自由主義(リベラリズム):社会は自由で独立した個人の集合体であり、個人は自分にとって望ましい生き方を好きなように取捨選択できる存在(負荷なき自我)として捉えられています。
現代的リベラリズム:功利主義の「最大多数の最大幸福」は、集団の利益のために個人の利益を犠牲にする危険性があるため、分配の公正(「公正としての正義」)を図る福祉国家を目指しています。ロールズが代表です。
ロールズ:アメリカの政治哲学者、『正義論』。功利主義を批判し、社会契約説を元に基本的な財(自由・機会・所得などの社会的条件)の分配をめぐる平等の原理として正義を捉え直し、現代思想に大きな影響を与えました。具体的には、各人が自分の能力や境遇について知らない(「無知のベール」)という「自然状態」を想定し、その上で自由競争によって生まれる不平等を克服する思考実験を通じて、不平等を是正する公正としての「正義の原理」を考察しました。
公正としての正義:正義にかなう財の分配のルール。
(1)第一原理:平等な自由の原理。各人は基本的な自由に対する平等な権利を持つ。
(2)第二原理:実際に生じる不平等な条件。社会的・経済的不平等は次の2条件を満たすものでなければならないとします。
(2-1)公正な機会均等の原理:全員に平等な機会を与え、公正に競走した結果の不平等であること。
(2-2)格差の原理:社会で最も不遇な人々の境遇を改善するための不平等であること。
アマーティア=セン:インド生まれのイギリスの経済学者。貧困や飢餓の解決には経済成長を目指すだけでなく、人間の潜在能力を開発することが必要であると考えました。市場経済が経済発展のために不可欠であることを認めながらも、公正な発展を推進するためには民主主義の確立や教育の拡充が必要であるとしました。
機能:「教育を受けられる」「健康である」といった、人間が価値を見出す状態や行動のこと。
潜在能力:様々な機能を達成できる実質的な自由のこと。
自由尊重主義(リバタリアニズム):現代的リベラリズムへの反省と警戒から、功利主義を現代的に再編し、私有財産制と市場経済を重視する最小国家論を展開しています。ノージックが代表です。
ノージック:個人の権利を最も重視し、国家の権限をできるだけ抑えた「最小国家」(夜警国家)を主張し、政府の積極的な介入を認める分配的正義を重視するロールズと対立しています。
共同体主義(コミュニタリアニズム):個人を共同体との関係で捉え、共同体全体の善(共通善)を重視する立場。抽象的な正義によって一元的に統制された社会ではなく、それぞれの共同体が育んできた複数の徳が継承され、成員が友愛や道徳的・政治的責務を積極的に担うような社会が望ましいとします。
マッキンタイア:西洋近代の自由主義的個人主義に対して、共同体の中で育まれる徳の伝統を重視しました。
マイケル=サンデル:ロールズの原初状態における「無知のベール」をかぶらされた個人を「負荷なき自我」であると批判し、コミュニティの伝統や文化を背負った成員達が討議を通して「共通善」を追求する社会を目指しました。