恋の終止符

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人生には、映画みたいな展開なんて
そうそう起きない。

そう思っていた。

でも、その日だけは違った。

一本のメッセージが私の日常を
ひっくり返したのだ。

「◯◯さん、明日で退職するらしいよ」

その文字を見た瞬間、
スマホを落としそうになった。

え?

明日?

明日って、あの明日?

ついさっきまで普通だった世界が、
突然カウントダウンを始めた。

もし明日を逃したら。

もう二度と会えないかもしれない。

そう思った瞬間、心臓が暴れ出した。

その夜はほとんど眠れなかった。

ベッドの中で寝返りを打ちながら、

「行くべきか」
「やめるべきか」
「迷惑じゃないか」
「でも後悔したら?」

頭の中で会議が朝まで続いた。

そして翌日。

私はプレゼントを片手に、
会社近くで彼を待っていた。

まるでドラマの主人公みたいだ。

いや、実際は違う。

ただの不審者である。

何度もそう思った。

でも帰れなかった。

しばらくして彼が現れた。

久しぶりに見る姿。

遠くからでもすぐ分かった。

胸がぎゅっとなった。

ところが。

神様は最後まで試練を与えるらしい。

彼の隣には男の同僚がいた。

しかも楽しそうに話しながら歩いている。

話しかけられない。

タイミングがない。

どうしよう....

私は数メートル後ろを歩きながら、
完全に探偵モードへ突入した。

今思うとかなり怪しい。

もし職務質問されても言い訳できない。

そのまま駅へ。

そして衝撃の事実。

その同僚も同じ路線だった。

終わった。

神様、意地悪すぎませんか。

でもここで帰ったら、一生後悔する。

そう思った私は、改札へ入る直前、
勇気を振り絞った。

「お疲れ様です!」

彼が振り向いた。

ほんの数秒。

でも私にはスローモーションに見えた。

プレゼントを渡し、

感謝の気持ちを伝えた。

そして最後に、

「気が向いたら連絡ください」

そう書いた小さなメモを忍ばせた。

連絡先を聞くことはしなかった。

返事を求めたわけでもない。

ただ、

私の人生の中に確かに存在した人へ

ありがとうを伝えたかっただけだから。

そして何より。

久しぶりに会って気づいた。

私はまだ彼が好きだった。

思い出を好きだったんじゃない。

過去を美化していたわけでもない。

実際に顔を見て、

声を聞いて、

「あぁ、やっぱり好きだったんだな」

と静かに確信した。

不思議な人だった。

特別なことを言うわけでもない。

派手なタイプでもない。

でも、なぜか近くにいるだけで心が穏やかになる。

まるで忙しい毎日の中に現れる
小さな避難所みたいな人。

そんな人だった。

恋が実ることだけが幸せじゃない。

想いを伝えられたこと。

後悔を残さなかったこと。

そして相手の幸せを願えること。

それもまた一つの幸せなんだと思う。

だから私は、
この恋にそっと終止符を打った。

連絡が来ても来なくてもいい。

彼には彼の人生がある。

私には私の人生がある。

それでいい。

でも願わくば、

彼がこれからも笑顔でいてくれますように。

そして私はまた新しいページをめくる。

人生という長い物語は、
まだまだ続いていくのだから。

次の恋が、どこかで私を待っている❤️

・・・と、
恋愛ドラマの最終回みたいなことを考えながら、

私は今、
健康にいいのか悪いのかわからない
青汁サワーを飲んでいる。

人生とは実に奥深い。


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