目的地に向かって、ただひたすらに最短距離を突っ走る。
今の世の中、それが「正解」だとされているような気がします。
仕事も、自分磨きも、そして恋愛も。
無駄を省いて、効率よく、一番いい答えにたどり着くことが素晴らしいことだと。
でも、心理カウンセラーとしてたくさんの方の心に触れてきた僕は、最近こう思うんです。
「あぁ、実はあの時の回り道や、迷い道こそが、人生というコースのメインディッシュだったんだな」って。
予定通りにいかなかったこと。
信じていた人に裏切られて、立ち止まってしまったこと。
自分でも呆れるくらい、遠回りをしてしまった恋愛。
その渦中にいるときは、本当に苦しいですよね。
「なんで自分だけ、こんなに上手くいかないんだろう」
「あの子はあんなにスルスルと進んでいるのに」
そんなふうに自分を責めて、焦ってしまう気持ち、僕もよくわかります。
でもね、ちょっと想像してみてください。
もし、人生がただ「目的地」に行くだけのものだとしたら。
それは、映画のあらすじだけを読んで、本編を見ずに終わるようなものです。
映画を観て心が震えるのは、主人公が迷い、葛藤し、思わぬハプニングに右往左往する「道中」があるからですよね。
人生も、それと同じなんじゃないかな、と僕は思うんです。
効率よく手に入れた幸せよりも、泥んこになって、迷いながらようやく見つけた小さな光のほうが、ずっとずっと温かくて、一生消えない宝物になります。
寄り道をしている最中に見つけた、道端の小さな花。
予定外に立ち寄ったカフェで出会った、心温まる言葉。
上手くいかなくて泣き崩れた夜に、そっと寄り添ってくれた人の優しさ。
こういう「予定外」の出来事たちが、僕たちの心を深く、豊かに耕してくれます。
だから、もし今、あなたが「自分は周りより遅れている」と感じていても、どうか安心してください。
あなたは今、人生というフルコースの中で、一番美味しくて、一番深みのある「メインディッシュ」を味わっている最中なんです。
ストレートに進んでいたら決して見ることのできなかった景色を、あなたは今、その目で見ている。
その経験は、いつか必ず、誰かを優しく照らす光になります。
最短距離を走らなくていい。
不器用な自分を、隠さなくていい。
迷いながら、休みながら、ときには引き返しながら。
その一歩一歩が、あなたという物語を最高に輝かせるエッセンスになります。
「あんなこともあったよね」って、いつか笑って話せる日が必ず来ますから。
僕は、そんなあなたの「寄り道」を、世界で一番価値のある時間だと思っています。
ゆっくりで、大丈夫。
あなたの歩幅で、この豊かなメインディッシュを、ゆっくりと味わっていきましょうね。