バラモン教:『ヴェーダ』を聖典とし、自然神を崇拝する多神教。その祭祀はカースト最上位のバラモンが独占しました。
ヴェーダ:「知識」を意味するバラモン教の一群の聖典。『リグ・ヴェーダ』『ヤジャル・ヴェーダ』『サーマ・ヴェーダ』『アタルヴァ・ヴェーダ』が代表的で、それぞれ主要部分「本集」の他に付属書として『プラーフマナ(祭儀書)』『アーラニヤカ(森林書)』『ウパニシャッド(奥義書)』を伴っています。
カースト制度:アーリア人が皮膚の色(ヴァルナ)の違いによって先住民族を差別したことに由来するヴァルナ制度と、ジャーティ(出自)と呼ばれる世襲職業集団が組み合わさった身分階級制度。現在のインド憲法ではカーストによる差別を禁止していますが、現実には社会生活は依然としてカーストの掟に縛られています。
ヴァルナ制度:バラモン(祭司)、クシャトリヤ(王侯・武士)、ヴァイシャ(庶民・農牧商人)、シュードラ(隷属民・被征服民)からなり、「マヌ法典」に詳述され、インド社会に広がりました。また、ヴァルナの枠外に不可触選民が置かれました。
ジャーティ:ヴァルナ制度の下で発展した共通職業集団で、他のジャーティとの婚姻を制限しました。
マヌ法典:「人類の始祖マヌの伝承」とされ、ヴェーダの祭式学(カルパ・スートラ)に附属した法文献ダルマ・スートラ(律法経)を原型としており、バラモン文化の中で生きる人々の生活規範となりました。バラモンの特権的身分を強調しており、バラモン中心の四種姓(カースト制度)の維持に貢献しました。
四住期:バラモン教徒(シュードラを除く上位3ヴァルナ)が生涯のうちに経るべき段階として、以下の4段階が設定されています。
(1)学生期: 師の下でヴェーダを学ぶ時期。
(2)家住期:家庭にあって子をもうけ、一家の祭祀を主宰する時期。
(3)林住期:森林に隠棲して修行する時期。
(4)遊行期:一定の住所をもたず乞食遊行する時期。
ウパニシャッド哲学(ヴェーダーンタ哲学):バラモン教の祭祀万能主義からその背景にある哲学的意義に関心が高まり、成立した哲学。輪廻の苦しみから解脱するために修行し、宇宙の本質であるブラフマン(梵)と真の自己であるアートマン(我)が一体化する梵我一如を直観しようとします。後にインド最大の哲学者シャンカラが梵我一如思想を深め、ブラフマンとアートマンは本来同一であるとする不二一元論を確立します。
輪廻転生:生死を繰り返すこと。ウパニシャッド哲学、仏教思想、ギリシアのピタゴラス思想などに見られます。
因果応報:人間の行為(業、カルマ)によって運命や幸・不幸が決まるという思想。ウパニシャッド哲学に起源があり、原始仏教や中国・日本の仏教にも影響を与えました。
梵我一如:宇宙の究極的原理である絶対者「梵(ブラフマン)」と個人の本質「我(アートマン)」が同一であること。
ヴァルダマーナ:自由思想家の1人、ジャイナ教の開祖。マハーヴィーラ(偉大な英雄の意)、ジナ(勝者の意)。バラモン教やカースト制度を否定し、アヒンサー(不殺生)を説きました。インドの伝統的思想でもあるアヒンサーを現代に復活させたのが非暴力・不服従運動であるサティアグラハ(真理把握)を展開したガンディーです。
五戒:不殺生戒・不偸盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・無所有戒(仏教は不飲酒戒)。
六師外道:ゴータマ・シッダッタ(釈迦)と同時代の6人の自由思想家(サマナ)達を、仏教の側から見て異端だと見なし、まとめて指すための呼称。プーラナ・カッサパ(無道徳論、道徳否定論)、パクダ・カッチャーヤナ(要素集合説、七要素説、積集説、唯物論的思考の先駆)、アジタ・ケーサカンバリン(唯物論、感覚論、快楽主義)、マッカリ・ゴーサーラ(運命決定論、宿命論)、サンジャヤ・ベーラッティプッタ(懐疑論、不可知論)、マハーヴィーラ(ジャイナ教の開祖、相対主義、苦行主義、要素実在説)。
六十二見:仏教において、外道の見解(邪見)を62種類にまとめたもの。