住宅ローンがゼロからわかる パート②

住宅ローンがゼロからわかる パート②

記事
コラム

1.そもそも「担保」「抵当権」ってなに?

●担保とは?
住宅ローンは、何十年もかけて返していく大きなお金の借入です。
そのため、もし返済できなくなってしまったときに備えて、
「返せなかったときには、これを売って返済に充てます」
という“保険”として差し出すものを「担保」といいます。
住宅ローンの場合は、買った家と土地そのものが担保になります。

●抵当権とは?
担保になった不動産には、登記簿に「抵当権(ていとうけん)」という権利が設定されます。
借主が返済できなくなったとき
→ その不動産を売って、他の債権者よりも優先して返済を受けられる権利

なかでも、一番優先される権利を「第一抵当権」といいます。
住宅ローンでは、この第一抵当権を、実際のお金を貸す銀行ではなく、保証会社が持つのが一般的です。

2.保証会社・保証料・代位弁済の流れ

昔は「住宅ローンには保証人が必要」という時代もありましたが、今は多くの住宅ローンで、
人の保証人は不要
銀行が指定する**保証会社が“保証人役”**になる
借主は保証会社に保証料を払う
という形が主流です。

●返済ができなくなったらどうなる?
借主が返済できなくなる
保証会社が、借主に代わって銀行に返済する(=代位弁済)
保証会社は、担保不動産を競売などで売却して回収
売却しても足りなかった分は、借主に請求される
→ 以後、お金を返す相手が「銀行」から「保証会社」に変わるイメージです
「保証料を払っているから、返せなくなってもチャラ」ではありません。
あくまで“銀行を守るための保険”であって、借主を守る保険ではない、というのがポイントです。

●保証料の払い方:外枠方式と内枠方式
保証料の支払い方法は、主に2パターンあります。
外枠方式…最初に一括払い
内枠方式…毎月の返済に上乗せ(その分、金利が0.2%ほど高くなるなど)
一般論としては、
トータル支払額は 外枠方式(一括)の方が安くなりやすい
といわれますが、ここで注意したいのが、
「必ず外枠方式がお得」とは限らない
という点です。
たとえば…
外枠方式:借入4,000万円・金利1.0%・保証料を最初に82万円ほど一括払い
内枠方式:借入3,918万円・金利1.2%・保証料は月々の金利に含まれる
のように条件を変えて計算すると、内枠方式の方が総支払額が低くなるケースもあります。
つまり、
手元資金をどこまで残しておきたいか
金利差・借入額の差でトータルがどう変わるか
を、必ず試算して比較することが大切です。

3.「連帯保証」と「連帯債務」の違い

共働き夫婦が家を買うとき、二人の収入を使ってローンを借りるパターンが増えています。
このとき関わってくるのが、
連帯保証
連帯債務
ペアローン
といった言葉です。

●連帯保証とは?
片方が主な借主(債務者)、もう片方が連帯保証人になる形です。
連帯保証人は、「債務者が払えなくなったら、代わりに全額払う義務」がある
ただし、連帯保証人は借主ではないので、
住宅ローン控除は受けられない
団体信用生命保険(団信)にも基本的に加入できない
「責任だけ重くて、メリットは少ない」のが連帯保証の特徴です。

●連帯債務とは?
夫婦二人ともが“借主”としてローンを負う形です。
主たる債務者 + 連帯債務者
どちらも銀行に対する返済義務を負う
持分や年収の割合に応じて、二人とも住宅ローン控除が受けられる
【フラット35】で収入合算をする場合は、この「連帯債務」が基本です。
民間銀行では、一部の住宅ローンしか連帯債務を選べない点に注意が必要です。

●連帯債務の団信はどうなる?
原則は「主たる債務者だけが団信に加入」です。
主たる債務者が亡くなれば、保険でローン完済
連帯債務者が亡くなっても、保険は下りず、ローンはそのまま
ただし、夫婦二人ともを保障対象にできる
「夫婦連生型」団信
を選べるローンもあります。
どちらか一方が亡くなれば、ローン全額が完済されるタイプ
フラット35や一部の民間ローンで取り扱いあり
夫婦でローンを組む場合は、「誰が亡くなったら、どのローンがどうなるのか」を必ず確認しておきましょう。

4.「収入合算」と「ペアローン」

●収入合算とは?
名義人は1人ですが、その人の収入に親や配偶者など近親者の収入をプラスして審査してもらう方法です。
合算できる相手は、夫婦・親子など近親者に限られる
合算できるのは原則1人まで
【メリット】
・借入可能額が増える
・借入額が増えることで、住宅ローン控除額も増え、節税効果が大きくなる可能性がある
ただし、合算分の収入は「年収の2.5倍程度」だけ借入額に上乗せされるイメージで、名義人本人ほどのインパクトはありません。

【デメリット】
・合算相手は連帯保証人になる
・名義人が返済不能になったら、合算相手が返済する義務
・借入額が増えやすく、利息負担も増える
・住宅を共同名義で登記する必要があり、出したお金と持分がずれていると贈与とみなされるリスクもある
「借りられるから借りる」ではなく、
「返せる金額の範囲に収める」
ことが何より大切です。

●ペアローンとは?
夫婦など二人が、それぞれ別の住宅ローンを組む方法です。
夫が〇〇万円
妻が〇〇万円
というように、2本のローン契約が並ぶイメージです。

【メリット】
・それぞれが自分のローンを負うため、責任範囲が明確
・それぞれが借りた金額に応じて所有権を持つ
・二人とも、それぞれ住宅ローン控除が受けられる
・二人とも団信に加入できるので、どちらか一方が亡くなったとき、その人の分のローンはゼロになる

