夜に読む、恋の記憶 第2話
日付が変わる少し前から、スマホを何度も見ていました。今日は、彼の誕生日。去年は、0時になった瞬間に、「お誕生日おめでとう」と送った。彼から返ってきた、「一番乗り。ありがとう」その言葉が嬉しくて、なかなか眠れなかったことを覚えています。でも今年は、もう送る理由がありません。連絡を取らなくなってから、何か月もたっていました。それでも、誕生日だけは忘れられなかった。23時58分。LINEを開いて、彼の名前を探しました。トーク画面には、最後に交わした言葉が残っていました。「元気でね」そのあとに、彼から返事はありませんでした。私は文字を打ちました。「お誕生日おめでとう。元気にしてる?」少し考えて、最後の一文を消しました。「お誕生日おめでとう」これだけなら、送ってもいいかな。もう未練なんてないように見えるかな。ただのお祝いだって、思ってもらえるかな。時計は、もう0時を過ぎていました。送信ボタンに指を置いても、どうしても押せませんでした。本当は、誕生日を祝いたかっただけじゃない。返事がほしかった。私のことを、少しでも思い出してほしかった。もしかしたら、「久しぶり」その一言から、また何かが始まるかもしれない。そんな期待が、心のどこかに残っていました。だから送れなかった。何も返ってこなかった時、もう一度傷つくのが怖かったんです。しばらく画面を見つめてから、打った言葉を全部消しました。真っ白になったメッセージ欄を見て、少しだけ寂しくなりました。でも、不思議と涙は出ませんでした。今年は祝わなかったんじゃない。心の中で、ちゃんと祝って、送らないことを選んだだけ。「お誕生日おめでとう」心の中で、そっとつ
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