「そのままでいいよ」「コンプレックスも君の魅力だよ」
そんな言葉をかけられたとき、心から喜べなくて、むしろざわざわとした落ち着かない気持ちになってしまうことはありませんか。
世間一般では「褒め言葉」として扱われるその言葉が、あなたにとってはまるで、見たくない部分をライトで照らされ、じっと観察されているような「監視」に近い感覚になってしまう。
心理カウンセラーとして、僕はその心の動きはとても繊細で、自分を守るための大切な感覚なのだと考えています。
あなたがずっと隠したかった場所、自分でも嫌いでたまらなかった部分を、相手が「いいよ」と肯定する。
それは一見、深い受容のように思えますが、繊細な感性を持つあなたにとっては「私の弱点をこの人は把握しているんだ」という、一種の支配やリスクとして感じられてしまうのかもしれません。
自分の弱みを握られたような気がしたり、あるいは、そのコンプレックスを話題に出さないと成り立たないような、歪な関係性を予感してしまったり。
素直に喜べない自分を「ひねくれているのかな」なんて責める必要はまったくないんですよ。
むしろ、それだけあなたが自分の内面を大切に扱い、侵食されないように守っているという証拠なのですから。
コンプレックスというのは、自分にとっての「聖域」のようなものです。
他人には踏み込んでほしくない、触れてほしくない、自分だけの繊細な痛みがある場所。
そこを土足で、たとえ善意であっても踏み荒らされるような感覚になるのは、あなたが自分という存在を尊重しているからこそ起こる反応なのです。
相手の言葉が「褒め」の形を借りた「評価」や「分析」のように聞こえてしまうとき、僕は無理に笑顔で受け流さなくてもいいのだと思います。
「ありがとう」と口では言いつつ、心の中では「今はまだ、そこを触られたくないな」と静かに境界線を引いてもいい。
関係性というのは、お互いの良いところだけでなく、お互いが「触れてほしくない場所」を尊重し合うことで、より深く、静かな信頼へと変わっていくものです。
「そこを指摘しないと成り立たない関係」であるように感じてしまう不安も、あなたの鋭い観察眼が教えてくれている大切なサイン。
本当の安心感は、あなたのコンプレックスを無理に褒めそやすことではなく、ただ、そこにあることを知った上で、特別視せずに横にいてくれること。
そんな静かな愛し方を、あなたは求めているのかもしれませんね。
今、胸の中にあるその「監視されているようなモヤモヤ」を、まずは否定せずに受け止めてあげてください。
「私は今、自分の大切な場所を守ろうとしているんだね」と、自分自身に声をかけてあげる。
そうすることで、外側からの言葉に振り回されすぎず、あなたの心の穏やかさを少しずつ取り戻していけるはずです。
心理カウンセラーとして、あなたがあなただけの心地よい距離感で、大切な人たちと繋がっていけることを心から願っています。