【プロ作家は絶対書かない】「意識が崩壊する」なんて言葉は存在しません。
小説家志望の方の原稿を読んでいると、ある言葉が出てきた瞬間に、私の中でその原稿への期待値がぐっと下がります。
その言葉とは——「意識が崩壊する」。
ショックな出来事があった。辛い思いをした。そのときの主人公の状態を表現しようとして、「意識が崩壊する」と書いてしまう。賞レースの下読みの現場でも、コンサルでお預かりする原稿でも、こういった表現は驚くほど頻繁に出てきます。
なぜこの一言で期待値が下がるのか。
それは、「意識が崩壊する」と書く作家は、ほぼ確実に他のページでも同じような表現をしているからです。「思い出す」を「記憶の奇跡を辿る」と書き、「聞こえる」を「鼓膜を突き刺す」と書く。原稿を読み進めれば、得てして、そういう表現がいくつも出てきます。
少し考えてみてください。
みなさんはこれまでの人生で、「意識が崩壊した」経験がありますか?
おそらく、ないはずです。
「意識が崩壊する」というのは、認知科学や脳科学の領域の話であって、日常生活やフィクションの中で人間が経験する感情の話ではありません。失恋した、裏切られた、大切なものを失った——そういう場面で人間の意識は崩壊しません。傷つき、落ち込み、呆然とする。それだけです。
シンプルに「傷ついた」「落ち込んだ」と書けばいい。
それが凡庸に感じられるなら、「唇を噛んだ」と書いてください。「足元から崩れ落ちるような気分だった」と書いてください。そちらの方がよほど読者に伝わります。
今回の記事を読めば、少しずつ“伝わらない表現”は書かないようになっていきます。そしてその代わりに、本当に実践すべき、あなたにしかできない表現の正体に気づくことがで
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