社会人14

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それからの生活はひどいものだった。

家に食べ物などない。
子供も学校にいかない
男性に給与が入ると飲み屋かパチンコだった。

そうしているうちに、私にも「働け」というようになった。

私は、よし!これでまた離れられる!
と思った。

しかし私は中卒、簡単に仕事などあるわけがない、

そうしていると、先日きた近所のおばさんの旦那さんの行きつけの床屋さんが、住み込みで募集をしているという話が舞い込んできた。

私は、どこでもいいから離れて生活し、できれば床屋さんをしてきたのだから同じ仕事がよかった。

おばさんの旦那さんの好意で、その床屋さんに住み込みで働けるようになった、

そこは小さな床屋さんだった。
お店には、働いている女性が二人いた。

そして、ある程度、生活の説明や仕事の内容などを聞いた。

与えられた部屋は、なにかお店の人の個人のものも置いてある、「物置」のような薄暗い部屋だった。

それでも何とかして、自分のスペースを作った。

給与は「手渡し」だというのだ。

まぁ…小さい個人の店ならあり得るのかな、とあまり深く考えないでいた。

そうして、日々の仕事や生活にも慣れてきた日。

そう…給料日。

茶色い封筒を渡された。

もちろん、寮費などが引かれての金額だろうというのは覚悟していた。

封筒を手にしたとき
「あれ?」
と違和感が…。

最初「給料明細」だけが入っているのだと思った。

そしたら、お店の奥さんが…
「あなたの給料ね、お母さんに渡せって言われてるの」
と…。

!!!!

そこまでするか!とも思ったが、
するだろうな…
と、なぜか腑に落ちてしまった。

私は、それでもあの家にいるよりはマシに思えてきたから
「そうですか」とだけ言った。

封筒には「1万円」
が一枚入っていた。

私は店が休みの日でも家には帰らなかった。
当時はまだ携帯などなかったから、電話もくることは最初はなかった。

2か月…3か月…
私はお店の先輩たちとも仲良くなり、
おばさんの旦那さんも応援に来てくれたり、それなりに楽しかった。

が…

仕事中に奥さんに呼び出された。

「ごめんね、今日で辞めてもらうわ、あなたのお母さんとは付き合えないから」
と…。

裏でどういうやり取りになっていたか全くわからなかった。

しかし、裏では、私の給与の「前借」を要求していたらしい。

奥さんやお店の先生も私に気を使って今まで言わなかったらしい。

また、あいつに仕事を奪われた…。

給料もほぼ毎月全部自分で持っていってるのに!!

本当に嫌になった。
このまま県外に逃げようかとも思った。
しかしお金がない。

そうしているうちにまた母親が店まで迎えに来た。
私が知らないとでも思っているのだろう
お店の人たちにも、愛想を良くしていたが、先生たちは微妙な顔をしていた。

私は、この人になにを言っても無駄なことはわかっていたから、あえて何も言わないし聞かないでいた。
が、母親は私の機嫌を取ってきた。

「あんなとこダメだね」「あの店じゃ…」など、さも店が悪いように言っていた。

私は、その言葉を真に受けないように、ずっと空を見ていた。

これから私、どうなるんだろうな~…
と。

それから、また奴隷の日々が続いた。

お金が無くなると機嫌が悪くなる母親。
男性は長距離運転手のため長期不在。
男性はたまに帰ってきては母親とパチンコ、飲み屋。

その母親の機嫌の悪さが尋常ではなくなってきていた。

お金が無くなると、私にだけ暴力を振るうようになってきた。
「お前なんか産まなきゃよかった!」
「金もないお前に用はない!」
「お前は私が生んだんだから、生かすも殺すも私の自由!」
などと叫び、蹴る、殴る、髪を引っ張って引きずり回される…

お金が入ると、機嫌は良くなり、どこかに行くという生活が続いた

ある日。

その日も機嫌が悪かった。
私の掃除の仕方が悪いだのと、文句を言っていた。

今まで黙っていた私もなにか糸が切れたように
反抗した。

そして、反撃される前に二階に逃げた
が、母親は走ってきて
勢いよく私の顔面を蹴った。

!!!!
痛い!!

と思った瞬間
口から血がドバドバ出てきた…

!!!???

口から「歯」が数本、落ちてきた…

それを見た母親は

「あはははははは!歯が折れてやんの!ばかじゃね!あははははは」
と笑いながら下に降りて行った。

私は、口から血を流しながら、泣いた。

私はまだ16歳。

もう「死のう」と思った。
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