった。そうするともう一度目を見て、よく見ると少し左側に炎症があるので炎症を止める薬と市販もされているドライアイのお薬を出して置く事。一ヶ月後に再度受診と言われて診療は終わった。お薬は点眼薬2種類でそれぞれ1本ずつである。片方は1日2回、片方は1日5回、当然片方は足りなくなる事は想定したが、黙って帰った。 その後症状は殆ど改善せず、点眼薬も予想どおり足りなくなった。そのため次回の予約日を待たず受診。今度は前回の医師が外来にいない日に受診した。診療の有り方に疑問を持ち異なる医師に診て欲しかったためである。 受診理由を聞かれ、症状に改善が無い事とお薬が切れている事を説明した。診察の順番が来て中に入ると、何故か投薬外来に呼ばれた。再度症状の事を話して診療も希望している事を話し、また診療待ちとなった。再度診療、今回は若い医師であった。前回の診療の状況と今の症状について説明。 そこで、今の目の疲れはドライアイから来ている事。今の症状は以前投薬された点眼液では改善は見込め無いので、涙の分泌を促す薬を処方する、また複数本処方するがこの本数で足りるか確認された。結果、今は目の疲れはずいぶん改善され楽になった。 別に医師の事を悪く言うつもりは無いが、今回の私
0
カバー画像

オンライン資格確認

2021年10月20日からオンラインの保険資格確認がスタートした。マイナンバーカードに保険証の情報を紐づける事で、医療機関や薬局で保険証の確認をリアルタイムで出来るようになるという事である。 ポイントは以下のとおりとなる。 ①医療機関や薬局はリアルタイムで保険確認が出来るので、患者本人が資格を喪失している事を受診の段階でチェック出来る事。 ②電子カルテに保険情報をオンラインで取り込む事で、転帰ミスが無くなり、事務的効率の軽減になる。もちろん、リアルタイムでの資格確認が出来るので資格喪失がその場でチェック出来る。 ③限度額認定の金額を申請しなくてもオンラインで確認出来るようになる。 ④その患者の薬剤情報が閲覧出来て、診療に役立てる事が出来る。 ⑤特定健診の結果(検査値)等も閲覧可能。 ⑥災害時の患者対応が大きく改善される。 上記の6つが示されているが、①~③と⑥は確かに便利になるはずだ。特に③は患者側の大きな負担になっており、役所とか保険事務所に行き申請するとかの手間が省けるので非常に助かる。また、④や⑤についても確かにいい事であり、医療サービスの質的向上に繋がるものであると思う。しかしながら、医療機関や薬局にとってはいい事ばかりでは無い。 当初はいろいろ混乱がある事は置いておいて、以下の2点について懸念をする。オンライン資格確認に伴う薬剤情報の閲覧の運用に於いては検討をする必要があると思う。 1)患者から薬剤情報の閲覧をして欲しいと言われた時、これは医師の業務になる可能性が高い。行政のマニュアルでは薬剤情報の閲覧は有資格者となっているが、診療所では看護師では難しいと思う。何故な
0
カバー画像

医療安全対策③確認作業

医療安全対策は以前に、1)現状、2)対策として書きました。また、対策としては、➀レポートを増やす、②現場を見る、③科学的な分析、④効率的な対策、⑤決定の通知、⑥他病院の事例が必要と書きました。実は今回一泊2日で入院した経験から、追記したいと思います。今回の入院は簡単な良性腫瘍の摘出でした。入院が決まり、連絡先等の確認をされ、事前に読んでおく書類、必要事項を記載する書類(入院申し込み書、手術同意書、手術に伴う問診票、麻酔同意書、等々)を受け取りました。また、事前に入院申し込み手続きをすること、麻酔医の説明を事前に受けること(診療報酬上、当日麻酔を行う医師が手術の別の日に説明が必要)、コロナ検査を入院前日に受けることを求められました。記載を求められたたくさんの書類に必要事項を記載し、入院申し込みの受付に行き手続きを行いました。そうすると、また別の書類に氏名、住所等の記載を求められ、事務的な説明。次に看護師が来て、禁忌の薬剤や食品の確認、私が記載してあった入院歴記録の記載事項の確認。その次に麻酔科へ。麻酔科では、また禁忌の薬剤や食品の確認を行われました。この確認は2回目です。ところが、私の記載した書類は見ずに、手元の書類を見ての確認でした。何を見ているかと言いますと、前回入院時のものでした。この麻酔科の確認方法は非常にいい確認方法だと思います。もっと、言えば前回の入院時の情報を再度確認ということで印刷して渡してもらえていれば、書類作成は確認だけで済み、ずっと楽になったでしょう。更にそこに記載されていないことを思い出すかもしれません。入院当日、入院受付のカウンターに行き必要書類を提出。
0
カバー画像

