距離を取ったはずなのに、
夜になると、心だけがあの場所に戻ってしまう。
もう連絡もしない。
会うこともない。
頭では「離れた」とわかっているのに、
感情だけが、取り残されたみたいに揺れる。
ああいう夜は、だいたい静かだ。
何か大きな出来事があったわけでもない。
ただ、ふとした瞬間に、
「本当にこれでよかったのかな」という問いが浮かぶ。
戻りたいわけじゃない。
やり直したいわけでもない。
それでも心は、完全には前を向いてくれない。
前に進めていない自分を見つけて、
また責めそうになる。
でも最近、少し見方が変わった。
心が追いついていないのは、
意志が弱いからでも、未練が深いからでもない。
それだけ、ちゃんと関わってきたということ。
感情を置き去りにしないで、
一つ一つ抱えて生きてきた証なんだと思う。
距離を取る決断は、頭が先にする。
でも心は、時間をかけてしか動けない。
それを
「まだ引きずっている」
「切り替えができていない」
そう言われると、また苦しくなる。
本当は、遅れているんじゃない。
丁寧すぎるだけ。
夜に揺れる心は、
戻りたいサインじゃなくて、
「ちゃんと終わらせようとしている途中」の合図。
そう思えるようになってから、
夜の静けさが、少しだけ味方になった。
置いてきぼりになっているのは、
弱い自分じゃない。
ちゃんと感じてきた自分が、
まだ追いつこうとしているだけ。
だから今夜も、
無理に前を向かせなくていい。
心が追いつく速度で、
ちゃんとここに戻ってくる。
ーLuminara
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