コーンウォールって、聞いたことありますか?
イギリスのいちばん南西の端っこ、大西洋に突き出た半島の先にある地方です。ロンドンから急行列車に乗って4時間。テイマー川という大きな川を渡ったとたん、窓の外の土の色がふっと変わるんです。ロンドンの黒い土から、赤茶色の土へ。それだけで「あ、別の場所に来た」ってわかる、そんな不思議な土地です。
イングランドとは少し違う独自の文化を持っていて、古いケルトの言葉も今に残っています。小説『レベッカ』や映画『鳥』の舞台にもなった場所で、一度訪れたら離れられなくなる人が続出する、そういう引力のある場所なんです。
海辺の漁師町には石造りの家が並んでいます。おもしろいのが、家に表札がないこと。その代わりに「チャイ・アン・モル(海辺の家)」みたいな名前がついています。「家は何百年も残るけど、住む人は変わっていくから」という考え方からきているそうです。たしかにイギリスの石造りの家は頑丈で、地震のないこの国では本当に何百年も同じ家が使われ続けます。
海には、絵本から飛び出てきたみたいな三角の島があります。
セント・マイケルズ・マウントといって、フランスのモン・サン・ミシェルにそっくり。満ち潮のときは海にぽっかり浮かんで、引き潮になると砂の道が現れて歩いて渡れます。島の頂きには城があって、アーサー王伝説の巨人退治の痕跡が今も残っているんです。巨人を閉じ込めた牢獄とか、首を洗った池とか、巨人の心臓の岩とか。「えっ、本当に?」ってなりますよね。
内陸に入るとムーア地帯というのがあります。
地面の下が岩盤なので木も育たない、広い荒野です。ヒースという植物の紫の花が一面に咲いていて、沼があって、野生の馬がのんびり草を食べています。ボドミンムーアの馬は人慣れしていて、手のひらからビスケットをぱくっと食べてくれます。かわいい。でもこの沼、昔は火の玉が飛んだとか、迷い込んだ旅人が子馬に導かれて沼に落とされたとか、ちょっと怖い話もたくさん残っています。
そしてこの土地、妖精がいます。
ピクシーというのがコーンウォールの妖精で、鉱山妖精のノッカーは気に入った人に地面を叩いて鉱脈の場所を教えてくれるんだとか。実際に坑道で迷子になった人がコーラスの声に導かれて出口を見つけた、なんて話も地元では語り継がれています。昔の鉱山のエンジン・ハウス(世界文化遺産にもなっています)が今も廃墟として残っていて、月夜には妖精たちの輪踊りの場になるといわれています。
白魔術って、もともとこういう土地と深くつながっています。
自然の力を借りて、精霊に耳を傾けて、誰かを傷つけるためじゃなく守ったり癒したりするために使う力。コーンウォールみたいな「マジックランド=魔法の地」で、その知恵は何百年もかけて受け継がれてきました。
白魔術に興味を持ったなら、その背景にあるこんな世界も、ぜひ一緒に楽しんでみてください。