【立派なのはキミじゃない】

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学び
 人は、危機に直面したり、痛みや葛藤を
 感じると、自分を守るための防衛反応が
 働く。これを「防衛機制」というのだが、
 13の「防衛機制」の中から12回目の
 今日は、「同一化」の話をしたいと思う。
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 「同一化」とは、「外界の対象を模倣し、
 対象と同じように考え感じ、その対象と
 一体化したかのように振る舞って、その
 対象を内在化する無意識的な心の働き」。        
 子供が「仮面ライダー」等になりきって、
 「弱い者いじめは許さない!」と勇敢に
 いじめっ子に立ち向かうのがそうだろう。
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 「強きをくじき、弱気を助ける」ような
 使われ方をされればいいが、これがもし、
 いじめっ子が「仮面ライダー」になった
 つもりで、「俺が正義だ!」と間違った
 理屈を振りかざしたらことだ。偉いのは、
 人類の平和のためにショッカーと戦って
 いる「仮面ライダー」であり、その志を
 くみ、「悪は許さん!」という強い心を
 持つことは非常に結構。そういう意味で
 対象を内在化するのなら言うことはない。
 但し、ここで自分自身が「仮面ライダー」
 であるかのように、「俺が正義だ!」と
 自らの行い全てを立派なものであるかの
 ような考え方は、痛みや葛藤を感じない
 ないように自分を守るための防衛反応が
 働いている可能性があり、周囲を不快に
 させ、人間関係構築の妨げになると思う。
 対象を内在化するだけで自分まで同じに
 なれる訳ではない。対象を手本に自身が
 研鑽を重ねないと対象には追い付けない。
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 大学の放送部の1年下に、放送部の強い
 高校から来た後輩がいた。立場上、私が
 彼を含む後輩達の指導にあたっていたが、
 彼の言動には、しばしば、高校の先輩の
 技量が如何に優れていたかを称え、現状
 を軽視するようなところがあった。だが、
 私から見て彼自身の技量が卓越している
 訳でもない。高校の先輩が如何に優れて
 いようと、彼自身の技量がお粗末ならば、
 ここでは通用しない。どんなに放送部の
 強い高校から来ようが、卓越した技量の
 先輩と共に高校時代を過ごしていようが、
 彼自身が、その先輩を内在化するだけで、
 自分まで優れているかのように思い込み、
 研鑽を積まなければ、そんなことは何の
 役にも立たない。まして、大学で先輩の
 指導や周囲をバカにするなどは言語道断。
 立派なのは、その先輩であって、彼では
 ない。立派な人の傍にいるからといって、
 自分自身も立派だという訳ではないのだ。
 それを肝に銘じておかなくてはいけない。
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 「仮面ライダー」や「優れた技量の先輩」
 を内在化する心の裏には、憧れ、尊敬し、
 見習おうと模倣する気持ちだけではなく、
 今の自分を肯定できない自信のなさまで
 見え隠れしているようにも思う。自分に
 自信があるなり、確固たる自分を持って
 いれば、外界の対象の模倣は不要だろう。
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
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