教養としてのインド思想③:現代のヒンドゥー教
カビール:神への専心一途な献身的信仰を説くヒンドゥー教のバクティ(信愛)運動とイスラーム教のスーフィズム(神秘主義)を結びつける宗教思想を体系づけました。北インドのベナレスのバラモンの寡婦の子として生まれ、ムスリム織工に育てられてイスラーム教徒となりますが、ヒンドゥー教のバクティ信仰に触れながら、カースト制度の否定、不可触民への差別の非難、偶像崇拝の否定、苦行や儀礼の否定など、「宗教改革」的な活動を行い、民衆の支持を受けました。「宗教の寛容の精神」を実践し、万人に判る言葉で最初に説いた「人間の宗教」の先駆者とされ、その宗教思想はパンジャーブ地方でシク教を創始したナーナクや20世紀インドを代表する2人の宗教思想家ガンディーもタゴールにも影響を与えたとされます。
ナーナク:シク教の教祖にして初代グル(尊師)。宗教改革者カビールとイスラーム神秘主義スーフィズムの影響を受け、一神教信仰、偶像崇拝の否定などを説いています。ナーナクは「ヒンドゥー教徒もイスラーム教徒もいない」人類全てが分かち合える「唯一なる真理」のメッセージを伝えようとし、他の宗教を否定するのではなくそれを超えた真理に従順になり、慈悲の心を持つことが大切であると説き、その普遍的な教えに心酔した弟子達は「シーク」(弟子の意)と呼ばれ、シク教の名前の由来となります。シク教には僧院はなく、日常の職業に従事しながら互いに助け合う共同体生活の中から「平等・友愛・謙遜」という価値観が形成され、社会奉仕を重視してパンジャーブで定着していきましたが、イスラーム教への回帰を強めたムガル帝国のアウラングゼーブ帝の時代に厳しく弾圧されるようにな
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