眠れなくなったのはいつからだろう。
涙が出なくなったのはいつからだろう。
感情が動かない。
疲れているのに休めない。
光が差すはずの朝が、
ただの色のない背景になった頃から、
あなたは自分の心を疑い始めた。
「私がおかしいのかな」
「私が弱いのかな」
「これくらいで苦しいなんて甘えてるのかな」
「もっと辛い人だっているのに」
誰にも言えないまま、
呼吸がしづらくなる中で、
今日も“いつもの私”を演じ続ける。
泣ける人はまだセーフティにいる
。涙が出るということは、
どこかで「受け止めてくれる世界」
を信じている状態。
でも、泣けない人は違う。
何度も裏切られ、
何度も我慢し、
何度も「大丈夫」を押し付けられ、
涙を出すことができなくなるほど深く沈んでいった人。
泣けなくなるというのは、
心が凍ってしまった証拠。
凍らせなければ生きてこられなかったから。
涙を止めているのはあなたの意志ではない。
それは生存本能。
ずっとあなたを守ってきた防御反応。
周囲は言う。
「まだ大丈夫だよ」
「がんばろう」
「前向きに考えて」
「気にしすぎ」
「強くなりなよ」
それらは刃になる。
励ましという皮をかぶった暴力は、
あなたの沈黙をさらに深く押し込む。
その言葉を受け取る余力がもう残っていないから。
励ましで回復できる人もいる。
でもあなたは、限界の壁に肩まで浸かっている。
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私は、泣けなくなった人の話を聴いてきた。
20年以上、占いと心理学を通して、
「生き延びるために心を凍らせてきた人」
と向き合ってきた。
多くの人がこう言う。
「何を話していいかわからない」
「整理できていない」
「うまく説明できない」
言葉にならない感情がある人ほど、
回復へ動き出す。
人は理解された瞬間に、
初めて生きるための呼吸ができる。
理解は慰めではない。
希望はポジティブではない。
あなたの痛みを、
あなたの速度で、
今ここに存在していると証明すること。
その瞬間に、心は氷を溶かしはじめる。
呼吸が深まり、
ほんの少しだけ未来を考えられるようになる。
それが回復の最初の一歩。
泣けないあなたへ。
あなたは弱くない。
壊れていない。
怠けてもいない。
ただ、生きてきた。
誰かのために。
期待に応えるために。
自分を犠牲にしてまで。
その代償が今、
あなたの沈黙として存在している。
それは恥ではない。
勲章。
今日も息をしている。
それで十分。