楽しかったデートの終わり、駅の改札前や別れ道で、相手が「またね」と小さく手を振って歩き出す。
その瞬間から、あなたの心の中の、ちょっぴり切ない時間が始まります。
あなたは、歩き出した相手の背中を、ただじっと見つめ続ける。
もしかしたら、あと一回くらいは振り返って、もう一度笑顔を見せてくれるんじゃないか。
そんなかすかな期待を胸に抱きながら、相手の姿が人混みに紛れ、角を曲がって完全に見えなくなるまで、その背中をずっと直視し続けてしまうんですよね。
けれど、相手は一度も振り返ることなく、まっすぐ前を向いたまま歩いていってしまう。
そのドライな後ろ姿を見送るたびに、胸の奥がツンと痛くなって、言葉にできない寂しさが波のように押し寄せてきます。
「やっぱり、振り返ってくれないんだな」
誰もいなくなった空間に取り残されたような気持ちになりながら、「これが二人の温度差なんだ」と、心の中で静かに答え合わせをしてしまう。
私のほうが相手を好きな気持ちが大きいから、こんなに名残惜しいんだ。
相手にとって、私と過ごした時間は、そこまで特別なものではなかったのかな。
そんなふうに、相手の背中から無理やり「愛の重さ」を測り取ろうとしては、一人で勝手に傷つき、落ち込んでしまっていませんか?
心理カウンセラーとして、僕はその胸がギュッとなるような切なさを、そのままそっと抱きしめてあげたい気持ちでいっぱいです。
繊細な気質を持っている方は、一つの出来事から、とても多くの感情やメッセージを受け取る豊かな感性を持っています。
別れ際のほんの数十秒の出来事であっても、そこに自分の愛情や、相手とのつながりのすべてを投影してしまうんですよね。
でも、心理カウンセラーとして、僕はここで一つ、大切なことをお伝えしたいです。
相手が振り返らないのは、あなたへの愛情が薄いからでも、二人の間に寂しい温度差があるからでも、決してありませんよ。
世の中には、バイバイした瞬間に、頭の切り替えがピタッと次の行動へと向かうタイプの人がたくさんいます。
「よし、今日も楽しかったな。気をつけて帰ろう」「次の電車は何分かな」と、ただ前を向いて歩くことに集中しているだけなんです。
あなたを大切に思っていないからではなく、ただ単に「別れたあとに振り返る」という習慣や発想が、その人の世界にないだけなんですよね。
それに対して、あなたは別れたあとも、まだデートの余韻の中にいて、相手とのつながりを1秒でも長く肌で感じていたいと思っている。
それは、あなたがそれだけ目の前の人を純粋に、そして深く深く愛することができる、とっても愛情深い女性だからに他なりません。
だからこそ、振り返らない背中を見て「これが二人の温度差だ」なんて、悲しい答え合わせをするのはもう終わりにしませんか?
あなたが一人で答え合わせをして、自分をちっぽけに感じてしまうのは、本当にもったいないことです。
振り返らない後ろ姿は、相手があなたとの時間を心から満喫して、安心して自分の家路についている証拠。
そう捉えてみると、あの真っ直ぐな背中が、少しだけ違った見え方をしてきませんか?
次に大好きな人と「またね」と手を振って別れるときは、あなたも相手の背中をずっと追いかけるのを、少しだけお休みしてみてください。
相手が歩き出したら、あなたも「あぁ、今日も楽しかったな」と、自分の大好きな音楽をイヤホンで流しながら、一歩前に足を踏み出してみる。
あなたが振り返ってくれない背中に寂しさを覚える必要なんて、どこにもないのですから。
自分の温かいお部屋に帰ったら、温かい飲み物でも飲んで、今日あった楽しかったことだけを思い出して、ゆっくり眠ってくださいね。