ECサイトは「商品陳列棚」ではない。──構造で読み解く、売れるD2Cサイトの設計思想

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ビジネス・マーケティング
はじめに

「ECサイトを改善したい」という相談を受けるとき、多くの担当者が最初に口にするのは「デザインをきれいにしたい」「商品ページを整えたい」という言葉だ。

気持ちはわかる。でも、そこには大きな思い込みがある。

ECサイト=商品を陳列する棚

この思い込みが、CVRが上がらない本当の原因になっていることが多い。

今回はBULK HOMMEとメンズナイトケアD2CブランドA社という対照的な2つのブランドを構造視点で読み解きながら、「売れるECサイト」の設計思想を分解する。

ECサイトには「構造パターン」がある

まず前提として理解してほしいのは、ECサイトには複数の構造パターンが存在するという事実だ。

① カタログ型 商品一覧・検索・絞り込みが中心。「何を買うか決まっている人」向け。Amazonがわかりやすい例。

② ストーリー型 世界観・ブランド体験を優先する構造。「このブランドが好き」という感情で買う人向け。

③ 悩み解決型 「こんな悩みありませんか?」という問いかけから入る構造。「悩みは明確だが商品は決まっていない人」向け。

④ 診断型 肌診断・パーソナライズから商品を提案する構造。「自分に何が合うかわからない人」向け。

⑤ 教育型 コンテンツ・読みものから信頼を構築し、購買へ導く構造。LTV重視のブランドに多い。

重要なのは、「どのパターンが正解か」ではなく
「誰がどんな状態で訪問してくるか」によって、最適な構造が変わるという点だ。

BULK HOMMEの構造を読む

BULK HOMMEは日本発のメンズスキンケアブランドとして、D2C業界の中でも特に参考になる構造設計を持っている。

悩み解決型+教育型の組み合わせ

BULK HOMMEのサイトで注目すべきは、**「商品から入らない」**という設計思想だ。

トップページの構造を読むと、こうなっている。

FV(ブランドメッセージ)
  ↓ 
「男性の肌に何が必要か」という教育コンテンツ 
 ↓ 
悩み別の導線(テカリ・乾燥・ニキビ)
  ↓
 商品提案 
 ↓ 
定期購入への誘導

ここで重要なのは、商品が3番目以降に登場するという点だ。

なぜこの順番なのか。

男性スキンケア市場のユーザーは「スキンケアに詳しくない」人が多い。何を買えばいいかわからない状態でサイトに来る。そのユーザーに対していきなり商品を並べても、選べない。選べない人は離脱する。

だからBULK HOMMEは「まず教育して、次に提案する」構造を取っている。

LTV設計が組み込まれている

もう一つ見逃せないのが、定期購入への誘導が構造として組み込まれている点だ。

単品購入のCTAと定期購入のCTAを並列に置き、定期購入のメリット(割引率・送料無料・解約自由)を明示することで、初回からLTVを意識した購買行動を促している。

これは「商品棚」的な発想では生まれない設計だ。


メンズナイトケアD2CブランドA社の構造を読む

次に、メンズナイトケアに特化したD2CブランドA社を見てみよう。「夜の時間を、あなたの味方に。」というコンセプトが印象的なブランドだ。

ストーリー型の強みと弱点

A社のサイトはビジュアルの完成度が高く、ブランドの世界観をしっかり伝えている。これはストーリー型の強みだ。

しかし構造視点で読むと、いくつかの課題が見えてくる。

課題①:FVのCTAが購買につながっていない

FVに配置されているCTAがブランド説明ページへのリンクになっている。世界観に引き込まれたユーザーが次に取るべきアクションが「購入」ではなく「さらに読む」になってしまっている。

CVR視点では、FVで購買意欲が高まった瞬間に購入導線が見えていないのは機会損失だ。

課題②:定期購入への誘導が構造として薄い

商品ページに「定期購入について」というリンクはあるが、定期購入のメリットを訴求する専用セクションがない。

D2Cブランドにとって定期購入はLTVの根幹だ。それが構造として見えにくいのは、利益設計上の課題になる。

課題③:悩み訴求後の自分ごと化が弱い

悩み訴求はある。ただその後の「だからA社が解決策です」という橋渡しの設計が薄く、ユーザーが「自分ごと」として捉えにくい構造になっている。


2ブランドの比較から見えること

視点BULK HOMMEA社構造パターン悩み解決型+教育型ストーリー型FVのCTA購買直結ブランド説明定期購入設計構造として組み込み済み薄い悩み導線明確あるが弱い世界観シンプル・機能訴求高級感・情緒訴求

どちらが優れているという話ではない。

BULK HOMMEはCVRとLTVを重視した構造設計。A社はブランド体験を重視した構造設計。

ただし、D2Cブランドとして利益を出し続けるためには、世界観だけでなく「購買に至る構造」が必要だ。

Convert設計の3原則

この2ブランドの比較から、D2CサイトのConvert設計における3つの原則が見えてくる。

原則①:訪問者の「状態」に合わせた入口を設計する

「何を買うか決まっている人」と「悩みは明確だが商品は決まっていない人」では、最適な導線が違う。広告経由で来るユーザーの温度感を把握した上で、その状態に合わせた入口を設計する。

原則②:購買意欲が高まった瞬間にCTAを置く

ユーザーの購買意欲は一定ではない。悩みを認識した瞬間、解決策を理解した瞬間、信頼が生まれた瞬間──それぞれのタイミングでCTAが見えていることが重要だ。

原則③:定期購入への導線を「構造」として組み込む

定期購入は後からオプションで付け足すものではない。サイトの構造設計の段階から、定期購入への誘導を組み込む必要がある。


まとめ

ECサイトは商品陳列棚ではない。

訪問者の購買心理を理解し、その心理の流れに沿って情報を設計する場所だ。

BULK HOMMEが「教育→提案→購買→継続」という構造を持っているように、売れているD2Cブランドは必ず「構造の意図」を持っている。

あなたのブランドのECサイトは、どの構造パターンで設計されているか。そしてその構造は、訪問者の購買心理と一致しているか。

まずそこから問い直してみてほしい。


NextSTUDIOについて

NextSTUDIOは、D2CブランドのLP構造設計・CVR改善を専門とする構造設計ストラテジストです。

単なるデザイン添削ではなく、LP・マーケティングファネル・ユーザー心理の視点から、あなたのブランド固有の「離脱原因」と「改善優先順位」を読み解きます。

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