汗血馬の正体

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noteの方は更新しているのですが、ココナラでの更新を忘れていました…


自由研究のヒント:


『三国志』関羽の愛馬の赤兎馬の由来になったかもしれない汗血馬は伝説?
血の汗を流す馬はいるの?

⇨皮膚に寄生する多乳頭糸状虫(たにゅうとうしじょうちゅう)による皮膚の出血と汗が混じったのが原因かも!



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『三国志演義』で関羽の愛馬として有名な赤兎馬。これは中国の西方で生産された名馬、血の汗を流す汗血馬(かんけつば)ではないかと言われています。しかし全力疾走で速さを競い合う競馬でも血の汗を流す馬はいません。では血の汗を流す馬というのは伝説に過ぎないのでしょうか?実は寄生虫が血の汗を作り出していたという説があります。今回は汗血馬とその原因の一つといわれる寄生虫についてご紹介します(今日は犬猫出てこなくてすみません)。

前回、犬や猫は足の裏でしか汗をかけないことをご紹介しました。馬は
人間のように汗腺が全身に分布しているので汗を身体中から出すことができます。水分が蒸発するさいに物体から熱を奪います(気化熱)が、これは体温を下げる上でとても強力な手段です。哺乳類全体を見回しても、全身から大量に汗をかくことのできる動物は多くありません。

さて、多乳頭糸状虫(Parafilaria multipapillosa)は日本にはいない細長い寄生虫です。犬糸状虫(犬のフィラリア)の仲間ですが、犬には寄生しません。
多乳頭糸状虫はサシバエという血を吸う性質のハエの体内にひそんでいます。サシバエが馬の皮膚を傷つけて吸血すると、体内の多乳頭糸状虫のお母さんは馬の皮膚や傷口にそれっと飛び出します。そしてそこに結節(読み:けっせつ。皮膚のかたまり)を作り穴を開けて出血させ、赤ちゃん(ミクロフィラリア)の入った卵を放出します。赤ちゃんはまた新たなサシバエが馬の血液を飲みにきた際にその体内に入り、新しい馬に寄生するチャンスを伺います。

この多乳頭糸状虫が作る結節はだいたい直径1~2cmほどで、時々破けて出血がみられます。特に夏に多く、血汗症(けっかんしょう)と言われます。

遠くから見ると1~2cmの結節は目立ちませんし、血の汗を流して走る馬は迫力もあったでしょうね。


大石 勇, 今井 壯一 , 藤崎 幸藏 , 板垣 匡 , 板垣 博『家畜寄生虫学』,朝倉書店

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