絞り込み条件を変更する
検索条件を絞り込む

すべてのカテゴリ

1 件中 1 - 1 件表示
カバー画像

“ケチベラ”と“膨らまし粉”──母の台所と言葉の記憶

「母の言葉遣い」と言うと、「庶民的」とか「丁寧」とか、どこか控えめで温かいイメージを抱くかもしれません。でも、私の母の場合はちょっと違います。なんとも“母らしい”、時にクスッと笑ってしまうような、ユニークな表現がいくつもあるのです。今日はそんな「母語録」から、いくつかをご紹介します。◆ 膨らまし粉(ふくらましこ)お菓子作りに使う「重曹」や「ベーキングパウダー」のこと。子どもの頃、母が「膨らまし粉入れた?」と言うたびに、私はそれを完全な造語だと思っていました。けれど調べてみると、「膨らし粉」「膨らまし粉」は、実際に日本語として存在する言葉でした。かつて「ベーキングパウダー」という言葉が一般的でなかった時代、家庭では「膨張剤」全般をこう呼んでいたようです。さらに面白いのは、「膨らまし」という言い回し。これは母が生まれ育った北海道の言語感覚によるものかもしれません。北海道弁には、「言わさる(=言ってしまう)」のような受け身的・結果的な言い回しがよくあります。だから「膨らむ」ではなく、「膨らまさる(=ふくらんでしまう)」→「膨らまし粉」となったのでは?と想像しています。◆ ケチベラこれは「ゴムベラ(スパチュラ)」のこと。母が「それ、ケチベラで取って」と言うたびに、私はてっきり「ケチくさく、残さずきれいに取るからだ」と思っていました。なんとも恥ずかしい表現で、外では使えないなと感じていたくらいです。でも、なんと「ケチベラ」はれっきとした名前だったのです!しかも「ケチ」は「ケチくさい」ではなく、ヨットの帆の形=“ketch(ケッチ)”に由来するというのです。ゴムベラの独特な曲線が、ケッチの
0
1 件中 1 - 1