第22回:直近の成長株/グロース株/ハイテク株の株価下落に思うこと

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Taskaru
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第22回:直近の成長株/グロース株/ハイテク株の株価下落に思うこと

この度はお読み頂きまして誠に有難うございます。Taskaruです。本ブログではコーポレート・ファイナンスに関わる話題を幅広く取り上げていきたいと考えています。

年明けからマザーズ指標や成長株を中心に株式市場にとっては引き続き難しい展開になっています。前回のフォローアップとして直近の株式市場の相場環境について考えたいと思います。

さて、直近の成長株/グロース株/ハイテク株の下落ですが、時事通信の記事でも取り上げられているように、「米連邦準備制度理事会(FRB)高官がインフレ抑制を重視する発言をしたことを受け、金融引き締め加速への警戒感から米ハイテク株が下落」ということが指摘されている通り、アメリカにおけるインフレの進捗が金融引き締めにつながっていることから、株価の調整にも関連していることが、うかがえると思います。
東京株、大幅続落 米ハイテク株安を嫌気(1/14配信) 
14日午前の東京株式市場は、前日の米国株式市場でハイテク株が下落したことを嫌気し、幅広い銘柄が売られた。外国為替市場での円高進行も株価の上値を重くする一因となり、日経平均株価の前日比下げ幅は一時600円近くまで広がった。午前の終値は543円43銭安の2万7945円70銭と大幅続落。2万8000円割れは昨年12月20日以来約1カ月ぶり。
米連邦準備制度理事会(FRB)高官がインフレ抑制を重視する発言をしたことを受け、金融引き締め加速への警戒感から米ハイテク株が下落。この流れを引き継ぎ、東京市場でも半導体関連や工場自動化関連の銘柄が軒並み値を下げた。市場関係者は「米ハイテク株の下落を受け、成長株からの資金流出が続いている」(銀行系証券)と話していた。
業績と比べて株価に割安感のある大型株も、週末を前に利益確定の売りが膨らんだ。
つまり、今後の相場の転換点を考えるには、「アメリカのインフレ率の動向」について考える必要があると私は理解しています。
→ FRBは高いインフレ率(物価上昇率)を抑制するために金融引き締めを加速するわけですから、逆に言えば、物価上昇/インフレ率の上昇スピードが落ち着いてくれば、FRBがやっている「金融引き締めの加速」のスピードも落ちてくる可能性があるのではないかと考えています。もちろん、金融引き締めをしないとは言いませんが、やはりそのスピードの強弱というのは重要な論点かと思います。つまり、スピードが落ち着いてくれば、もしかしたら、相場の転換点になり、成長株/グロース株/ハイテク株に対する見直しにつながるのではないか、という連想もできるのではないかと思います。

ところで、余談ですが、コーポレート・ファイナンスのスキルを付けることは、数字に慣れることに加えて、「常に先を見る」「報道されている数字とは別に、自分で”元の数字”に立ち戻って考察する」という感性を養うものだと考えております。TVに出ている著名なエコノミストたちと比べると、私は素人考察にはなるかもしれませんが、個別の企業に対する分析も、マクロ環境の分析も、似たようなところがあると思っています。こうしたことを念頭に考察を進めていきたいと思います。

さて、まず、アメリカで起こっているインフレ率の上昇について詳細を見ていきたいと思います。

インフレ率を測る指標としては、消費者物価指数というものがありますが、ロイター社によると「米労働省が12日に発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年同月比7.0%上昇と、11月の6.8%上昇から加速し、1982年6月以来39年6カ月ぶりの高い伸びを記録した。連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制に向け3月にも利上げに着手するとの観測が一段と高まる可能性がある」ということであり、アメリカにおいては物価の上昇スピードがかなり高い水準にあるということが見てとれます。

しかしながら、その内訳をみると、ガソリンの価格だったり(日本でもガソリン価格が上がっていますが)、中古車の価格がけん引していることが確認できます。
US_Inflation.png

背景としては、コロナからの経済回復に伴ってガソリンへの需要が高まっていることや、世界的な半導体不足から自動車生産のボトルネックが生じていることから、中古車等に対する需要が高まっていることが挙げられるものと私は理解しています。

このパーセントの数字だけを見ると、「すごく高いな」「今後もインフレ率の加速が進みそうだな」と思われる読者もいると思いますが、”先を考える”ためには、そもそも、このパーセントというのは、前年同期比ですので、「去年2020年ってどうだったんだろうか」「そもそも、このパーセントの元になっている実数はどうなっているんだろうか」という観点から追加の考察をすると、また違った風景が見えてきます。

続くパートでは、こうした観点から追加の分析を行い、では、果たして、どのタイミングからインフレ率の上昇のスピードが落ち着き、相場の転換点になり得るのだろうか、ということを考えていきたいと思います。

最初に、結論を申し上げると、私は、
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