コーチングに150万円と3年間を投資した女が書類通過率8割以上、内定者続出の就活メンターになった話#1 こじらせ期

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ビジネス・マーケティング
2015年春。私はコールセンターの事務部門で現場管理者をしていた。

連日朝8時から22時までの長時間労働。

部下がミスをすれば1件ずつ始末書と対策案を書いたり、解決できない課題や自分の仕事ができないほど多忙だった現場。
平日に休みを取るのもはばかられる。
今で言うブラックな働き方だった。

それでも私には夢があった。
コーチングを学んで、現場の環境を変える。
そして、みんなが気持ちよく働ける職場を作る!

そう考えた理由は、現場都合でやむを得ず退職した前職にあった。

2013年、外資系製薬会社の人事部に派遣社員として配属になった私が最初に任されたのは、コーチング研修受講対象者の日程調整。

そこで私は初めて「コーチング」と言う言葉を知ることになる。
気になって調べてみると「人材育成」の一環で、指導するのではなく、自ら気づきを与えることができるのがコーチであるとのこと。

そして、私の上司は全員、その「コーチ」を養成する機関で資格を取得したプロ。彼らのいる職場は常に笑いに溢れ、居心地がいい。

私もコーチングを学んでこの人たちのようになりたい!でも100万円かかる。それでも絶対にコーチになりたい!
しかし、この時は予算がなくやむなく断念したまま契約終了となったのだった。

話を2015年春に戻す。
幸運なことに夏講習が祝日開催と知り、絶対に憧れの人と同じコーチになると決意して、ゴールデンウィークに借金をして100万を工面し、2015年夏から始まる基礎から資格コースまでの料金を一括で支払った。
一刻も早く資格が欲しかったので、休みのたびにキチキチに予定を詰め込んで研修三昧。

しかし、現実は甘くなかった。あんなに楽しみに待っていた講習を忘れるほどの激務は続き、気がつけば体が疲れ切った状態で、コーチングを学ぶことになる。

気づきを得るところか、ただ時間を過ごすだけ。それでも予約した日程を変更しては自分に負けてしまう。次に受講する機会も、モチベーションも下がることが怖かった私は、通常2年ほどかけるというコースをたった3ヶ月で走り抜けた。

資格取得コースは3ヶ月で駆け抜けたあとさらに2週間後。それまでには事前課題や書類の提出。
そしてクライアントを5人探すことが必要。
職場で居場所を失っていた私には同僚と言える人も、仲間といえる人もいなかった…。

定時は18時、ミーティングは19時半から。
当然参加できるはずなのだけど、残業が22時まで続く現場ではそんなものが守れるわけがない。

私は思い切って上司に言ってみた。
「私コーチング習っているんです。資格を取るためにこの日は毎週19時半には上がれるようにしてください!」

「は?そんなのできるわけないでしょ!」
これが同僚ならびに上司の見解。期待した私がバカだった。ほんとうの地獄のはじまりだった。

19時半からのミーティングは隙を見て無理矢理仕事を終わらせて参加した。
他の仲間は自宅から落ち着いて参加しているのに、私だけはビルの小さなロビーで耳だけの参加。それすら追い出され、寒風のなかで受講していたこともあった。

そんな私を現場は疎んだ。管理職であるが故、面談のOJTをする機会があった。
その際に、コーチング的な働きかけで、「どんなふうになったらあなたは楽しく働けますか?」なんて聞いたもんなら速攻「なんでそんな質問したの」とダメ出し。
そんなに私がコーチングを学んでいることがよくないの?コーチングを学ぶと言う走り出した列車の中で自問自答ばかりする自分がいた。

そして退職を告げた時、引き止めはなかった。

資格取得コースは6ヶ月続くのだが、幸いにも最後の1ヶ月は有休消化自宅で受講することができた。
穏やかに受講できたことを今でも覚えている。
しかし時すでに遅し。コーチの先輩方の前でロールプレイをやってもダメ出しばかり。
本当に何が間違っているのか、わからなかった。
受講が終わったころにはクライアントとのセッション時間をクリアして、ひとり、またひとりと合格していった。

コーチングを学んでいる自分に自信が持てなくなったわたし。とうとう、他のメンバーは全員合格していき、取り残された。

コーチングの練習時間を増やすため、払った100万円を無駄にしないため、必死でやってきた。だけど私の元に、吉報が来ることはなく、永久に受験資格を閉ざされた。

失意の中、憧れのコーチング機関から戦力外通告を受けた私は、諦められず、100万円の返済がまだのまま、さらに追試と講習で10万円と追加で40万円を投資し、次のコーチング機関の門を叩く。

すでにコーチングを習ってたので、学びの面は違和感なく入ることができた。しかし何かが足りない。コーチングはうまくできるのに相手の心に入っていけない…。

そこではたと気づく。
「わたし、意地だけでコーチングしてる」
「もう、楽しく、ない」
「コーチングを休もう」

すでに3年の月日が流れていた。150万円は結果として、泡銭と同然になってしまった。

コーチングを学べば、コーチの資格を取れば、これまでに出会った人と繋がっていられる。
資格がなければわたしの4年間は無駄になる。

高校受験、大学受験、新卒就職、昇進コース、全て外れてきたわたし。

今度こそ失敗したくない。絶対に失敗したくない!なんとしてでも成功したかった。

絶対に諦めない。なんと言われても諦めない。

この、思い込んだら執念深いと言う性格が裏目に出続けていた。その極みだった。

【続く】
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