予約診療の積極的活用を! ②

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コラム
予約診療のメリットについては前回書きました。今回は予約診療の具体的な進め方です。

大きな病院になると同じ診療科に複数の医師が在籍し、初診患者担当とか紹介患者担当と予約患者さま以外が来院された時の受け入れ体制を作ることが出来ます。これは非常に有効な方法だと思いますが、多くの医療機関ではそんな体制は取れません。ましてや医師一人のクリニックでは、一人でどう工夫をするかという事になります。

<予約枠の考え方>
クリニックでは、医師自身の患者一人当たりの診療時間を把握したうえで、1時間に何人診れるかを計算し、それにあった形で1時間当たりの予約人数を決め、それに併せて予約枠を作ることになります。
患者一人に平均5分の診療時間であれば、1時間に12人を診ることが出来ます。よって5分ずつの予約枠を設定することになります。しかしながら5分ずつの予約枠となると、忙しくて落ち着けないし、柔軟に対応しにくいので、私とすれば30分毎の予約枠とし、6人を同じ時間で予約し診るというのが一番いいのではと思っています。

また、予約無しで来られる方もいらっしゃるので、30分の予約枠のあとに30分のフリーの枠を作ることをお奨めします。当初はこの形で進め、あとは柔軟に予約患者数が増えそうであれば予約枠を40分枠にするとか、工夫をしていけばいいと思います。こうすると、予約患者さまの待ち時間は、一応ですが最大30分ということになります。診療を受ける負担感がずいぶん楽になるはずです。予約せずに診療を受けたいということであれば、それも可能になります。

<予約制をすることに対する配慮>
基本的な予約枠に関する考え方は上記のとおりですが、より効率的に進めるためには、以下の配慮が必要です。
1) 予約を奨める患者さま
次回も必ず受診を必要とする患者さまは、予約の対象とすべきだと思います。また、高齢者など定期的な受診が必要な方や、受診を忘れがちになりそうな患者さまは予約を奨める方がいいと思います。予約制にすることで、受診勧奨になること。また、受診が無かった場合には、その日に分かり連絡等がすぐに出来るからです。
また、通院介助のサービスを利用する場合などは、予約があることでサービスの提供をしやすくなります。

2) 患者さま毎の配慮
話の長い患者さまは遅い時間の予約にしないと、早い時間で予約時間がずれ込むとその影響を最期まで引っ張ることになります。逆にゆっくりと診察をしたい患者さまは、予約枠の最後にするというのも有効です。
初診の患者さまの予約をお受けする時には、2枠で設定すると後への影響も少なくなります。

3) 診療時間を短くする工夫
➀次回の診療予約を医師が取ったりしますが、基本は診療後に事務が取るようにするのが一つの工夫です。

②検査は診察前に済ませる。患者さまの状態によりますが、診療中に検査が必要となり、検査結果が出てから再度診察室に入るという流れは時間を要します。そのため、次回検査が必要かどうかを判断し、必要であれば次回来院時検査の指示を出しておくことで、診察前に検査が出来ます。また、こうすることで次回どれぐらいの診療費が必要か患者さまにお伝えすることが出来ます。

③同じ病気の方を特定の曜日や、専門外来として午後に予約枠を設定すると、検査のし忘れ とかし難く無くなり、より質の高い診療を行い易くなります。更に事前に診療の準備もしやすくなります。また、管理栄養士を非常勤で採用し、栄養指導を集中して行うとかもし易くなります。

④予診表を活用したり、予診を医師以外のスタッフが取り、電子カルテに入れるようにすると、医師の診察時間は短くなります。医師は電子カルテの予診内容を読んで、更に詳しく情報を入手しやすくなります。

⑤可能であれば、クリニックでも電子カルテの代行入力者を導入すると、診療が効率的に進みます。

⑥さらに2つの診察室を一人で使えると、交互に使用することで診療時間を短縮することが出来ます。

4) 導入準備
 ➀予約診療のお知らせ。予約診療をはじめる一ヶ月前には院内等に掲示を行
  い、予約制が導入されること。診察の順序は予約患者さまが優先されるこ
  とを掲示します。もちろん、急患は状態により最優先することも併せて記
  載します。

 ②患者さまが予約を忘れないようにするために、予約票を作成することが必
  要です。電子カルテ等が入っていないところは、紙運用で予約状況を管理
  する必要があります。

 ③インターネットで予約を取れるシステムを利用する場合は、業者との打ち
  合わせを十分にしておく必要があります。特にご自分で予約を取れない方
  の対応とか、前日には診療予約をしているメッセージが予約患者さまに届
  くような工夫等を検討して欲しいと思います。

 以上、診療予約の進め方について私の経験をベースに書きました。他にもまだ出来る工夫があるかと思いますが、医師も患者さまも負担が減りより充実した診療が出来れば、それに越したことは無いと思います。
(TOP画像はCanvaの画像を加工)
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