【デメリット】
・それぞれが「自分のローンを全額返す」義務を負う
・共働き前提で組むと、将来どちらかが退職・育休などで収入が減ったときに負担が重くなりやすい
・家計全体で見たローン負担額の把握が少し複雑になる
・足りない分を片方がもう片方に渡すと、「贈与」とみなされる可能性もある
特に、
「今は共働きだけど、将来は片方が仕事をセーブする予定」
という場合は、ペアローンの設定は慎重に考える必要があります。

5.返済比率・審査金利・融資比率の考え方

●返済比率(返済負担率)
年収に対して、住宅ローン返済が何%か
目安:20~25%以内が無理のないライン
金融機関によっては30%前後を上限としているところも
計算式は、
返済比率 = 年間返済額 ÷ 額面年収
となります。
カーローンやカードローン、スマホの分割払いなど、他の借入も全部合計して判断されます。

●審査金利
広告に出ている金利(実行金利)とは別に、審査では
「もし金利がもっと高くなったとしても、返せるか?」
をチェックするため、4%前後など高めの金利で計算するのが一般的です。
ここで借入額が絞られてしまうケースも多いので、
すでにある借入を減らしておく
クレジットの分割払いを整理しておく
といった準備が、借入可能額を増やす近道になります。

●融資比率
「物件価格に対して、ローンが何%か」を示す数字
例:3,000万円の家を2,700万円借りる → 融資比率90%
目安として、80%未満だと条件が良くなりやすいことが多いです(金融機関による)
頭金をどのくらい入れるかで、この融資比率が変わってきます。

6.ローンの期間・金利タイプ・手数料

●借入期間
上限は35年が一般的
ただし「完済時の年齢」条件あり(例:80歳未満など)
たとえば、完済時年齢79歳・借入時50歳なら、
79 − 50 = 29年
が最長の借入期間になります。

●金利タイプ
変動金利型
金利は低めだが、半年ごとに見直し
将来の金利上昇リスクあり

固定期間選択型
当初3年・10年など一定期間は固定金利
その後、変動か再度固定かを選ぶ

全期間固定金利型
借入から完済まで金利が変わらない
安心だが、他より金利は高め

ざっくり言うと、
変動 < 固定期間選択 < 全期間固定
の順に金利が高くなるイメージです。

●手数料など
住宅ローンを借りるときには、以下のような費用もかかります。
事務手数料(銀行によって定額 or 借入額の○%など)

一部繰上げ返済手数料
期間前完済手数料
ネット銀行は「事務手数料:借入額の2%前後・保証料ゼロ」など、条件の組み合わせが違います。
金利だけでなく、「保証料」「事務手数料」を含めた総額比較が大切です。

7.諸費用を住宅ローンに含められるか?

家を買うときは、物件価格以外にもいろいろな費用(諸費用)がかかります。
登記費用
印紙税
ローン関連費用(保証料・事務手数料など)
火災保険料
仲介手数料
各種申請費用、地盤調査費用など

●支払い方法は大きく3つ
現金で払う
金利がかからないので、トータルコストは最も安くなる
住宅ローンに組み込む
「物件価格+諸費用」をまとめて住宅ローンに
ローンは1本でシンプルだが、借入額が増える
別のローンで諸費用だけ借りる
諸費用ローン・フリーローンなど
金利は住宅ローンより高い(年2~3%など)
ローン契約が2本となり、月々の返済も2本分になる

●諸費用を住宅ローンに含められる金融機関
ネット銀行を中心に、諸費用を住宅ローンに含められる商品が増えています。
auじぶん銀行
イオン銀行
住信SBIネット銀行
楽天銀行
PayPay銀行
一部の信託銀行・フラット35(ARUHIなど) …など
一方で、都市銀行や地銀は、物件価格のみローン対象で、諸費用は現金払いが前提というケースもまだ多いです。
各行の条件は変わるので、必ず最新情報を確認しましょう。

●ローンに含められる諸費用・含められない諸費用
住宅ローンに含められることが多いもの
売買契約・建築請負契約・ローン契約の印紙税
ローン保証料・事務手数料
登記費用(登録免許税・司法書士報酬)
火災保険料(数年分まとめ払い)
仲介手数料
各種申請費用(建築確認・長期優良住宅・適合証明など)
地盤調査費・改良費、水道負担金、ホームインスペクション費用など
住宅ローンに含められないもの(自己資金が必要)
不動産取得税
固定資産税・都市計画税(一部日割り精算分含む)
引越し費用
カーテン・家具・家電などの購入費
「頭金ゼロ・諸費用もローン」は、一見ラクに感じますが、その分毎月の返済と総支払額は確実に増えます。

8.借入可能額と無理のない返済の考え方

最後に、借入可能額のざっくり目安です。
年収300万円 → 借入目安 約2,040万円
年収400万円 → 約2,720万円
年収500万円 → 約3,400万円
年収600万円 → 約4,080万円
年収700万円 → 約4,760万円
これはあくまで「銀行が貸してくれそうな金額」の目安であって、
「安心して返せる金額」とは必ずしも一致しません。
他の借入(車・カード・教育ローンなど)があるか
将来のライフプラン(出産・進学・転職・独立など)
共働きがいつまで続くか
こうした点も踏まえて、
「借りられる額」ではなく「返していける額」を基準に考える
ことが、住宅ローンで失敗しない最大のポイントです。

ではまた。

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