『元刑事』の医療現場奮闘記~第6回:親の想い、医師の想い。対立を「協力」に変えた瞬間~

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皆さん、お疲れ様です。
私のブログも6回目の投稿となりました。商売っ気を出しているわけではないのですが、更新のたびに皆さまから温かい反応をいただけることを、心から嬉しく感じております。

今回は、これまでとは少し趣向を変えて、「クレームをきっかけに、病院のよき理解者・協力者になっていただいた事例」を紹介します。

【事案の概要:待合室に響く怒号】

ある日、診療科から「患者さんのご家族が激昂していて手がつけられない」と応援依頼が入りました。
現場へ向かうと、待合室で一人の女性(お母様)が、受付スタッフに対しものすごい剣幕で怒声を浴びせていました。

私は「病院の相談担当」として自己紹介し、まずは女性を静かな面談室へと促しました。

相手の感情が昂っているとき、「場所を変える」のは非常に有効な手法です。
移動の時間を使って、高ぶった気持ちを物理的に落ち着かせる。
こちらが管理する空間(面談室)で話を聴くことで、主導権を握り、冷静な対応を維持する。

【怒りの裏にある「絶望」を見抜く】

面談室に入ると、女性は先ほどとは打って変わり、落ち着いて理由を話してくれました。

息子さんは原因不明の体の痛みや肌トラブルに悩み、外出もままならない状態。藁にも縋る思いで受診したところ、医師から「心療内科を受診したほうがいい」と言われたそうです。

「うちの子は精神がおかしくなったわけじゃない!」
お母様は、医師の言葉を「突き放された」「見捨てられた」と受け取り、絶望に近い怒りを感じていたのです。

私はお話しを聴きながら、3つのポイントを整理しました。
医師の説明不足: 患者さんとお母様の心情に配慮した言葉選びがなされていない。
認識の相違: 「心療内科=精神疾患」というお母様の誤解。
深い愛情: この怒りは、息子を想う一心からくるものであること。

【「調整」と「行動」】

私は「必ず先生から再説明の機会を設けます。お気持ちは痛いほど分かりますので、少し時間をください」と約束し、一旦お引き取りいただきました。

その後、担当医にも診察の意図を確認し、状況を共有。
医師も趣旨を理解してくださり、翌日、医師が準備を進めていた別のクリニックでゆっくりお話しする場を作ることになりました。

当日は、私が病院の車でお母様を送り迎えし、面談にも立ち会いました。

再説明の場では、医師から「言葉が足りず申し訳なかった」と謝罪があり、なぜ心療内科が今の息子さんにとってメリットがあるのかを丁寧に説明していただきました。

お母様の疑問もすべて医師にぶつけてもらった結果、最後には「前向きに受診します」と、納得して笑顔になられたのです。

【「排除」ではなく「寄り添い」が救うもの】

帰りの車内、お母様からは何度も感謝の言葉をいただきました。

その後、息子さんは状態が改善してアルバイトに行けるようになり、わざわざ親子で病院へ挨拶に来てくださるほど、当院の良き理解者になってくださいました。

私は常々、悪質なクレーマーに対しては「教育か排除か」という強い方針を公言しています。
しかし、その根底にあるのは「本当に困っている患者さんとスタッフを守りたい」という想いです。

相手の心情を慮り、時にはルールを超えて寄り添う。
それもまた、現場を守る「盾」としての、大切な役割だと考えています。

もし、
・対応が対立になってしまっている
・本当は寄り添いたいが方法が分からない
・現場と患者さんの間で板挟みになっている

そのような状況があれば、整理のお手伝いは可能です。

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