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目利きが消えた時代に、私たちは何を纏っているのか

ブランドとは何か?10代後半から20代前半、私はDCブランドブームの真っ只中にいた。Y's、コム デ ギャルソン、NICOLE、BIGI...なけなしの給料を全投入して、その服を買っていた。今の価値観から見ても、決して安くはない。その年代にしては、むしろ高価だった。今考えると不思議だ。なぜ、あんなに服を買えたのか?そして、全力で遊んでいた。良い時代だったな〜笑。過去の亡霊..と揶揄されそうだが、その時代については、貴重な史実でもあるので、また改めて再考してみたい。話が脇道に逸れたが、あの頃の服への投資は、確実に私を「目利き」へと導いた。良い素材、美しいパターン、構築的なデザイン。一つ一つ手触りを確かめ、袖を通し、自分の肌で感じたからこそ、目が肥えたのだ。本物を知るということは、結局、本物に触れ続けるしかない。安いもので妥協していたら、今の私の感覚は育たなかったと思う。偽バーキンが暴いたもの一昨日、こんなニュースを見た。エルメスのバーキンの偽物を質屋が見抜けず、被害総額は1億円に及んだという。私が驚いたのは、被害金額の大きさではない。質屋という「目利きのプロ」が、偽物を見抜けなかったという事実そのものだ。しかも、1度だけではなく、数店をハシゴし、その全てが騙されていたという。私自身も買取店を利用したことがある。普通は店頭で「これはご自身で大切になさってください」とか言われる。かつて、義理の父の時計を売ろうとした時、そう言われたことがある。笑。その時に話したスタッフによると、今はスマホで写真を撮り、AIが鑑定することも増えているのだそうだ。つまりこういうことだ。本物の手触りを知らな
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服は、誰のために存在するのか。

2026-27AW トレンド分析、チラ見せします。街を歩いていると、ふと気づくことがある。すれ違う人の服が、どこか見覚えのある顔をしている。ユニクロのリブニット、無印のリネンシャツ、GUのワイドパンツ。悪い服ではない。機能的で、清潔で、価格も適正だ。でも、なぜだろう...その人が「その服を選んだ理由」が、どこにも見えない。これは批判ではない。観察だ。そして、まずこの観察から始めたいと思う。街に大量発生するユニクロ、無印と「認知的倹約家」心理学を学んでいることは、前回お伝えした。社会心理学に「認知的倹約家(Cognitive Miser)」という概念がある。人間の脳は本質的に、思考コストを極限まで節約しようとする、のだという。ファッションにも通じる、大変興味深い話だ。自分の美学(スタイル)を一から考えることは、エネルギーを消費する。だから脳は近道を選ぶ。「これを着ていれば間違いない」という記号....流行や定番、ブランドの権威に逃げ込み、自分で考えることをやめる。私自身もそうだった。バブル全盛期、ファッションの仕事をしていても、私は、ハンで押したように皆と同じカッコをしていた。ワンレンに、ボディコンのスーツ。週末はディスコへ繰り出し、似たような服を着た似たような顔の女たちと、似たような夜を過ごしていた。あの頃、自分が「なぜその服を選んだか」など、考えたことすらなかった。考える必要がなかった、というほうが正確かもしれない。時代が、空気が、周囲の全員が「これでいい」と言っていたから。それに乗っていれば、何も怖くなかった。でも今思えば、あれは「選んだ」のではなく、「逃げ込んだ」のだ。話
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