医療安全対策②対策

医療安全対策と感染対策は医療機関運営の大きな柱となっていると書きました。これはその必要性を認めた医療機関だけが取り組むという事では無く、医療法の中ですべての医療機関が取り組まなくてはいけないという規定があります。医療法の第六条の十二に以下のように記載されています。<第六条の十二> 病院等の管理者は、前二条に規定するもののほか、厚生労働省令で定めるところにより、医療の安全を確保するための指針の策定、従業者に対する研修の実施その他の当該病院等における医療の安全を確保するための措置を講じなければならない。そのため、この規定を拠り所として、1年に1回行われる保健所の立ち入り検査では、医療安全対策が適切に行われているかが、チェックされています。診療所なども本来は検査されなければいけないのですが、数が多いということで保健所が入ることは殆ど無いという状況です。では保健所ではどこをチェックするのか。具体的には、医療安全対策委員会があり、活動をしているか。医療安全の研修会を行い、職員の8割以上が参加しているかがチェックされます。そのため、この保健所の立ち入り検査の日には、医療安全対策委員会の名簿、会議記録(会議は概ね月1回以上開催されているか)、医療安全対策の研修資料と参加者名簿が確認されます。しかしながら、実際のところ具体的な取り組みがどこまで実行されているかは、そこからは見えるものではありません。私も多くの病院で医療安全委員会に参加して来ましたが、病院毎にその内容が大きく異なっています。インシデントやアクシデントレポートの件数が多くて集計システムを導入し、集計結果をグラフ化し分析しその対策を
0
カバー画像

医療安全対策➀現状

医療安全対策と感染対策は医療機関運営の大きな柱となっています。これは、命と健康を守るという医療機関の役割から、非常に重要な取り組みです。機械の操作ミスで亡くなった事例、院内感染でたくさんの命が失われた事例、数多くの事例がマスコミなどで報道され、誰もが見聞きしていることだと思います。ですが実際に発生している件数ははるかに多く、皆さんの知らないところだと思います。今回はその1つの医療安全対策の取り組みについて書きたいと思います。前のブログで私が少し入院していた事を書きましたが、今回の入院は病院サービスとしては比較的満足出来るものでした。しかしながら、気になることもたくさんありました。その一つに点滴のトラブルがありました。たくさんの方が経験されていると思いますが、液モレです。針を刺した時、通常は針の入ったところに痛みを感じるのですが、今回は針を刺した付近の血管全体に何とも言えない痛みを感じました。すると「うまく入らなかったので、別のところに刺します」と言われ、別のところで落ち着きました。翌日腕を見てみると、10センチ以上に渡り皮下出血をしていました。人がやる事、こういう事もあると思っていました。ところが、退院するまで病棟スタッフからは、その事について触れる事はなく、退院の時に青アザの酷い腕を見せて、この青アザはどれぐらいで消えるかと確認したところ、「安心してください。すぐに消えますから」と言われただけでした。ここで疑問に思ったのは、今回の私の件は共有されていないのでは無いかという事でした。こういった事は病院では日々発生しています。この日々発生した事を共有し、収集し分析を重ねていく事で
0
カバー画像

