第8話 「抑えてた想いが、もう止まらない」

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小説
夜。

スマホの画面を見つめたまま、
何度もため息をつく。

メッセージ画面。

澪とのトーク。

最後のやり取りは、昨日。

『ほんと、分かってるくせに』

その一言が、
頭から離れなかった。

(分かってるよ)

分かってる。

でも。

認めたら終わると思ってた。

好きって言葉にした瞬間、
全部壊れる気がして。

だから逃げた。

距離を取った。

でも。

離れた方が苦しい。

(意味わかんねぇ…)

ベッドに倒れ込む。

天井を見上げながら、
何度も澪の顔が浮かぶ。

笑った顔。

怒った顔。

少し寂しそうだった顔。

全部。

(好きだろ、こんなの)

もう、誤魔化せない。

そのとき。

スマホが震えた。

心臓が跳ねる。

画面を見る。

『今、起きてる?』

澪。

(やば)

一気に眠気が消える。

『起きてる』

すぐ返す。

数秒後。

『少しだけ電話していい?』

呼吸が止まりそうになる。

(電話…?)

今まで、したことない。

でも。

断れるわけがなかった。

『いいよ』

送った瞬間、着信。

早い。

心臓がうるさい。

震える指で通話ボタンを押す。

「…もしもし」

声。

近い。

電話越しなのに、
妙に近く感じる。

「…起きてたんだ」

少しだけ小さい声。

「まあ」

平静を装う。

でも無理だ。

沈黙。

その沈黙すら、苦しい。

「…今日さ」

澪が先に口を開く。

「なんで追いかけてきたの?」

息が止まる。

放課後のこと。

あれは反射だった。

離れたくなくて。

「…分かんない」

嘘だった。

本当は分かってる。

でも。

まだ怖い。

「…また逃げる」

小さな声。

胸が痛くなる。

「逃げてねぇよ」

反射的に返す。

「逃げてるじゃん」

静かな声。

でも、刺さる。

「…好きなくせに」

その瞬間。

頭が真っ白になった。

時間が止まる。

呼吸ができない。

(言った)

澪が。

言った。

好き。

その言葉を。

「…違うなら」

澪の声が少し震える。

「ちゃんと言って」

逃げ場、完全になくなる。

沈黙。

もう誤魔化せない。

これ以上逃げたら、
本当に終わる。

「……違わない」

声が掠れる。

でも、止まらなかった。

「…好きだよ」

言った瞬間。

全部、溢れた。

押さえてたもの。

我慢してたもの。

全部。

「…っ、はぁ…」

電話越しに、小さく息を呑む音。

澪が黙る。

(やばい)

言った。

終わった。

もう戻れない。

でも。

「…やっと言った」

澪が、少し笑った。

その声が、
どうしようもなく愛しかった。

「…遅い」

泣きそうな声。

胸が締め付けられる。

「ごめん」

自然に出た。

「…ほんとだよ」

そう言いながら、
澪は少し笑っていた。

その瞬間。

やっと分かった。

逃げても。

隠しても。

結局。

この気持ちは、止められない。

好きって、
こういうことなんだ。

続く。
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