自分を後回しにしてきたと気づいたときに✦Lunaの森でお茶をすると…Vol.13
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占い
「Lunaの森でお茶をすると…」
そこは、見えない存在たちと静かに向き合いながら、
自分の心の奥に触れていく場所。
雨は、ようやく上がっていた。
空には、久しぶりの青が広がり、やわらかな光が森を包み込んでいる。
コデマリの花が、弓なりにしなやかに伸び、
小さな白い花をいくつも連ねて咲いていた。
その可憐な花の間を、私はゆっくりと歩いていく。
やっと晴れたはずなのに―
心は、どこか曇ったままだった。
カフェLunaの扉を開けると、外から差し込む光が、少しまぶしく感じる。
その明るさに、少しだけ目を細めながら、席へと向かった。
「……私、何が好きなんだろう」
ぽつりと、言葉がこぼれる。
好きなもの。
好きなこと。
そう聞かれても、すぐには答えが出てこない。
周りに合わせて、誰かの期待に応えて、
気づけば、自分の感覚が分からなくなっていた。
「……どうすれば、分かるのかな」
小さく、問いを落とす。
そのとき―
カフェの空気が、ぴりりと張りつめた。
振り向くと、そこにいた。
漆黒の黒髪に、真っ赤なエクステンション。
くっきりとした眉と、強いアイライン。
その瞳は、まっすぐにこちらを射抜いていた。
「不機嫌な赤い妖精」。
その存在は、どこか苛立ちを含んでいるようで、
でも、目を逸らすことができなかった。
『……で?』
短い一言。
「……え?」
思わず、聞き返す。
『いつまで、それ続けるの?』
その言葉は、鋭く突き刺さる。
「それって……」
『人の顔色見て、
自分が何か分からないまま生きること』
一切の迷いがない声。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
「……だって、仕方ないじゃない」
思わず、反発する。
「そうしないと、うまくやっていけなかったし…」
『だから?』
間髪入れない問い。
逃げ場を与えない。
「……それが普通だと思ってた」
小さく、そう言う。
『普通?』
その言葉に、わずかな苛立ちが混ざる。
『それ、本当に“あなた”の普通?』
言葉が、止まる。
ずっと、周りに合わせてきた。
その方が楽だったから。
その方が、波風が立たなかったから。
でも―
「……私、疲れてる」
やっと、本音がこぼれる。
『知ってる』
即答だった。
『判断されることに、うんざりしてるんでしょ』
その一言に、胸の奥が震える。
『周りの反応に、振り回されるのも』
何も言えなくなる。
全部、当たっていた。
「……じゃあ、どうしたらいいの」
やっと絞り出した言葉。
『やめればいいじゃない』
あまりにも、あっさりとした答え。
「そんな簡単にできないよ」
『簡単よ』
その声は、はっきりしていた。
『“本当の自分でいる”って、決めるだけ』
その言葉が、まっすぐに届く。
『好きなものが分からないのはね』
少しだけ、声のトーンが変わる。
『自分で選んでこなかったからよ』
その指摘に、息が止まる。
「……」
何も言えない。
でも、否定もできなかった。
『でもね』
ふっと、その空気が少しだけ緩む。
『今からでも遅くない』
その言葉は、思っていたよりやさしかった。
『小さなことでいいの』
『これは好き。これは違う。
それを、自分で決めていくの』
静かに、でも確かに。
「……そんなことでいいの?」
『それしかないの』
その答えは、迷いがなかった。
しばらく、沈黙が流れる。
でもその沈黙は、どこか落ち着いていた。
「……少し、やってみる」
小さく、そう言う。
『最初からうまくやろうとしないで』
少しだけ、柔らかい声。
『それが、過去のあなたが苦しくなった理由だから』
その言葉に、胸の奥がゆっくりとほどける。
過去の自分を責める必要はない。
ただ―
ここから、少しずつ変えていけばいい。
そう思えたとき、心の奥に、静かな余白が生まれた。
気がつくと、赤い妖精の姿は、光の中に溶けていた。
カフェの窓から差し込む光が、
やわらかくテーブルを照らしていた。
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あなたが自分を取り戻したくなったときに、
そっと寄り添うリーディングをしています🍀
Maya Toyoka