患者登録間違い

CT撮影の紹介で市民病院へ行った。受付を終え放射線科で呼び出しを受けた。その際、私の氏名のフリガナが間違っているのが分かった。剛(タケシ→ツヨシ)であった。その事を放射線科のスタッフに伝えると、清算の時会計で申し出てくださいと言われた。会計に行くと放射線科から何も連絡が入って無かった。患者が言い忘れる事もよくある。こういう対応は間違っている。確実に間違った登録を修正されるようにするには、患者に委ねるのでは無く、職員間で処理を済ませるべきである。氏名の登録間違いは二重カルテの原因にもなり、二重になった時のデータ移行は大変な作業になるはずである。何よりもデータが一元化されていない事で、一つ間違えると医療事故にも繋がる。命を預かる病院として、この間違いに対する認識が甘く過ぎる。今後の問題として、これがインシデントレポートとして提出される事、そして放射線科と医事課の両方でインシデントレポートが上げられ、改善対策として取り上げられること期待したい。(トップ画像はphoto-ac.com/からの画像)
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第7回(後編):【組織の防衛】「孤立する担当者を救う、チーム対応の鉄則」

このブログも回数を重ねるうちに、少しずつ閲覧回数が伸びてきました。現在は火曜日と金曜日の朝に更新していますが、画面の向こうで更新を楽しみにしてくださる方がいると思うと、このペースを崩さずに走り続けたいと、身が引き締まる思いです。今回は初めて前後編に分けての投稿となりました。私の苦い経験と、病院トラブルにおける「組織対応」の本質についてお話しします。どうぞお付き合いください。【正中神経損傷、そして「看護師の加担」】採血による正中神経損傷は、病院側の責任を問われやすい事例です。 しかし、その場で即座に過失を認め、法的な約束をすることはできません。 私の役割は、患者さんに寄り添いつつ、「院内で厳正に検証した上で改めて説明する。まずは安心して治療に専念していただくため、本件の医療費は請求しない」という病院の姿勢を伝えることでした。 当然、何が起きたかの医学的説明は、発生部門である診療科が行っているはず……そう信じて現場へ向かいました。 ところが、車椅子の患者さんの横に立つ看護師が、私を見るなり叫んだのです。 「この人に謝りなさいよ!」 彼女は私の説明を遮り、「病院が責任を取りなさい!」「今すぐここで認めて謝りなさい!」と患者さんを煽り始めました。 冷静だった患者さんもついに感情を昂らせ、私は双方から2時間にわたって罵声を浴びることになったのです。 【「アタッキング」は外側からだけではない】この行為を「アタッキング」と呼びます。 怒鳴る、机を叩くといった外的な攻撃だけではありません。組織内での「非協力」や、今回のように「梯子を外す」ことで担当者を孤立させる内的な行為も、立派なアタッキング
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第4回:待ち時間へのクレーム~「不満」が「不当要求」に変わる瞬間~

このブログも4回目となりました。いつもお読みいただきありがとうございます。 今日は待ち時間に関するクレームについてお話しさせていただきます。待ち時間に関するクレームは、どの医療機関でも避けて通れない課題です。待ち時間クレームは、「時間の問題」ではなく「対応次第で不当要求に変わる問題」です。 今回は、実際に対応した事例をもとに、クレームがどのように「不満」から「不当な要求」へと変化していくのか、その見極め方をご紹介します。 【事案の概要:はじまりは「90分の待ち時間」】ある日、高齢の患者さんに付き添われていたご家族から、待ち時間に関するお叱りを受けました。この日は外来が非常に混雑しており、約90分お待ちいただいている状況でした。 当初、そのご家族の不満は理解できるものでしたが、次第に ・他の診察室に断りなく入室する ・対応したスタッフの手を30分以上止めさせる ・診療全体に影響を及ぼすほどの大声で抗議する などの言動が見られるようになり、診療科から私に対応の依頼がありました。 【クレームが「変質」するサイン】私はまず、お待たせしている事実について謝罪し、現在の混雑状況やその理由、病院として改善策を検討していることを丁寧に説明しました。しかし、ご家族の要求は以下のように変化していきました。 機密事項の開示要求: 「改善策をいつまでに実施するのか、会議の内容を文書でいついつまでに回答しろ」 金銭的対価の示唆: 「無駄にした時間を返せ(実質的な補償の要求)」権威への固執: 「お前では話にならない。事務長や院長を出せ」 個人への攻撃: 「お前の名前はなんだ」と職員証をスマホのカメラで無断
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第3回:執拗な「迷惑電話」をどう止めるか~

