【会いたかったのは私】

記事
学び
 人は、危機に直面したり、痛みや葛藤を
 感じると、自分を守るための防衛反応が
 働く。これを「防衛機制」というのだが、
 13の「防衛機制」の中から第6回目の
 今日は、「合理化」の話をしたいと思う。
────────────────────
 「合理化」とは、「自分の取った行為や
 態度の本当の動機を自覚せず、論理的な
 一貫性があり、且つ、道徳的にも受容を
 されるような説明をつけ、自分の望んだ
 言動を正当化しようとする無意識的な心
 の働き」。例えば、交通事故を起こして
 相手を負傷させ、「急に飛び出してきた」
 と言い訳をするのがそれ。急いでいたり、
 スピード狂だったり、真の事故の原因は
 別にあるのに、そう捉えようとはせずに、
 詭弁を弄して自己の正当化を図る考えだ。
────────────────────
 私は、過去に何度か、心理カウンセラー
 として人として、クライエントや友人の
 急な傾聴の呼び出しに応じたことがある。
 「悩んでいる相手の話を聴く」、という
 明確な目的があって行っていることだが、
 自分が相手に会いに行った本当の動機は、
 もしかすると、「傾聴」をだしに「外に
 出たい」「一緒に食事したい」だったり
 するかも知れない。カール・ロジャーズ
 ですら、その晩年、クライエントと関係
 を持ったくらいだから、「デート気分に
 浸りたい」などという邪な気持ちがある
 危険性もゼロではない。そうであっても、
 「悩んでいる相手の話を聴くために行く」
 という心理カウンセラーとして人として
 道徳的に受容される説明を自分自身にも、
 相手にも、世間にもしているのであれば、
 それは身勝手な「合理化」に他ならない。
 「急に呼び出してごめんね」と言われて、
 「構いませんよ」と返す気持ちの裏には、
 「自分があなたに会いたかった」という
 欲求が秘められているのは珍しくはない。
────────────────────
 心理カウンセラーも人の子だ。人並みの
 幸せや快楽に対する強い欲求や、それが
 叶わないことへの強い不満が私にもある。
 それが分かっているから、逆転移(私的
 感情をクライエントに向けている状態)、
 多重関係(友人のカウンセリングをする、
 クライエントと恋愛をする等、専門家の
 役割と別の役割を同時に或いは継続的に
 持ち続けること)に陥らないように気を
 つけることもできる。要は「合理化」を
 せずとも正当化される言動をすることだ。
────────────────────
 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
合理化.jpg

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す