【あなたは好きでも私は嫌い】

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 人は、危機に直面したり、痛みや葛藤を
 感じると、自分を守るための防衛反応が
 働く。これを「防衛機制」というのだが、
 13の「防衛機制」の中から10回目の
 今日は、「投影」を取り上げて話したい。
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 この「投影」とは、「己の中にある側面
 (感情や資産や欲望)を他者が所持して
 いると思い込む無意識的な心の働き」で、
 自分が嫌っている相手のことを「彼奴は
 自分を嫌っているに違いない」と思うと
 いうのはそういうことだ。何事によらず、
 自分がそうだから相手もそうだという訳
 ではないが、そう思いがちなのが人の性。
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 私は、何であっても、人から本人が好む
 ものを「これはいい」と勧められるのを
 あまり好まない。食べ物や本、映画でも
 何でもだ。好むと好まざるとに関わらず
 一度は試してみるのだが、大抵、私には
 合っていない。善意で勧めてくれるのは
 ありがたいが、自分の好みは独特なので、
 却って善意が無になることが申し訳ない。
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 父は口の奢った男で、今は辞めさせたが、
 昔は毎年正月の三日に実家に集まる度に、
 黒門市場のカニを食べさせたものだった。
 私は、殻から身を外すことが面倒なのと、
 大して上手いとは思わないので、カニは
 好きではない。それを父は、自分が好き
 なものはみんな好きで、美味しいと思う
 ものはみんなが美味しいと思うものだと
 考えているらしく、毎年毎年カニだった。
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 自分の中にある側面(感情や資産や欲望)
 を他者が持っていると思い込む「投影」。
 この状態に陥るのは自分を基準に他者の
 思考を推し量ろうとする気持ちが自分の
 中にあるからかも知れないとも言えるが、
 穿った見方をすれば、善意でいいと思う
 ものを勧めているつもり、御馳走をして
 いるつもりで、相手の意思を尊重できて
 いないということになる。ことに、本や
 映画等を勧めるのは兎も角、父のように
 家に人を呼んで御馳走する時に、相手の
 好みに合わせようという気はないのかと
 言いたくもなる。これが「投影」の罪か。
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 もっとも、父は、「好きなものを奢って
 やるから考えておけ」、と週末に飲みに
 誘っておきながら、いざ食べたいものを
 当日会ってから言うと「変わったものが
 食べたいんだな」と自分の好きな寿司を
 食べに連れて行くようなお方なんである。
 週末までの期待は何だったんでしょうね.
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
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