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教養としての現代思想⑥:平和思想

シュヴァイツァー:神学者、哲学者、オルガニスト。ノーベル平和賞受賞。アフリカでキリスト教布教活動と医療活動を行い、「密林の聖者」「オガンガ」(命を与え、奪う者。麻酔を使ったからです)と呼ばれました。 生命への畏敬:シュヴァイツァーは全ての生命には生きようとする意志が見出されるとし、全ての生命を尊重する「生命への畏敬」を倫理の根本原理とし、あらゆる生物の命を尊ぶことが人間の責任だと説きました。 ガンディー:インド独立の父。「マハートマー」(偉大なる魂)という称号で呼ばれますが、これはインドの詩聖タゴールから贈られたとされるガンディーの尊称です。自らの政治運動においてサティヤーグラハ(真理把持)の理念を掲げ、これはアヒンサー(不殺生)とブラフマチャリヤー(自己浄化)を実践することで実現するとしました。こうした平和主義的手法は植民地解放運動や人権運動に大きな影響を与え、マーティン=ルーサー=キング=ジュニア、ダライ=ラマ14世等がガンディーに倣ったと表明しています。 マーティン=ルーサー=キング=ジュニア:アメリカのバプテスト派の牧師で、ガンジーの非暴力的抵抗の教えに共感し、アフリカ系アメリカ人公民権運動の穏健派の指導者として非暴力差別抵抗活動を展開しました。「I Have a Dream」(私には夢がある)の一節で知られる有名な演説を行い、ノーベル平和賞を受賞しています。 「私には夢があるのです。いつの日かジョージアの赤土の丘の上で、昔の奴隷の息子たちと、昔の奴隷主の息子たちが、兄弟として一緒にテーブルにつくことができるような日のくる夢が。 私には夢があるのです。いつの日か不正と抑
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教養としての現代思想⑤:現代的リベラリズムと共同体主義

自由主義(リベラリズム):社会は自由で独立した個人の集合体であり、個人は自分にとって望ましい生き方を好きなように取捨選択できる存在(負荷なき自我)として捉えられています。 現代的リベラリズム:功利主義の「最大多数の最大幸福」は、集団の利益のために個人の利益を犠牲にする危険性があるため、分配の公正(「公正としての正義」)を図る福祉国家を目指しています。ロールズが代表です。 ロールズ:アメリカの政治哲学者、『正義論』。功利主義を批判し、社会契約説を元に基本的な財(自由・機会・所得などの社会的条件)の分配をめぐる平等の原理として正義を捉え直し、現代思想に大きな影響を与えました。具体的には、各人が自分の能力や境遇について知らない(「無知のベール」)という「自然状態」を想定し、その上で自由競争によって生まれる不平等を克服する思考実験を通じて、不平等を是正する公正としての「正義の原理」を考察しました。 公正としての正義:正義にかなう財の分配のルール。 (1)第一原理:平等な自由の原理。各人は基本的な自由に対する平等な権利を持つ。 (2)第二原理:実際に生じる不平等な条件。社会的・経済的不平等は次の2条件を満たすものでなければならないとします。 (2-1)公正な機会均等の原理:全員に平等な機会を与え、公正に競走した結果の不平等であること。 (2-2)格差の原理:社会で最も不遇な人々の境遇を改善するための不平等であること。 アマーティア=セン:インド生まれのイギリスの経済学者。貧困や飢餓の解決には経済成長を目指すだけでなく、人間の潜在能力を開発することが必要であると考えました。市場経済が経済発
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教養としての現代思想④:構造主義・ポスト構造主義

ソシュール:スイスの言語学者。個人の主観的意識を超えた構造として言語を捉え、自由で主体的に見える人間の言語活動や思考も、そうした構造によって可能になっているとして、構造主義の成立に大きな影響を与えました。 ラング:個人の主観的意識を超えた社会的・文化的制度としての言語体系。 パロール:自由で主体的に見える、個々の具体的な会話。 構造:システムの中の要素が変わっても、そこに変化しないである、普遍的なもの。 構造主義:事象や行為の意味を、主観的な意識を超えた社会的・文化的システムとしての構造に注目することによって解明しようとする思考法。具体的な事象は、社会的・文化的システムの中で他の要素と関係づけられることによって意味を持つとします。 レヴィ=ストロース:文化人類学者。ブラジルの先住民の結婚制度・親族や神話などを調査し、個人の主観的意識を超えたシステムが存在していることを見出し、人間に普遍的な構造(システム)を明らかにしようとしました。また、西洋における科学技術文明の絶対化を批判し、未開の「野生の思考」と西洋の「科学的思考」の間に優劣はないという文化相対主義を主張して、20世紀の思想に大きな影響を与えました。 フーコー:フランスの構造主義の哲学者、『監獄の誕生』。ニーチェからの影響を受け、人間の思考を無意識のうちに支配する知や社会の構造を明らかにすることで、人間の主体的な自由を賛美するヒューマニズムを批判し、さらに従来の権力概念に変更を迫ることで、生のあり方を問い直しました。権力が日常的な人間関係の中で働いて、本来の自由が損なわれる危険性を指摘し、権力を強化する監獄などの装置を作り
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教養としての現代思想③:分析哲学・科学哲学

