『元刑事』の医療現場奮闘記~第4回:待ち時間へのクレーム~「不満」が「不当要求」に変わる瞬間~

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このブログも4回目となりました。
いつもお読みいただきありがとうございます。
今日は待ち時間に関するクレームについてお話しさせていただきます。

待ち時間に関するクレームは、どの医療機関でも避けて通れない課題です。
待ち時間クレームは、「時間の問題」ではなく「対応次第で不当要求に変わる問題」です。

今回は、実際に対応した事例をもとに、クレームがどのように「不満」から「不当な要求」へと変化していくのか、その見極め方をご紹介します。

【事案の概要:はじまりは「90分の待ち時間」】

ある日、高齢の患者さんに付き添われていたご家族から、待ち時間に関するお叱りを受けました。この日は外来が非常に混雑しており、約90分お待ちいただいている状況でした。

当初、そのご家族の不満は理解できるものでしたが、次第に
・他の診察室に断りなく入室する
・対応したスタッフの手を30分以上止めさせる
・診療全体に影響を及ぼすほどの大声で抗議する
などの言動が見られるようになり、診療科から私に対応の依頼がありました。

【クレームが「変質」するサイン】

私はまず、お待たせしている事実について謝罪し、現在の混雑状況やその理由、病院として改善策を検討していることを丁寧に説明しました。
しかし、ご家族の要求は以下のように変化していきました。

機密事項の開示要求: 「改善策をいつまでに実施するのか、会議の内容を文書でいついつまでに回答しろ」
金銭的対価の示唆: 「無駄にした時間を返せ(実質的な補償の要求)」
権威への固執: 「お前では話にならない。事務長や院長を出せ」
個人への攻撃: 「お前の名前はなんだ」と職員証をスマホのカメラで無断撮影(しかし、ご自身のお名前は『個人情報』を盾にして頑なに名乗りません)、対応した私の個人情報をインターネットでサーチして、経歴を指摘してくる

ここで重要なのは、これがもはや「不満の解消」ではなく、「組織への支配」や「個人への攻撃」にフェーズが変わっているという認識を持つことです。

【元刑事・管理職としての防衛策】
このような段階では、単なる謝罪の継続は逆効果になることがあります。私は以下の3点を徹底しました。

〇「文書回答」のスパイラルを回避する
安易に文書を出すと、一字一句を揚げ足取りの材料にされ、際限のない質問攻めに遭うリスクがあります。「院内会議は機密事項を含むため開示できない」と明確に線を引き、口頭での合理的な説明に留めました。

〇管理職のレベルで防衛ラインを引く
「院長を出せ」という要求に対しても、部門管理職(私)の対応で十分であると判断し、毅然とお断りしました。安易にトップを出すことは、組織の防衛ラインを自ら下げることになりかねません。

〇「周囲の目」を意識した説明
これが最も重要なポイントです。
「理不尽な言動には屈せず、ルールを守ってくださる多くの患者さんを大切にする」という姿勢を、周囲で見守っている他の患者さんたちに伝わるよう、簡潔かつ合理的な説明を繰り返しました。

〇個人攻撃への対応
後日、当事者である人物から私宛に電話があり、私の過去の経歴やプライベートで取り組んでいる地域貢献活動について「お前、外ではいい顔して、患者に対しては意見に耳を貸さないとかやってるんだな」などと指摘をしてきました。
私はそのご指摘に対して、『私の個人情報をお調べになられてどのように取り扱われるおつもりでしょうか』と冷静に確認しました。
すると、それ以上の具体的な言及はなく、先方は一方的に通話を終了しました。
その後、同様の連絡や来院はなく、対応は収束しました。

【現場を守るために】

待ち時間クレームの多くは、最初は理解可能な不満から始まります。しかし、対応を誤ると要求の拡大や長期化を招きます。

「今、このクレームはどの段階にあるのか」を見極める冷静な視点こそが、現場のスタッフと、そして何より「静かに順番を待ってくださっている善良な患者さんたち」を守るための盾となります。

もし現在、同様のケースで対応方針に迷われている場合は、状況整理や対応方針のご提案などもお手伝いしています。

一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

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