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【プロ作家は絶対書かない】「意識が崩壊する」なんて言葉は存在しません。

小説家志望の方の原稿を読んでいると、ある言葉が出てきた瞬間に、私の中でその原稿への期待値がぐっと下がります。 その言葉とは——「意識が崩壊する」。 ショックな出来事があった。辛い思いをした。そのときの主人公の状態を表現しようとして、「意識が崩壊する」と書いてしまう。賞レースの下読みの現場でも、コンサルでお預かりする原稿でも、こういった表現は驚くほど頻繁に出てきます。 なぜこの一言で期待値が下がるのか。 それは、「意識が崩壊する」と書く作家は、ほぼ確実に他のページでも同じような表現をしているからです。「思い出す」を「記憶の奇跡を辿る」と書き、「聞こえる」を「鼓膜を突き刺す」と書く。原稿を読み進めれば、得てして、そういう表現がいくつも出てきます。 少し考えてみてください。 みなさんはこれまでの人生で、「意識が崩壊した」経験がありますか? おそらく、ないはずです。 「意識が崩壊する」というのは、認知科学や脳科学の領域の話であって、日常生活やフィクションの中で人間が経験する感情の話ではありません。失恋した、裏切られた、大切なものを失った——そういう場面で人間の意識は崩壊しません。傷つき、落ち込み、呆然とする。それだけです。 シンプルに「傷ついた」「落ち込んだ」と書けばいい。 それが凡庸に感じられるなら、「唇を噛んだ」と書いてください。「足元から崩れ落ちるような気分だった」と書いてください。そちらの方がよほど読者に伝わります。 今回の記事を読めば、少しずつ“伝わらない表現”は書かないようになっていきます。そしてその代わりに、本当に実践すべき、あなたにしかできない表現の正体に気づくことがで
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【その冒頭、大丈夫?】新人賞の応募小説に多い、ありがちな冒頭3選

新人賞の応募原稿を読んでいると、冒頭の数行で「ああ、またこのパターンか」と感じる瞬間があります。下読みというのは、膨大な数の原稿を短時間で読む仕事です。当然、入り口となる冒頭に対する感度は研ぎ澄まされていきます。そしてある時期から、応募原稿の冒頭には「型」があることに気づきました。型にはまった冒頭は、それだけで原稿の印象を下げます。その先の内容が良くても、「この人は他の作品をあまり読んでいないのかもしれない」という印象を与えてしまう。それは非常にもったいないです。今日は、下読みとして頻繁に目にする「ありきたりな冒頭」のパターンを3つお伝えします。思い当たる節がある方は、ぜひ冒頭を見直すきっかけにしてください。1.朝の起床シーンおそらく最も多いパターンです。カーテンの隙間から朝の光が差し込んでいる。目覚まし時計が鳴る。主人公がゆっくりと目を開ける——。なぜこのパターンが多いのか、書き手の気持ちはよくわかります。「朝の起床」は文字通り「始まり」を象徴するシーンだからです。物語の冒頭に「始まり」のイメージを置きたくなるのは、ごく自然な発想です。ただ、下読みの立場からいうと、この冒頭は「この作品は他の無数の作品と同じ入口から始まっている」というシグナルに他なりません。そもそも、物語の「始まり」は必ずしも朝である必要はありません。夜中の3時でも、昼下がりでも、時間軸すら曖昧な場所でも、物語は始められます。「朝の起床」という冒頭が選ばれているとき、それはほとんどの場合、その作品ならではの必然性からではなく、「書き始めやすいから」という書き手の都合から選ばれています。読者にとって、冒頭の数行
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【新人賞システムの闇】業界を変えていきたい

デビューして十数年が経ちます。その間、あらゆる現実を見てきました。アイドル・芸人・YouTuberといったインフルエンサーが、フォロワー数を根拠に次々と小説を刊行していく。人気コンテンツに付随する企画として、その企画に関わる人物が「抱き合わせ」の形で作家デビューを果たしていく。編集者の使命が「本を売ること」である以上、これは業界の論理として理解できます。彼らは真っ当に仕事をしているだけです。問題は「構造」にあります。新人賞システムによってデビューできるのは、何千人もの応募者の中からほんの一人か二人。残りの方はせいぜい「〇次選考通過」というリストに名前が載るだけで終わる。何年も何年も小説を書き続け、賞レースに挑み続けている純粋な書き手が、いちばん割を食う仕組みになっている。ーーかつて作家を目指して何年も苦汁を啜った私だからこそ、作家志望の方のためにも、この現状を変えたい。本当に良い小説を書ける人が、正当に評価される業界であってほしい。編集者だって、本当はそう思っているはずなのです。私自身も、デビュー直後にその壁を身をもって感じた経験があります。ある縁から、尊敬していた編集者が手掛けていた企画(人気インフルエンサーが作家デビュー)の橋渡しをしたことがありました。その流れで勇気を振り絞って「実は私も作家デビューをしたばかりで、よかったら企画書だけでも読んでもらえませんか」とメールをすると、返ってきたのは「忙しいので一回だけに限って読みます」という一文でした。そのとき確信しました。出版社が動く理由は作品の質だけではない、と。あのときの悔しさは、ずっと忘れることができません。かつての文壇
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