医療安全対策③確認作業

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コラム
医療安全対策は以前に、1)現状、2)対策として書きました。
また、対策としては、➀レポートを増やす、②現場を見る、③科学的な分析、④効率的な対策、⑤決定の通知、⑥他病院の事例が必要と書きました。実は今回一泊2日で入院した経験から、追記したいと思います。

今回の入院は簡単な良性腫瘍の摘出でした。
入院が決まり、連絡先等の確認をされ、事前に読んでおく書類、必要事項を記載する書類(入院申し込み書、手術同意書、手術に伴う問診票、麻酔同意書、等々)を受け取りました。また、事前に入院申し込み手続きをすること、麻酔医の説明を事前に受けること(診療報酬上、当日麻酔を行う医師が手術の別の日に説明が必要)、コロナ検査を入院前日に受けることを求められました。

記載を求められたたくさんの書類に必要事項を記載し、入院申し込みの受付に行き手続きを行いました。そうすると、また別の書類に氏名、住所等の記載を求められ、事務的な説明。次に看護師が来て、禁忌の薬剤や食品の確認、私が記載してあった入院歴記録の記載事項の確認。その次に麻酔科へ。

麻酔科では、また禁忌の薬剤や食品の確認を行われました。この確認は2回目です。ところが、私の記載した書類は見ずに、手元の書類を見ての確認でした。何を見ているかと言いますと、前回入院時のものでした。この麻酔科の確認方法は非常にいい確認方法だと思います。もっと、言えば前回の入院時の情報を再度確認ということで印刷して渡してもらえていれば、書類作成は確認だけで済み、ずっと楽になったでしょう。更にそこに記載されていないことを思い出すかもしれません。

入院当日、入院受付のカウンターに行き必要書類を提出。一部の書類は病棟で提出するように言われました。入院し、外来にて患部へのマーキング。これから手術室へという時に、なぜか緊急連絡を聞かれ答える。何か所定の用紙にメモをしていました。

退院後、帰宅し記載した書類を整理していると、病棟にて提出するはずの書類が出てきました。手術同意書でした。

私はこの病院の医療安全の機能が本当に機能しているのかと疑問を持たざるを得ませんでした。理由は以下のとおりです。
 1)同じことを何度も記載させられる。
   同じことと言いましても、すべてフォームが違っていました。同じ内容
  ながら、フォームが異なるので部署、部署で確認することになっているの
  だと思います。しかしながら、データ管理の基本はコンピュータに一元化
  です。
   確認するとすれば、コンピュータに入っている情報との確認で、画面、
  もしくはそこから印刷したものとの確認が必要です。今回は麻酔科の医師
  のみがそれを活用していました。コンピュータの情報が手元にあれば、コ
  ンピュータに登録されている情報と同じかどうか分かりますが、それが手
  元に無ければ、正しいかどうかの確認のしようがありません。

 2)一連の流れの中でリスクを評価する
   同じことを何度も確認されるのは、一連の流れの中でどことどこで確認
  をするということが出来ていないということです。安全の確認が部署部署
  で途切れています。最初の部署がペーパーで確認すれば、コンピュータに
  その情報が入力され、そのデータが有効に利用されることが求められま
  す。例えば、ペーパーで3回確認しても、コンピュータと照合しなければ
  意味がありません。電話番号など言い間違うことは誰にでもあるからで
  す。2回目以降の確認は画面で確認するとかすれば、確認する都度精度が
  上がります。

3)確認ということ
  医療安全委員会に出席すると「これは確認もれ、忘れないようにするこ
 と」でよく話が終わることがあります。前にも書きましたが、これは間違い
 です。
  確認モレに対しては、どう確認しているか。目視で確認していれば、指差
 しや声出しも検討する。この流れの中で、それを確認するのは業務過多にな
 っていないか、あるいは確認作業の流れが悪くなっていないか、そこでその
 スタッフが確認する必要があるか、超過勤務が多過ぎでは無いか、そういっ
 たことを考えないと、本当の解決策になりません。部署部署で確認するは、
 その場しのぎの解決策としかなりません。

4)患者を使わない
  よく、その書類はあちらの窓口で出してくださいと言われることがありま
 す。私は余り好みません。それは患者(病人)を動かさないが医療機関の基
 本姿勢だと思っています。自分達の効率化の中に患者を利用しないというこ
 とです。それが一番適切であると判断されるような場合は、仕方無いと思っ
 ています。もう一つの理由は確実かどうかです。手術同意書無しに手術した
 となれば、見方によっては犯罪行為なのです。こんな重要な書類を受け取り
 忘れるというのは大きな問題です。出来るだけ職員間で済ませるようにする
 方が確実です。今回で言えば、窓口で一括して受け取り現場に届ける。ある
 いはスキャンして電子カルテに格納です。

5)患者の負担軽減、業務効率化
  高齢者が多くの書類を記載するのは、結構大変なことです。記載を求める
 時には、基本情報を確認した上で、住所や入院履歴、禁忌情報などは、印刷
 してあるものを渡すのがいいはずです。患者のサインは総括了承として、そ
 こだけ自署を求めるとグッと負担が減ります。確認項目はチェックボックス
 を付けて、そこにチェックがあれば確認済の証明となります。
  患者に優しい病院とはこういうことが出来る病院だと思います。また同時
 に職員の作業 も効率化出来るはずです。

 医療安全対策は最も重要で力を取り組む必要がありますが、合理的な確認作業を行うことが必要であり、確認作業だけをやたら増やしても、業務負荷も増え逆にリスクが増すことになります。
(TOP画像はCanvaの画像を加工)
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