新しい自分へ…2

記事
ライフスタイル
離婚が成立し、養育費や慰謝料が振り込まれる前に、義姉から手紙がきたこと、そしてそのためにまた費用が掛かること…。
なにより長男の気持ちを優先したい気持ち。

長男はその年に小学校入学を控えているはずだった。

入学式も見れないか…。

気持ちの整理をするのはとても時間のかかることだったが仕方ない。

施設の人に何回も注意されていたが、娘や息子に会いに行っていた。

そして、その間バイトをし、休みの日には携帯で出会った人と遊んだりしていたが、i子さんのおかげでそれも少なくなってきた。

そんな中、電話だけで何日も続いている人がいた。
その人は「長距離運転手」をしているらしい。

その人には「会うことはないだろう」と思っていたから何でも話せた。
地元は同じ県だけど県外に荷物を運んでいるためほぼ地元にはいないという。

その人は2歳年下だったが、とても話しやすかった。
流行りに乗るような人ではないらしく、落ち着いた感じがした。

その当時ではなかった「携帯電話の話し放題」がある携帯会社を使っていたということで、何時間も話すことがあった。

お互い、仕事のことやプライベートのこと。
友達関係や、趣味のこと。
相手の「眠気覚まし」に話したり。

私を道具ともお金とも思わない男性に出会った。
出会った、といっても電話友達、のような感覚だった。

ただの「暇つぶし」なのはお互い様。

一生会うことなんてないんだからいいか!

そんな日々を続けていたある日、私のバイトが終わると着信が入っていた。

「誰だろ」
見ると、彼だった。

自転車でアパートに戻ると電話をかけなおした。
そうすると
「今日、これからそっち方面に仕事があるんだけど一緒にご飯でもどうかなって」
という電話だった。

私は「会うことはない」
と思っていたし、お互い「会おう」とかそういう話も出ていなかったからビックリしたが、お互いの事情なども話しているから抵抗はなかった。

「うん!いいよ!どこに何時?」と聞くと
「お前、車ないだろ、そっち方面行くよ」といってくれた。

時間まで、そわそわしていた。
「好き」だとかいう感情はなかったが、「人として」見てくれる人と会うのは久しぶりだったから何を着ていけばいいか、なんて思ったりした。
普段オシャレや流行りなどに全く興味もないし、そんなことに使える余裕すらなかった。

興味がない、というより小さい頃から「お前は何着ても似合わない」などと言われてきた言葉が呪いのように付きまとっていたんだと思う。

無難な…目立たない…無地の…暗い色の服がほとんどだった。

タンスを見ても「同じような服」ばかり。

その時初めて「ほんと、私ってなにもない」と思った。

それでも新しい服を買うような余裕もなく、タンスにあったものを着ていった。

待ち合わせの場所に着いたときにはもう彼は着いていた。

「はじめまして…」と言いかけたが彼の方は「いや~何食べる~?」
とあっけらかんとしていた。

そして「あぁ!そうだ!有名なラーメン屋さんがある!そこ行こう!うまいし!」
といって私を自分の車に乗せた。

彼の車はワンボックスタイプだったから
「奥さんとかいるの?」と改めて聞いた。前にも聞いたがいないといっていたが、この車はファミリー用だよな、と思い聞いてみた

「いるはずないだろ~、最近買ったばっかり!俺もいい年だし結婚して子供なんかできたら車買えないからな!」
なんて冗談交じりに言っていた。

良かった…「不倫だけは避けたい」
そう思っていたからだ。

自分が浮気や暴力から逃げてきたのも彼は知っている。

携帯でただ遊ぶような人とは違った存在だったからそれだけは避けたいと思っていた。

色々話しながら着いたラーメン屋さんはとても混んでいたが並んだ。
サラリーマンがたくさんいた。

電話で話過ぎたのか会ってから特に話すこともなくて(笑)

やっと席に着き、ラーメンを注文して待った。
彼は私なんかいないかのように「漫画」を読み始めた。

私はどうしていいのかわからず周りをキョロキョロしていた。

ラーメンが来て「いただきます」といってふと見ると、もう食べ始めていた(笑)

なんだ、この人は!?

そう思いながらラーメンを食べた。
お会計のときは私には一銭も出させなかった。

車に戻り「あ~お腹いっぱい!」
と…。

私といてもつまんないからか…。
そっか、そういうことか。

私に問題があるんだな、どんな人といてもきっと「不快」にさせる存在なんだ。

そう思っていたら「行くところないな~う~ん…お前んちいっていい?」
と言われた。

は?

「いいけど何もないよ?」
と遠回しに断ったつもりが
「いいよ、少し休んだら帰るわ、送って行こうと思ってたし」
といった。

「うん、ありがとう」
と言ってアパートの場所を教えた。

そして、アパートに着き部屋に入って「せまっ!」とビックリされてしまった。
いくら秋田でも駅裏の結構繁華街だ。それは家賃だけを考えてもどう見ても安いのだが、アパート暮らしはしたことがないという。

それはそうなるよな、という感じだった、

彼はタバコを吸い、本当にゴロンと横になってしまった。

長時間運転しているから疲れているだろう、と私も得に何もしなかった。

一時間くらい寝ただろうか、サッと起きて
「んじゃ、またくるわ~」
といって帰ってしまった。

私は「またね~」といいつつも
もう、二度と会うことはなさそうだな。

と思った。
これで電話も来なくなるんだろうな。

というか、私は何を期待していたのだろうか。

私を好きになったり、人間として見てくれる異性などいない。

我に返った。

さぁ!またバイトがんばろ!

そう思い返してその日は過ぎた。




サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す