【続】いじめはいつから起こるのか

記事
コラム
—「裏切られた」という感情が押す“見えないスイッチ”—

前回の記事「いじめはいつから起こるのか?」の続きです。
今日は、私自身が長く見逃してきた“もうひとつのスイッチ”について話したいと思います。突然いじめが始まる――そのきっかけの中でも、特に侮れないのが 「裏切られた」 という感情です。

アドラー心理学を柱に長年活動してきた私でも、このつながりに氣付くまでには時間がかかりました。言葉にしづらく、本人ですら説明しにくい領域だからです。だからこそ、読んでくださるあなたに丁寧に伝えたいと思います。


■日常にゴロゴロ転がる「きっかけ」

いじめのきっかけは、学校のあちこちに転がっています。
些細に見える出来事が、子どもたちの心の中では強烈な印象になり、やがてスイッチを押してしまうことがあります。

・先生が「友達だけ」を褒めた

・友達だけ成績がよかった

・友達だけ選手に選ばれた

・自分だけ叱られた

そしてさらにやっかいなのは、誤解や見え方のズレです。
たとえば私の経験では、男子に時間をかけて指導していた場面で、女子からは「先生が楽しそうにしていた」と受け取られてしまったことがありました。本人の意図と状況は単純でも、受け取り方が違えば、それが火種になります。

「なんであいつだけ」「なんで私だけ」が転がす歯車

今回のテーマの核心はここです。
一度でも「なんであいつだけ」「なんで私だけ」という思考が動き出すと、それは他者への攻撃につながりやすくなります。

特に「なんであいつだけ」は、「ずるい」「悔しい」という感情を自分の中で正当化しやすい。最初は愚痴のつもりでも、周りに話して同調を得るうちに悪口になり、やがて行動に移り、「これは私の正義だ」と信じ込んでしまうのです。

そして、ターゲット化した相手が苦しんでいる顔を見せると、加害側には不思議な高揚感が生まれます。
「当然の報いだ」と感じ、ますます行為をエスカレートさせてしまう――こうして止めどなく進んでしまうのです。
それが、さっきまでの親友、であってもです。



■見えない努力、見えない心情

多くの場合、攻撃する側はターゲットの努力や背景を理解できていません。
裏で人一倍努力しているかもしれないし、誰にも言わずに頑張ってきたかもしれない。だけど「なんであいつだけ」というフィルターを通すと、そうした事実は見えなくなってしまいます。

また、日頃からストレスをためている子は、そのストレス発散も兼ねて攻撃に踏み切ることがあり、エスカレートすると残虐なことさえ平気でしてしまう。そこには「悪意だけ」では説明できない、複雑な心の動きがあるのです。



■「褒める」も注意が必要な理由

意外に思われるかもしれませんが、不用意な「褒める」行為もリスクになります。
褒め方を誤ると、集団の中で「特定の子だけが得をしている」という見え方を強めてしまうことがあるからです。褒める時は、現象(何が起こったか)をよく観て、集団の力学を踏まえて言葉を選ぶ必要があります。兄弟がいる家庭でも、この視点はとても役立ちます。

たとえば、

・「えらいね」ではなく「~を最後までやり抜いたね」と具体的に褒める

・公の場で褒める回数や対象に意図を持つ(目的が偏らないように)

・比較の表現を避け、個々を尊重しながら、や努力や過程を評価する

こうした配慮が、小さな誤解を防ぎます。



■「叱る」ことが難しくなっている教育現場

保護者の方から「先生はなぜ注意しないの?」という声を聞くことがあります。ですが、現場の先生たちは多くの場合、その場で叱ることが後々の大きな問題につながることを予測しています。学級全体の関係性、二次被害の可能性、自分の力量で収拾できるかどうか――そんな“予感”が働いて、結果として「叱れない」判断になることが増えているのです。

叱るべきかどうかはまた別の回でじっくり書きますが、今は「叱ることが簡単ではない現状」があることを覚えておいてください。



■本当に大切なこと — きっかけを軽く見ないでほしい

いじめが起きた時、大人も子供もすぐに「原因探し」「犯人捜し」を始めることが多いと感じます。善悪の学習としては意味がありますが、心の深い問題は本能に近い反応と結びついているため、本人が自分で止められないことが多く、しかも正当化や常習化している例が珍しくありません。

ですから、原因と結果を整理することは重要ですが、きっかけが見えたら、その奥にある心の部分に時間をかけて向き合うことがもっと大切だと私は思います。表面的な出来事だけで片づけず、じっくりと深いところを探る姿勢が、被害の拡大を防ぐ鍵になります。


最後に(あなたへ)

いじめは、誰の心の中にも起こり得る「きっかけと反応、思考の誤作動」から始まることが多いです。だからこそ、私たち大人は子どもたちの小さなつぶやき、些細な表情の変化、集団の中で生まれる小さなズレを見逃さないようにしたいです。きっかけを見つけたら、その裏にある「裏切られた」という感情を丁寧に聞き、必要があれば時間をかけて向き合ってください。

もしもあなたが、「まさか、自分がいじめをしてしまっている」、「やめられない」「助けて」と思うような。そんな状況に陥ったとしても、「絶対大丈夫、そこから抜け出せる」と、私は言いたいです。声を掛け合い、みんなで取り組めることこそが大事なんだと、私は思っています。

「命のバトン」という言葉がありますが、「大丈夫」のバトンをお互いがつなぎ合えるような、そんな世の中にしていきたいです。 —あなたと共に。

ありがとうございます。







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