「私、夜型なんです」
睡眠相談をしていると、この言葉を本当によく聞きます。ただ、話を丁寧に聞いていくと、同じ「夜型」という言葉でも、中身はかなり違うことに気づきます。
夜型という言葉は便利ですが、少し雑に使われすぎているようにも感じています。
「夜型」の中には、いろいろな状態が混ざっている
たとえば、こんな方たちです。
・夜型ではあるけれど、朝9時なら何とか起きられる
・気づいたら昼夜が完全に逆転してしまっている
・夜型だと思っていたけれど、実は慢性的な睡眠不足なだけ
・休日に寝溜めしてしまい、せっかく整えたリズムが毎回崩れてしまう
同じ「夜型」と言っても、困っているポイントも、必要な対応もまったく違います。
それなのに、
「夜型だから仕方ない」「夜型を治さなきゃいけない」
と一括りにしてしまうと、本当は整理できたはずの問題まで、見えなくなってしまうことがあります。
夜型=体質、とは限らない(でも否定もしません)
もちろん、夜型の傾向そのものは存在します。特に若年者では、生理的に夜型に傾きやすい時期があるのも事実です。
夜に頭が冴えやすい朝がつらい
それ自体は、決しておかしなことではありません。
ただ、相談の中で感じるのは、夜型であること自体よりも、「どの程度の夜型なのか気づいていない人がとても多い」ということです。
夜型に見えているだけ、というケースも多い
よくあるのが、こんな流れです。
平日は無理やり早起きして、睡眠不足が溜まる→
休日前はストレス発散で夜更かしする→
休日に寝溜めして、起きる時間が大きくズレる→
日曜の夜に眠れなくなる→
「やっぱり自分は夜型なんだ」と思い込む
この場合、本当に体質的な夜型でしょうか。それとも、睡眠不足と生活リズムのズレが積み重なった結果でしょうか。
ここを整理しないまま「夜型」という言葉だけが残ってしまうと、対処の方向が分からなくなってしまいます。
夜型を「治そう」として、余計につらくなる人たち
もうひとつ、相談でとても多いのが、夜型を治そうとして、何度も挫折してきた人です。
・早寝早起きを目指して頑張る
・朝日を浴びようと、無理に散歩やランニングを始める
・寝る前のスマホを完全に断とうとする
どれも「正しい」と言われる方法です。でも、うまくいかない。
すると、
「自分は意志が弱いんだ」「結局、続けられない自分が悪い」
そんなふうに、話が自分責めの方向へ進んでしまいます。
でも、うまくいかなかったのは、あなたの意志が弱いからではありません。今の状態に合っていない方法だっただけかもしれません。
大事なのは「夜型かどうか」より「どこで崩れているか」
夜型を一括りにすると、見えなくなるものがあります。
それは、崩れ方の違いです。
✅起きる時間は、どれくらい安定しているか
✅平日と休日で、どれくらいズレているか
✅睡眠時間は足りているか
✅直そうとして、かえって負荷をかけていないか
夜型かどうかを決めるよりも、今どこでつまずいているのかを整理する方が、ずっと現実的なことが多いです。
夜型を直す前に、立ち止まって考えてほしいこと
もし今、
・夜型だからダメなんだと思っている
・何度も生活改善に失敗している
・もう何を信じたらいいか分からない
そんな状態なら、一度立ち止まって考えてみてください。
「これは、自分で整えられる段階だろうか」「それとも、一人で抱えなくていい段階だろうか」
夜型を治すかどうかよりも、この見極めの方がずっと大切な場合があります。
夜型は「直すもの」ではなく「扱うもの」
夜型は、欠点でも失敗でもありません。ただ、人によって扱い方が違うだけです。
少し整理すれば自分で整えられる人もいれば、誰かと一緒に整理した方が楽に進める人もいます。
どちらが正しい、という話ではありません。
「私は夜型だからこうするべき」ではなく、「今の私は、どこが一番しんどいんだろう」
そこが分かるだけで、次の一歩はかなり変わります。
最後に
夜型で悩んでいるあなたが、もうこれ以上、自分を責めなくて済むように。
まずは、夜型という言葉で一括りにするのをやめて、今の自分の状態を整理するところから始めてみませんか。
それだけでも、睡眠との向き合い方は少し変わってくるはずです。