このブログも3回目となりました。 拙い文章のこのブログでも閲覧がついたり、お気に入りに登録していただけることもあり、少し安心しました。 今回から、過去に私が対応した事例の紹介をしていこうと思います。内容によって、1話完結の事例もありますが、長巻物になるエピソードもあると思います。 お時間があるときに目を通していただけたら幸いです。【迷惑電話は現場を疲弊させる】皆さん、迷惑電話への対応にお困りではないでしょうか?病院には患者さんからの問合せの電話が一定数ありますが、中には対応に困る電話もあると思います。 「話を聞かないといけないのではないか」 「強く出るとトラブルになるのではないか」 そう考えて対応を続けているうちに、回数が増え、内容がエスカレートしてしまうケースは少なくありません。 今回は、実際に私が対応した迷惑電話の事例をもとに、「エスカレートさせないための対応の考え方」をご紹介します。【迷惑電話への基本的な対応】ある日、「診療について相談がある」との電話が入りました。しかし、話を聞いていくうちに内容は徐々に逸れ、最終的には自身の身の上話(不適切な内容を含む)へと変わり、最後は一方的に激昂するというものでした。 それまで現場では、 ・話を遮らず最後まで聞く ・とにかく謝罪する という対応が何年も繰り返されており、結果として同様の電話が何度もかかってくる状況になっていました。 このようなケースで重要なことは、「対応すべき相談かどうか」を見極めることです。 私はまず、相手の話を一度最後まで聞いたうえで、この電話が当院の診療とは関係のない内容であることを確認しました。 そのうえで、
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第2回:クレーム対応の考え方

ドキドキしながらの初投稿から数日。これが2回目の投稿になります。お読みいただき、ありがとうございます。前回、病院勤務の最初の1年間で「年間約400件」のクレーム対応を行ったとお話ししました。多い日には1日で11件。対応後の記録作成だけで力尽きそうになる日々もありましたが、その怒涛の現場で私が真っ先に行ったのは、「クレームの仕分け」でした。一言でクレームと言っても、その正体は様々です。私は対応方針を決めるため、これらを6つの段階に分類していました。1.【合理的・意見】 理由が妥当で、改善を促すもの2.【合理的・要望】 理由が妥当で、具体的な回答を求めるもの3.【合理的・過剰】 理由は分かるが、要求が行き過ぎているもの4.【不当・対話可】 理由は不当だが、説明には耳を傾けるもの5.【不当・逸脱】 理由も要求も、常識の範囲を大きく超えるもの6.【暴力・脅迫】 有形力の行使や犯罪行為に該当するものこれらを冷静に見極め、「全面的に謝罪すべきケース」「限定的に非を認めるケース」「謝罪した上で要求は断固拒否するケース」などを使い分けてきました。時には、誠実な対話によって、それまで激昂していた方が「病院の最大の理解者」に変わってくださることもありました。一方で、悪質なケースでは、医師法第19条(応召義務)の解釈に基づき、毅然と診療をお断りする決断もしてきました。近年問題となっている「カスハラ」は、対応が長期化するケースが多いです。長期にわたる対応では、相手の感情はその時々で生き物のように変わります。「急いで勝負(決断)すべきか」「今は様子を見て証拠を積み上げるべきか」その見極めこそが、現場を守
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第8回:その言動、実は「犯罪」です。カスハラと応召義務の境界線~

皆さん、こんにちは。 今回は、私が以前講演でお話しした内容をもとに、多くの医療従事者が不安に感じている「どこからがハラスメント(違法行為)なのか」、そして「応召義務との兼ね合い」について整理してお伝えします。 医療現場には「患者さんのためなら多少の無理は我慢すべき」という、いわゆる「受忍義務」の空気が根強く残っています 。 しかし、その「我慢」がスタッフの心身を壊し、結果として他の患者さんへの診療に支障をきたしては本末転倒です。 【ハラスメントの9つの態様と「罪名」】厚生労働省が監修した「カスタマーハラスメント対策マニュアル」では、ペイシェントハラスメントを ①時間拘束型 ②リピート型 ③権威型 ④暴言型 ⑤威嚇・脅迫型 ⑥暴力型 ⑦施設外拘束型 ⑧誹謗中傷型 ⑨セクハラ型 の9つのタイプに分類していますが 、実はその多くが刑法上の犯罪に該当する可能性があります 。 主なものを挙げていきますと、 1.暴言型・威嚇型: 「バカ」「無能」といった人格否定は侮辱罪、「殺すぞ」「SNSで晒してやる」といった脅しは脅迫罪にあたります 。 2.時間拘束型・リピート型: 何時間も居座る、あるいは不当な要求で電話を繰り返す行為は、不退去罪や威力業務妨害罪に該当します 。 3.暴力型: 殴る、蹴る、物を投げるなどは、当然ながら暴行罪や傷害罪、器物損壊罪です 。 4.セクハラ型: 執拗なつきまといや不適切な接触は、ストーカー規制法違反や不同意わいせつ罪などの対象となります 。 【「応召義務」は絶対ではない】「正当な理由がなければ診療を拒んではならない」という医師法第19条の応召義務。 これが、現場
0
カバー画像

