50代・女性 優柔不断(18) 境界線
しばらくすると女の子がやってきて、リサが雑に置いた竹の棒を丁寧に隅に寄せ、宿の扉を開けてくれた。寒いので、宿に入ってから、「あれ」を見せてもらおう。なんだったけな・・・中に入って気がつくと、リサが外にいる。ザオ族の店には入れないと言い、扉ギリギリのところに立っている。今し方、立ち入り禁止の竹の棒を何食わぬ顔でまたいでいたリサが、宿の入り口の敷居はまたげないと言う。目に見えない境界線があるのだ。境界線・・・1990年代前半。ネパール・ダルバール広場。最初に友達になった30代のインド人、ラヒス。10代の頃、ネパールにやってきてガイドをしながら生活をしている。一緒にご飯を食べようというので、毎晩通っていたチベット料理のレストランに誘ったが、自分は行けないという。ネパールに来たばかりの頃、その店に入ってボコボコに殴られたという。レストランがある通りにも入らないという。毎晩通っていたこともあり、私たちにとっては家庭的な馴染みの店、馴染みの通りになっていたが、目に見えない境界線があった。ある日、広場で、いつも笑顔で挨拶してくれるおじさんが、赤いかわいいいサリーを着た奥さんにめちゃくちゃ怒られているところに遭遇。裏道に入ると料理や洗濯をする女の人を見かけることはあったが、広場にいるのは旅行者か男の人で、サリーを着た女の人を見かけるのは珍しかったと思うそれも仁王立ちで、目の前にはしょんぼりしているおじさん奥さんは問答無用で境界線を超えて広場にやってきた。超えられない時もあれば、超えられる時もある。超えられない人もいれば、超えられる人もいる。
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