社会人13

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「探したわよ!!」
と、笑顔で玄関に立っている母親を見たときには、ゾッとした…。

どうやって見つけたんだ…
誰がいったんだ…

もう逃げられないのか…

私は呆然と玄関に立っていたが、裏に回ってくる同僚などの目が気になり、
とりあえず、店を出た…。

母親は
「家に帰るよ!」といい、そそくさと寮に入り、私の荷物を詰め込み始めた。
傍らには、あの男性がいた。
男性の車に乗せてきてもらったのだろう…。
私の荷物も車にドンドン詰められ…。

私は
あぁ…私の人生終わった

と思った。
それくらいショックだった。

嫌がらせを受けていても、仕事がハードでも、
仕事が楽しかったし、やっと、やりがいや、自分の存在価値などを見いだせていたのに…。

またこの人に全部ダメにされた…。

私の地元からは、車でも片道1時間はかかる…
その中で、一体どうやって探したんだろう…

けれど、父親の彼女の時もそうだった。

彼女の家や仕事場を今でいう「特定」をするのが、早かった。

どういう手段を使ったのかはわからないが、見つかって今、車で母親の家に連れて返させられている…。

おばさんがチクったのか…
まさかそんなことはないだろう。
おばさんも関わりたくないと言っていた。

これから先、私は奴隷のように生きていくのか
もう私には何もできないのか

車の中で色々考えていた。
母親は、気分がいいようでずっと話していたが、聞いていなかったと思う。

着いたところは、前の団地ではなく
新築の家だった。

どうやら家を買ったらしい。

けれど、家の中は、ものすごく汚かった。

玄関を入ってすぐ、下駄箱の上は何かの物で山になっていた。

「お母さんたち、家を建てたの!すごいでしょ!入って入って!」
と、満面の笑みで言ってくる。

入って居間に入ると、そこは、いわゆる
「ゴミ屋敷」
だった。

子供の服、お酒を飲んだであろう缶やコップがテーブルの上に上がっている。

カーテンは閉め切ったまま

洗濯物もいつのものかわからないほどだった。

そして、男性が私の荷物を降ろしている時
母親は
「よく帰ってきたね!これからココに住むんだから、この部屋片づけておいて!お母さんたち、これからパチンコにいかなきゃいけないから」
と…。

やっぱり…

と、愕然としていると、子供たちが二階から降りてきた。

子供たちは小学校のはずだ…
なぜ、こんな時間に家にいるんだろう。風邪でもひいたのか

そそくさと私の荷物を降ろして、夫婦はパチンコに出かけた。

私は、しかなく、掃除、洗濯などをしていたが、
見るからに、ご飯も作られていないキッチンだったが物凄く、汚かった。

掃除機がどこにあるかを子供に聞いて、片づけをしながら、カーテンを開けて、窓を開け、洗濯を回し…
トイレも新築とは思えないほど汚れていた。

床はベタベタ…

私は一日かけて掃除した。

お昼になっても帰ってこない、二人はもうどうでもいい
子供たちになにか食べさせなくては…

と思い、冷蔵庫を開けると…

やっぱり何もない…
米も少ししかなかったが
米を炊いて、なにか野菜炒めを作ったような気がする。

そして子供たちをお昼に呼んだら…
「うわぁ!ご飯があるー!ごちそうだ!」
と言ったのだ!!

え?普段ご飯食べてないの?
と聞くと、
「お酒のおつまみを少し食べてる」
とだけ言った。

私は怒りが爆発しそうになった。

よくみると子供たちはやせ細り、髪の毛もボサボサで
学校や保育園には行っているかと聞くと
「お母さんたちが夜遅くまでお酒飲んでるし、朝起こしてくれないから学校にいけない」
というのだ…。

自分たちは幼い子供を家に残してパチンコに行き、お金がないと子供にご飯も食べさせないどころか学校にも行かせない始末。

とりあえず、ご飯は「おいしい!」と全部ペロッと食べてくれたので、ホッとした。

そして、子供たちの部屋も見せてもらった。

もう何がどこにあるのかわからない状態だった。

足の踏み場どころか、何かを踏んでいかないと前に進めない…。

この部屋は後でにするか…。

空気も入れ替わって、洗濯物を全部外に干し、トイレも掃除して…
あ、お風呂…

正直見たくなかった。
が、見るしかない

バッと開けると…
垢カビだらけの風呂場がそこにあった。

お風呂にも入っていないのか…

お風呂場の換気をしながら
掃除した。
とても素手で触れる状態ではなかった。

そうして、奴隷の一日は終わろうとしていた。

夜ごはん、どうしよう…

その時、ピンポーンとチャイムがなった。

出てみると、知らないおばさんがそこに立っていた。

「おぉ!帰ってきたのか」と私に声をかけてきた。
ん?
だれだろう…
と思っていると
昔、母親と夜の店で一緒に働いていたことがあるらしい、そこで私も会っていたという。離婚する前の話のようだ。

そのおばさんを秋おばさんということにする。

そのおばさんは近所に住んでいるようで頻繁にこの家に来ていたようだった。

そして、母親が私を心配していたこと、母親も苦労したことなどを聞かされたが、私にとってみれば知ったこっちゃない話だ。

今、この現状をどうも思わない、どうにかしようとも思わない時点で、何かが違うと感じていた。





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