転倒・転落事故対策

転倒・転落事故は病院や介護施設の最重要課題の一つとなっています。2019年6月に医療事故調査センターから出された「入院中に発生した転倒・転落事故による頭部外傷に係る死亡事故の分析」によると、2015年10月~1018年12月末の間に18例あったという事です。また、一般病床における転倒・転落事故発生率は、1日1,000床あたり、1.5件程度と考えられるということでした。この考えられるという表現は、全数把握がしっかり出来ていないためです。この一般病床という記載は、療養病床や精神科病床、介護施設は入っていないという事です。ちなみに、1日1,000床あたり1.5件という数字は、現在日本には約98万床の一般病床がありますので、毎日1,470件の転倒・転落事故が発生している事になります。更に、療養病床・精神科病床は66万床あり、そこでの転倒・転落事故は一般病床の3倍程度と言われていますので、毎日3,000件近い転倒・転落事故が発生している事になります。これに老健・特養と言った介護系施設の数が7,000件ぐらい加わり、合計で1日1万件ぐらいになるのでは無いかと私は予想します。これらの数字は、転棟・転落事故がどれだけ多く発生しているかイメージが出来たらと思い記載しました。ただ、転倒・転落事故と言っても、定義では「自らの意思なしに、地面や床、あるいはそれより低い場所などに、手・膝や頭部などが接触すること」となっていますので、一般に考えられている転倒・転落よりずっと軽い動作まで広く対象となっています。こういった現状に対して、各施設では入院時や入所時のアセスメントシートを作成し、事前にリスクを分析し
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第7回(前編):【組織の防衛】「孤立する担当者を救う、チーム対応の鉄則」

皆さん、こんにちは。 このブログも7回目となりました。日々ネタ切れにならないよう、隙間時間にこれまでの対応を思い出しながらメモを作成しています。 少し話が逸れますが、私は刑事時代、あまりメモを取る方ではありませんでした。 若さゆえの記憶力もありましたが、聞き込みの際、メモ帳を取り出した瞬間に相手が身構えてしまい、「証言させられるのでは」と口が重くなるのを避けるためでもありました。 雑談のようなフランクな対話の中にこそ、真実が隠れていることが多かったからです。ですが、今は違います。思い出したことをすぐにメモしておかないと、忘却の彼方へ飛んでいってしまいそうです(笑)。 老いには抗えませんが、リタイアするまで現場の最前線で安定した実務能力を維持したいものです。 それでは今回も、私の駄文にお付き合いください。 【クレーム対応は「チーム戦」である】これまで、私が前面に出て対応してきた事例を多く紹介してきましたが、トラブル対応の鉄則はあくまで「組織対応」です。 個人の対応スキルは、チーム戦の一部に過ぎません。 私のような相談担当の役割は、最終的に病院の判断を伝え、事態を収束させることにあります。 しかし、医学的な説明は現場の医師や看護師にしかできません。事務職の私が最初から説明したところで、納得を得られるはずがないのです。 不当な要求を拒絶するためには、「病院として理解を得るために、これだけの尽力をした」というプロセスを積み上げる必要があります。 そのためには、各関係者がそれぞれの役割を果たすことが絶対条件なのです。 周囲の協力がなければ、現場の苦しい雰囲気に負けて、担当者がその場しのぎ
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第6回:親の想い、医師の想い。対立を「協力」に変えた瞬間~

