テクノロジー「タイヤの色の未知なる事実」
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IT・テクノロジー
タイヤが何故黒いのか考えた事がありますか
急に聞かれて思いつく事は「見た目のため」
「汚れが目立たない為」「夜でも見えやすく
するため」等を思いつくかもしれませんけど
本当の理由は違います
黒い訳はゴムの中にカーボンブラックという
黒い粉を大量に混ぜているからです
カーボンブラックは凄く細かい炭素の粒です
簡単に言うと高品質な「すす」の様な物です
この黒い粉をゴムに混ぜると驚く程にゴムが
強くなります
例えば輪ゴムの様に柔らかいゴムが飛行機を
支えられるほど丈夫になる位大変化します
100年以上前のタイヤは今の様な黒でなくて
ゴムその物の色に近い白っぽい灰色でした
でも20世紀初頭に技術者がゴムの中に黒色の
カーボンブラックを混ぜると驚く事が起きて
タイヤがとても長持ちし丈夫になったのです
中には10倍以上硬くなる事もあってそれ以来
タイヤは黒くなり世界中で使われ始めました
しかしカーボンブラックを混ぜると強くなる
という事は解ったのですけど強くなる理由は
100年以上判明しませんでした
科学者達は長い間「多分こう」「いや違う」
「別の理由では?」と議論を続けてたのです
その中で一番有力だったのが「ガラスの橋」
と言う説です
これはカーボンブラックの粒子の表面が少し
ベタベタしてて近くのゴム分子をつかまえる
という考えでした
すると粒の周りのゴムがガラスの様に硬化し
粒間もベタベタ部分で橋の様に繋いで全体を
強くしてると考えられてました
でもこの説は問題があり硬くなる部分は粒の
一部分だけでしかもタイヤが実際に使われる
温度だと橋の様に繋がった部分の強度が弱く
なり橋が壊れます
なのにタイヤ全体の強度は強さを維持し硬い
橋で支えているだけでじゃ説明できない事が
多くあったのです
そこで米国のサウスフロリダ大学はスーパー
コンピューターを使用しカーボンブラックで
硬くなる理由を調べる為分子レベルで結合が
どうなってるかをCGで再現ました
これは分子1個1個の動きをコンピューターで
計算する技術です
普通の実験は実物を顕微鏡で確認する事しか
出来ませんがCGならカーボンブラックを他の
物に変えたりゴムも他の物に変え調べる事が
可能です
ゴムは自身の体積を維持しようとする性質で
引っ張ると伸びますが再び元に戻ってゴムは
体積を変える力をとても嫌がります
輪ゴムを引っ張ると長く伸びますけど同時に
横幅が細くなり伸びた分の体積を補強します
それが全体の体積を変えようとしない抵抗で
長くなった分は横を細くし体積を同じに保つ
働きをするのです
一方カーボンブラックの粒達はゴムの中でも
粒どうしが集まり骨組みや網のような構造を
作ってます
しかしこの粒の骨組みには変な特徴があって
引っ張ると広がりたがるゴムとは逆の性質で
伸ばされるとカーボンブラックの粒達も動き
伸びようとする力になります
でも粒は隙間なく詰まってるのでゴムが縦に
伸びると横幅が狭くなり粒が圧縮され広がる
力と逆の力が加えられるのです
すると粒は隣の粒に登る動きをしそうなると
移動した粒が元いた場所に間ができこの事が
起きると移動した粒の隙間の部分が柔らかく
なってしまい粒が移動して他の粒と接触した
部分は更に硬くなります
ここが一番重要な部分で「ゴムは体積を絶対
変えたくない!」に対しカーボンブラックは
粒を移動して隙間を作り「広がらせたい!」
と言う対照的な力が働きます
結果カーボンブラックが広がろうとするなら
ゴムは無理やり体積を変えさせられます
するとゴムは本気で抵抗し始め普段眠ってる
「体積を守る超強い力」が目覚めるのです
つまりカーボンブラックは外からゴムを固め
硬くしてたのでなくゴム自身の中に眠ってた
超強力な力を引き出してたのです
その力はカーボンブラックが移動して接触し
硬くなった部分はゴムが体積を維持しようと
抵抗する力を必要としないのでそこの部分の
ゴムの力が粒が移動し隙間が出来た柔らかい
部分に割り当てられゴムの体積変えたくない
力に変換されて抵抗力が上がります
と言ってもガラスの橋説は完全な間違いじゃ
ありませんでした
研究ではガラスの橋も少し役に立ってる事が
解りました
でも主役ではなく本当の主役は体積を守ろう
とするゴムの力だったのです
この研究によってなぜタイヤが丈夫なのかが
理屈で説明できるようになったのです
タイヤ作りでは燃費やグリップ力や長持ちの
3つを同時に良くするのが難しい問題でした
今までは何度も作り直して試すという方法が
中心でしたが原理が分かってこれで理論的に
設計ができるようになりました