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いつもと同じ。 でも、どこか落ち着かない。

朝、目が覚める。凪はしばらく天井を見ていた。昨夜、なかなか眠れなかった。何度も考えてしまったから。陽菜のことを。スマホを見る。六時二十四分。いつもと同じ時間。なのに、胸の中だけが少し違う。学校へ行く準備をする。朝ごはんを食べる。制服を着る。家を出る。いつもと同じ。でも、どこか落ち着かない。駅までの道。信号待ち。ホーム。電車。気づけば、同じことばかり考えている。これから、陽菜に会える。その考えが浮かぶたび、胸が少し温かくなる。学校に着く。昇降口。廊下。教室の前まで来る。まだ半分くらいしか人がいない。凪は教室の扉を開けた。そして、無意識に探してしまう。陽菜を。いなかった。陽菜のいない席。その瞬間、少しだけ、がっかりした。凪は立ち止まる。あれ?今、私は何を思った?陽菜はまだ来ていない。それだけのこと。なのに、どうして残念なんだろう。自分の席に座る。窓の外を見る。昨日の雨が嘘みたいに晴れていた。青空。夏に近づく匂い。でも、凪の視線は何度も教室の入口へ向かう。誰かが入ってくるたび、反応してしまう。違う。また違う。そして、ガラッ。教室の扉が開く。陽菜だった。肩に鞄をかけている。少し眠そうな顔。いつもの陽菜。その姿を見た瞬間。凪は気づいてしまう。安心した。心の底から。ほっとした。それは、昨日の夜からずっと探していた感覚だった。陽菜がこちらに気づく。目が合う。そして、小さく笑った。「おはよう」ただそれだけ。たったそれだけなのに。凪の胸は、昨日より少しだけ大きく揺れた。そして初めて、凪は考える。もし。もし陽菜が今日休みだったら。私は、どんなに寂しかったんだろうか。その問いに、まだ答えは出ない。で
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たったそれだけなのに、凪の胸はまだ落ち着かない。

「おはよう」陽菜はそう言って、自分の席に座った。たったそれだけ。たったそれだけなのに、凪の胸はまだ落ち着かない。窓から朝の光が差し込む。教室には少しずつ人が増えていく。友達同士の話し声。机を動かす音。いつもの朝。でも凪だけは、どこか上の空だった。陽菜が来た。それだけで安心した。その事実が、思った以上に大きかった。「凪」突然呼ばれる。振り向く。陽菜だった。「昨日、ちゃんと眠れた?」凪の心臓が跳ねる。「え?」「なんか考え込んでたじゃん」陽菜は何でもない顔で言う。覚えていたんだ。昨日の帰り道。相合傘。"まだ悠真のこと好きなの?"その時の自分の思いが・・・。凪は少し視線を落とした。「まあ……普通」嘘だった。全然普通じゃなかった。でも、それを言えるほど素直にもなれない。陽菜は少し笑う。「そっか」それ以上は聞かない。その距離感が、また陽菜らしかった。チャイムが鳴る。先生が入ってくる。授業が始まる。でも凪は、黒板より気になるものがあった。数列前の席。陽菜の後ろ姿。風が吹く。窓際から入った風が、陽菜の髪を少し揺らした。その瞬間。凪はふと思う。陽菜は、どうしてあんなことを聞いたんだろう。"まだ悠真のこと好きなの?"ただの世間話?それとも、何か理由があった?考え始めると止まらない。そして、その時だった。休み時間。陽菜のところへ、クラスの女子が集まる。「陽菜ってさ」「好きな人とかいないの?」その言葉に、凪の手が止まった。心臓が、一度だけ大きく鳴る。聞くつもりなんてなかった。なのに、耳が勝手にその先を待っていた。
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なのに、昨日までとは違う重さ

朝の光が、カーテンの隙間から差し込んだ。凪は目を開けて、一瞬だけ昨夜のことが夢だった気がして、すぐにスマートフォンを探す。画面をつけると、一番上に残っているメッセージ。「また明日」胸が、ふわっと軽くなる。——夢じゃなかった。布団から起き上がり、制服に着替えながら、鏡に映る自分を見る。いつもと同じ顔。なのに、目だけが少し違う。期待している目。学校へ向かう道は、昨日より少しだけ明るく見えた。教室に入ると、ざわざわとした朝の空気。凪は自分の席へ向かいながら、無意識に探してしまう。——悠真。いた。窓側の席で、いつも通りノートを広げている。その瞬間、悠真が顔を上げた。目が合う。ほんの一秒。なのに、昨日までとは違う重さ。逸らしたのは、ほぼ同時だった。心臓の音がうるさい。席に座っても、視線が気になって仕方ない。すると、机の上に影が落ちた。「……おはよう」悠真の声。凪はゆっくり顔を上げる。近い。昨日より、近い。「お、おはよう」短い挨拶。それだけなのに、空気が甘い。「昨日さ……」言いかけて、悠真が止まる。周りにはクラスメイト。少し気まずそうに、それでも笑う。「放課後、ちょっと話せる?」凪の胸が跳ねる。昨日の続き。今度は、逃げ場のない続き。「……うん」その返事を聞いて、悠真は安心したように小さく息を吐いた。そして自分の席へ戻っていく。凪はしばらく動けなかった。——なにを話すの?——また、近づくの?でも不安より、楽しみの方が大きかった。恋はもう、静かなだけじゃない。ちゃんと動き出していた。
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