皆さん、お疲れ様です。 私のブログも6回目の投稿となりました。商売っ気を出しているわけではないのですが、更新のたびに皆さまから温かい反応をいただけることを、心から嬉しく感じております。 今回は、これまでとは少し趣向を変えて、「クレームをきっかけに、病院のよき理解者・協力者になっていただいた事例」を紹介します。 【事案の概要:待合室に響く怒号】ある日、診療科から「患者さんのご家族が激昂していて手がつけられない」と応援依頼が入りました。現場へ向かうと、待合室で一人の女性(お母様)が、受付スタッフに対しものすごい剣幕で怒声を浴びせていました。 私は「病院の相談担当」として自己紹介し、まずは女性を静かな面談室へと促しました。 相手の感情が昂っているとき、「場所を変える」のは非常に有効な手法です。 移動の時間を使って、高ぶった気持ちを物理的に落ち着かせる。 こちらが管理する空間(面談室)で話を聴くことで、主導権を握り、冷静な対応を維持する。 【怒りの裏にある「絶望」を見抜く】面談室に入ると、女性は先ほどとは打って変わり、落ち着いて理由を話してくれました。 息子さんは原因不明の体の痛みや肌トラブルに悩み、外出もままならない状態。藁にも縋る思いで受診したところ、医師から「心療内科を受診したほうがいい」と言われたそうです。 「うちの子は精神がおかしくなったわけじゃない!」 お母様は、医師の言葉を「突き放された」「見捨てられた」と受け取り、絶望に近い怒りを感じていたのです。 私はお話しを聴きながら、3つのポイントを整理しました。 医師の説明不足: 患者さんとお母様の心情に配慮した言葉選びがなされ
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第5回:安易な「文書回答」が招く底なしのスパイラル~

このブログも今回で5回目となりました。いつもお読みいただきありがとうございます。 あまり頻繁に更新しすぎても皆さまの負担になるかと思いますので、節度をもって、現場の役に立つ情報を発信していければと思います。 今回は、クレーム対応の大きな分かれ目となる「文書回答」についてのお話です。 厳しい抗議を受ける中で、相手から「今の説明を文書で出せ」「いつまでに改善するか書面で回答しろ」と強く迫られる場面があります。現場のスタッフも「確かに不手際があったかも」と痛いところを突かれていると、つい「文書を出せば納得してもらえるのではないか」「この窮地を早く脱したい」という心理から、安易に約束をしてしまいがちです。 しかし、文書回答は病院にとって大きなリスクを孕んでいます。 【なぜ文書回答は「スパイラル」を招くのか】文書は口頭と違い、一字一句が「病院の言質」として残ります。 悪質なケースでは、回答内容そのものよりも、以下のような「言葉の揚げ足取り」が目的化することが少なくありません。 「この表現は、非を認めたということだな?」 「前回の説明と、この一文のニュアンスが違う」 「回答が不十分だ。再回答を求める」 こうなると、回答作成に膨大な時間を奪われ、出せば出すほど相手の攻撃材料が増えていく、出口のない「質問と回答のスパイラル」に陥ってしまいます。 【出すべきか、出さざるべきか:3つの判断基準】 私は文書回答を求められた際、以下の基準で判断しています。「正当な理由」に基づいた事実確認か: 組織を支配する道具にされていないか。機密事項に立ち入っていないか: 院内会議や個人情報など、開示できない領域へ
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~現場を守る盾でありたい~

日々、患者さんと向き合う医療現場。しかし今、現場のスタッフを最も疲弊させているのは、『言葉の暴力』や『理不尽な要求』かもしれません… はじめまして。私は現在、病院の管理職として医療安全の仕事に携わっていますが、かつては刑事として事件を追う身でした。 『なぜ刑事が医療の道へ?』 と驚かれることもありますが、医療の世界に足を踏み込んでみると、これまで『安全な場所』と信じて疑わなかった病院には、実はたくさんのトラブルが起こっていて、そこには生粋の医療者だけでは対応に困る事例が多いことがわかりました。 私は刑事時代に医療過誤の捜査にも携わったことがありますが、そのころは医療現場では『漫然と診療を行っている医療従事者がいるのではないか…』と感じることがありましたが、実際にはスタッフの皆さんが日々全力で診療に向き合っていることを痛感し、その認識を改めました。 私が病院で勤務した最初の一年、当時は患者クレームが非常に問題になっていた時期でもあり、大小合わせて400件のクレームの対応をしました。 また、その病院では医療事故への対応もしており、その一年で自身のトラブルへの対応スタイルのベースができたと考えています。 今はカスタマー(ペイシェント)ハラスメントが問題になっていて、私も昨年長期間にわたって入院患者の家族からの執拗なハラスメントの対応にあたりました。 ある日では、通算しての対応時間が4時間半にわたり、日付が変わってから帰宅したこともありましたが、最終的には退院をさせることができ、その後の報復も考えて警察への協力依頼をすることまでやりました。 私の職務は病院にくる善良で協力的な患者さん、
0
カバー画像