分析哲学:哲学的な問題を何よりも言語と関わっているものと捉え、言語批判(言語の働きとその限界の分析)によって解決しようとする思考法。 ウィトゲンシュタイン:言語哲学の基礎を作ったオーストリアの哲学者、『論理哲学論考』。理性的思考を言語の観点から考察し直し、言語活動は一定の規則に従う「言語ゲーム」であり、共同体で習得されるとしました。 「語り得ぬものについては、沈黙せねばならない。」:自然科学においては、命題が真か偽かを確定することができますが、神や道徳などの問題に関する哲学や宗教の言語は現実の事象との対応関係を持っておらず、語り得ぬものを語ろうとすることになってしまうとして、従来の哲学・形而上学を批判しました。そのため、これまでの哲学的問題の多くは語り得ぬものを語ろうとしたために生じてきた、としました。 言語ゲーム:後期ウィトゲンシュタインは日常生活における言語の使用や規則の習得について省察を深めていき、日常会話や自然科学の議論は日常生活を基盤として一定のルールに従って行われる言語ゲームであると考え、そのルールは日常生活の中でしか習得できないとしました。 トーマス=クーン:アメリカの科学史家。観察など研究活動の蓄積から理論が徐々に進歩していくという科学像に代えて、パラダイム(理論の枠組み)の中で初めて研究活動は可能になり、その枠組みは時に革命的に変化するという科学像を示しました。 パラダイム(理論の枠組み):クーンは科学の発展の歴史をパラダイムの変換(パラダイム・シフト)によって説明しました。
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教養としての現代思想②:社会分析

フランクフルト学派:近代化の推進役である理性が道具的な性格に堕し、手段の効率性に囚われて、目的それ自体は顧みなくなることで、かえって野蛮な時代が生じる点に着目し、理性のあるべき姿を探る批判理論を展開しました。 ホルクハイマーとアドルノ:ドイツのフランクフルト学派第一世代、『啓蒙の弁証法』。人間を自由にするはずの啓蒙的理性が人を支配する道具的理性になってしまっていると指摘しました。 道具的理性:実現すべき目的を批判的に検討する能力であった理性は、近代社会の発達に伴って、任意の目的に手段が形式的に適合するかどうかを判断するだけの道具的理性と化し、個人を抑圧する画一的な社会を形成してきたとされます。 フロム:フランクフルト学派第一世代、アメリカに亡命、『自由からの逃走』。大衆の心理を分析し、束縛から脱し、自由を獲得したはずの人間が自由のもたらす孤独や不安に悩み、むしろ自由から逃走するようになると説きました。そして、この自由のもたらす不安から逃避しようとした大衆の心理がナチズムを支えたと分析しました。 ハーバーマス:フランクフルト学派第二世代を代表するドイツの社会学者。理性を信頼し、新しい理性のあり方を検討しました。 対話的理性:社会の構成員が対等な立場で話し合いながら、共通理解の下で合意を作り出す理性的な能力のこと。 生活世界の植民地化:目的の効率的な達成を目指す近代の政治的及び経済的なシステムが、コミュニケーションが行われる場(生活世界)を侵略し、人々の日常的な行動や人間関係が侵食して植民地のように支配していること。 ハンナ=アーレント:大衆社会が全体主義の温床になったと捉えました
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教養としての現代思想➀:深層心理学

フロイト:精神分析学の創始者。無意識の存在を発見し、無意識の層に潜んでいる根源的な欲望を性の衝動であるとしました。 ユング:人間の行動や意識には無意識の領域が深く関与すると考え、無意識を個人的無意識と集合的無意識とに分類し、人類共通の集合的無意識と自我との関連を神話や伝説の分析を通して指摘し、集合的無意識を構成している元型に注目しました。 集合的無意識:個人の体験を超えて、人類が太古から繰り返してきた体験が積み重なってできてきた普遍的無意識。 ソンディ:フロイトの個人的無意識とユングの集合的無意識の間に家族的無意識の存在を認め、家系の遺伝に基づく無意識的衝動を分析しました。仏教の因縁思想を思わせるソンディ心理学は衝動心理学と呼ばれ、その手法は運命分析と呼ばれます。それによると、個人の運命は次の5つの重要な選択から明らかになるとされ、ここに先祖の影響(運命の反復)が見られるというのです。これはソンディ自身の体験がきっかけになっていますが、ドストエフスキーやバルザックなどの伝記研究から、検証されています。 (1)愛:なぜ多数いる人々の中から相手を選んだのか(恋愛・結婚)。 (2)友情:なぜその人と友人になったのか。 (3)職業:なぜその職業を選んだのか。 (4)疾病:なぜその病気になったのか。 (5)死:死を選べるなら、どのような死を選ぶのか。 アドラー:精神疾患を抱えた人を研究対象にしたユング、フロイトに対し、健常者を観察対象にして、個人心理学を創始しました。その基本理論は「自己決定性」「目的論」「全体論」「認知論」「対人関係論」の5つです。 (1)自己決定性:どんな状況であれ、
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