教養としてのインド思想②:ヒンドゥー教

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ヒンドゥー教:バラモン教を基盤とし、民間信仰を取り入れて成立しました。ブラフマー(創造)、ヴィシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)の三神が最高神。ヴェーダ文献に加えて、インドの二大叙事詩である『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』などを聖典として持ち、『マハーバーラタ』の一部である『バガヴァッド・ギーター』はウパニシャッドの教えの概説を表していることから、「ウパニシャッドのウパニシャッド」と呼ばれ、ガンディーもこれを「スピリチュアル・ディクショナリー」と呼んでいます。

ブラフマー神:ウパニシャッド哲学の最高原理であるブラフマンを神格化したもの。仏教においては釈迦が悟りを開いた際、世界に広まることをためらった釈迦の後押しをした「梵天(ぼんてん)」として登場します。

ヴィシュヌ神:ヴィシュヌ神の10の化身(アヴァターラ)のうち、7番目は『ラーマーヤナ』の主人公ラーマ、8番目は『マハーバーラタ』の主人公クリシュナ、9番目はブッダ(仏陀、釈迦)となっています。これによれば、終末期カリ・ユガに現れる10番目の化身カルキが再臨の仏陀、弥勒菩薩と重なってくるでしょう。釈迦を取り込んだ手法は、モーセやイエスを預言者として尊重しながら、ムハンマドを「最後の預言者」と位置づけたイスラーム教の手法に似ています。

シヴァ神:ヨーガを創始したと言われ、日本では不動明王や大黒天として呼ばれています。

ガンガー崇拝:ガンジス河(ガンガー)を流れる水は「聖なる水」とされ、沐浴すれば全ての罪を清め、死後の遺灰をガンガーに流せば輪廻からの解脱が得られると信じられています。流域にはベナレスをはじめ多くの聖地が存在しています。

聖牛崇拝:『リグ・ヴェーダ』『アタルヴァ・ヴェーダ』『マヌ法典』などに牛を尊重すべきこと、畜殺を禁じることが説かれており、シヴァ神の乗り物でもある牛は聖なる動物だと考えられています。したがって、ヒンドゥー教では牛肉を食べませんが、牛乳は神の恵みだと考えられています。一方、イスラーム教徒は豚肉を食べませんが、牛肉タブーは無いので、インドでは牛肉はイスラーム教徒らが扱い、牛肉輸出量は世界一となっています。

ヨーガ:、古代インド発祥の伝統的な宗教的行法で、心身を鍛錬によって制御し、精神を統一して古代インドの人生究極の目標である輪廻からの「解脱」に至ろうとします。「体位法(アーサナ)」「印相(ムドラー)」「調息法(プラーナーヤーマ)」「瞑想(ディヤーナ)」などの要素を持ち、バラモン教、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教などの修行法でもありました。

ハタ・ヨーガ:身体を鍛錬し、浄化するための準備段階的ヨーガ。健康やフィットネスを目的とするエクササイズとして、20世紀後半に欧米で大衆的な人気を獲得しました。

ラージャ・ヨーガ:、瞑想(ディヤーナ)によって心を涵養し、真実在への理解を深めて最終的に解脱を達成することを目指すヨーガ。

クンダリニー・ヨーガ:ハタ・ヨーガの最終段階に位置する超能力ヨーガ。生命エネルギー中枢であるチャクラの開発に始まり、クンダリニー・エネルギーの覚醒を目指します。仏教における瑜伽行派が積極的に取り入れ、密教に結実しました。

バクティ・ヨーガ:献身的な礼拝、絶対神への帰依、信愛や奉仕を特徴としています。宗教を超えた信仰のあり方として、ヒンドゥー教改革運動を起こした

仏教衰退の原因:インドにおけるヒンドゥー教の確立・復興と共に仏教の衰退が決定的となりますが、それには以下の原因が指摘されています。

(1)民衆からの乖離:ヒンドゥー教の儀礼などが日常生活に定着していく一方で、仏教が高度な学問へと発展し、一般庶民の日常生活から離れた難解な思想となりました。

(2)保護王朝と有力支持層の没落:マウルヤ朝からヴァルダナ朝までの間、仏教は1000年ほど国家宗教の位置を占めましたが、仏教を国教として保護していた王朝が滅亡してから衰退し始め、またローマ帝国の滅亡により交易で富を得ていた商人層が没落していき、有力な信者である商人層もヒンドゥー教に吸収されていき、仏教の衰退を早めました。

(3)ヒンドゥー教の復興:仏教でもヒンドゥー教の要素を取り入れた密教が起こりましたが、ヒンドゥー教でも釈迦をヴィシュヌ第9変化とするなど仏教を取り込んでおり、さらにバクティ運動に代表される熱烈なヒンドゥー信仰が起こり、仏教が排斥されていきました。

(4)イスラーム教の浸透:偶像崇拝を認めないイスラーム教が北部からインドに侵攻し、13世紀~16世紀の間にイスラーム王朝が勃興し、仏教寺院の破壊、仏教徒の迫害を行いました。そして、絶対平等主義のイスラーム教は差別階層原理を持つヒンドゥー教への対抗原理となりました。かつてヒンドゥー教の前身であるバラモン教の差別階層原理に対しては絶対的平等主義の仏教が対抗原理となったわけですが、仏教を克服して復活したバラモン教であるヒンドゥー教への対抗原理とはなり得なかったということです。
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