【技師歴35年の元技師長が経験とAIで「導く」】

~私がクリニックの「信頼」と「安全」を共に築き上げると決めた理由~ 「あ、この人、戸惑っているな」 放射線技師として35年、現場に立ってきた私にはわかります。 MRIの大きな筒を前にした患者さんの不安そうな顔。 そして、保健所の立ち入り検査を前に、山積みの書類を前にして「何から手をつければいいのか」と頭を抱え る管理職の悩み。 私はこれまで、大規模病院の技師長や技師会の活動を通じて、数えきれないほどの「正しい文書」を作ってきました。マニュアル、同意書、研修計画… しかし、ある時気づいたのです。 「正しいけれど、患者の心に寄り添っていない言葉」が、医療現場には溢れていることに。 正論だけでは、現場は守れない 例えば、MRI検査の説明。AIに標準的なマニュアルを書かせると、こうなります。 【Before:一般的な説明文】 「20〜30分、狭い装置の中で動かないでください。磁石の力で検査をしますので金属は外してください。不安な方は申し出てください。」 間違いではありません。しかし、不安でいっぱいの患者さんにとって、これは「命令」にしか聞こえません。私が35年の経験を込めて、患者さんに寄り添った言葉に直すとこうなります。 【After:私の「経験」を注入した言葉】 「身体の中を詳しく調べる『写真撮影』のようなものです。20分ほどお昼寝するような楽な気持ちで静かに寝ていてください。動かないでと言われると余計に気になって、顔とかがむずがゆく感じたりして我慢できない・・・ となる人もいるので、あまり意識しないで、何かある時は、遠慮せずブザーを押してください。隣の部屋から私がずっと見ていますか
0
カバー画像

『元刑事』の医療現場奮闘記~第9回:【統計の真実】~交通事故より多い『医療の現場』で、どう生き残るか~

皆さん、お疲れ様です。 このブログを読んでくださっている方の多くは、今まさにトラブル対応の最中にいるか、あるいは組織の“火消し役”として矢面に立っている方ではないでしょうか。 トラブル対応は、想像を絶する重労働です。事象を俯瞰し、当事者の心理を探り、証拠を調査・評価し、コンプライアンスを遵守した上で組織の決定を伝える。 時には猛烈に憤慨する相手を前に、戦略と胆力、共感力をフル動員してミッションを完遂しなければなりません。 この仕事は極めて高度なスキルが求められる、組織の要です。 担当されている皆さんは、ぜひご自身の役務に大きな誇りと自信を持っていただきたい。そう心から願っています。 さて、今日は少し視点を変えて、数字から見る「現場のリスク」についてお話しします。 【交通事故との比較:道路の上より危険な場所?】私たちは「交通事故に遭う確率」には敏感です。 車に乗ればシートベルトを締め、歩行中も左右を確認します。 しかし、「医療事故に遭う確率」についてはどうでしょうか。 交番の警察官として交通事故の処理も経験してきた私の目から見ると、そこには衝撃的なデータがあります。 実は、年間で報告される医療インシデントの発生率は、交通事故の発生件数を遥かに上回っているのです。 ここで、最新の公定統計を比較してみましょう。 ・交通事故(2023年 警察庁統計): 年間約 30万件 ・医療事故・インシデント(2023年 医療機能評価機構): 年間約 111万件超 この「111万件」という数字、実は氷山の一角に過ぎません。 この報告事業に参加しているのは全国の医療機関の約1割(主に大病院中心の約1,
0
22 件中 1 - 22