企業が行うべき「安否確認」とは・・・
災害時に企業が行うべき安否確認とは、従業員の生存確認を行うことです。
「現在安全な状況にあるのか?」「怪我をしていないか?」「適切な連絡手段があるのか?」などの確認も、あわせて行います。
原則として従業員が対象ですが、家族などが怪我を負っている場合、従業員は緊急対応できません。緊急対応できる従業員を把握するために、家族や同居人などの関係者の安否確認を同時に行う必要があります。
昨今、日本では地震災害や風水害などが多発しています。この傾向はしばらく続くとも言われており、企業は迅速に安否確認を行えるようにしておく必要があります。企業によって従業員の働き方は異なるため、各社それぞれの業種や業態に応じた安否確認方法の確立が求められています。とくに近年はリモートワークを取り入れている企業も多いため、同じ場所にいない場合でもスムーズに従業員と連絡を取れるようにしておくことが大切です。
■企業の安否確認の範囲はどこまで?
企業が安否確認を行う対象は、企業活動に関わるすべての人です。では企業が安否確認を実施するべき範囲は、一体どこまでなのでしょうか?
ここでは、雇用形態別に企業が安否確認を実施すべきか解説します。
今回解説するのは、下記の4パターンです。
正社員
派遣社員
業務委託・請負
アルバイト・パート
正社員だけでなく、派遣社員も含まれるのかなど、自社の状況に合わせて項目を確認してみてください。
正社員
企業に従事する正社員は、当然安否確認の対象です。正社員の安否がわからなければ業務に支障が生じる恐れもあるため、正社員の安否確認は必ず確認しましょう。
派遣社員
派遣社員は、企業が雇用した社員ではないものの、事実上派遣先企業の管理下にあるため、安全配慮義務の適用がおよびます。つまり、法的義務はないものの派遣社員の安否確認も実質的には必要です。派遣社員の方にも、安否確認の必要性を伝えてあらかじめ連絡先を入手しておきましょう。
業務委託・請負
コンサルタントのように業務委託・請負契約で働いている方は、法律的に安全配慮義務がありません。しかし労働基準法87条1項、労働基準法施行規則48条の2では、被災者が下請企業の雇用する従業員であっても、元請企業を使用者とみなすと定められています。つまり安全配慮義務は適用されないものの、緊急時には企業の一員とみなすという考えです。業務委託や請負の契約形態でも、勤務先で災害が起こった場合、実質的には安否確認をするほうがよいでしょう。
アルバイト・パート
アルバイト・パートへの安否確認も、法的には義務付けられていません。ただし、正社員や派遣社員と同様に、安全配慮義務の延長として対応することが求められます。アルバイト・パートだからといって、災害発生時に連絡しなかったり、怪我しているのに無理に仕事させたりしてはいけませんから、ご注意ください。
■企業の安否確認は法的に義務付けられていない
災害時に従業員の安否確認をしなくてはならない、といった具体的な法令はありません。しかし、いかなる場合においても、企業は雇用している従業員の安全を確保すること、いわゆる安全配慮義務が課されています。これは「労働契約法第5条」に定められている「労働者の安全への配慮」の項目に該当します。
以下は、労働契約法の抜粋です。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
(引用:労働契約法)
この法令では、従業員が安全かつ健康に働けるよう、企業側が配慮することが定められています。
また、従業員の安全配慮義務については、労働契約法だけでなく、労働安全衛生法にも記載がされています。
第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
(引用:労働安全衛生法)
このように、安否確認自体は、法的に義務付けられているものではありません。しかし、安全配慮義務の延長として対応することが求められています。たとえば、災害発生時に従業員を助けなかったり、ケガをしているのに無理に出勤させたりした場合、企業側にペナルティが課せられる恐れがあります。
■安否確認は安全配慮義務への対策のひとつ
企業には、従業員の命や安全に配慮しなければならないという「安全配慮義務」があります。安否確認には義務はありませんが、安全配慮義務への対策のひとつとして実施するべきでしょう。自然災害発生時においても、安全配慮義務を満たしていなかったとみなされれば、訴訟賠償などのリスクがあります。平時から、安全配慮義務を満たすための体制を整えることが大切です。従業員の安否をすぐに確認できる体制を整えることは、安全配慮義務の一環として重要でしょう。